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クーデター後のミャンマー技能実習生事情

ミャンマーという国にどのようなイメージをお持ちだろうか。

映画「ビルマの竪琴」の印象などから、旧国名の「ビルマ」と言った方がピンとくる人も多いかもしれない。ASEANの中でもとりわけ経済発展で遅れを取り、長らくアジアの最貧国と評されてきた。

一方、民主化の流れとともに、発展の伸び代が大きく残っていることから「ラストフロンティア」とも呼ばれ、新たな市場や製造・物流拠点として期待も集めていた。そんなミャンマー情勢が一変したのが、2021年2月のクーデター発生である。

ミャンマー国軍が国家権力の掌握を宣言し、民主化の中心にいたアウンサンスーチー国家顧問らが拘束されるという事件は、世界から注目を集めた。

当時、コロナ影響により日本への入国規制が敷かれていたことに加えてのこの事態に、もうしばらくはミャンマー人実習生の招聘は見合わせた方がよいのではないかとも囁かれた。

ミャンマー・ワーカー・マネージメント テッ ナゥン トゥンさん

先日、ミャンマー送出機関ミャンマー・ワーカー・マネージメントの取締役 テッ ナゥン トゥンさん(写真)が来日し、現在のミャンマー人材事情について話を聞く機会を得た。

テッさんによれば、クーデターからしばらくは、国内の混乱が続いたものの、今ではかなり落ち着いた状態であり、日常生活は平常に戻っているそうだ。懸念された技能実習生を取り巻く環境についても、何ら問題なく稼働しているという。

他国同様、4月からビザ発給が再開され、既に多くのミャンマー人実習生の来日が始まっている。

「4月から出国ラッシュが続いており、一気に忙しくなりましたよ」とテッさん。

そして、クーデター後のミャンマーは、失業者が増大し、貧困化による出稼ぎニーズが高まっているという。

その影響で、これまで以上に技能実習生として日本を目指す若者が増えており、同社の日本語学校も既に200名の定員一杯の状態だそうだ。

テッさんは、「結果的にクーデター前よりも、よい人材が沢山集まるようになった」と意気軒昂だ。

もともとコロナ禍前からミャンマーにおける日本語学習者は急増しており、2020年7月開催予定だった日本語能力試験(JLPT)の受験者数は5万人超と、ベトナムを抜いたともいわれていた。

その流れにコロナ禍とクーデターが加わり、日本へのベクトルを勢い付けるかたちとなった。さらにここへきて、純朴なミャンマー人実習生へのニーズは高まっているといわれている。

これまでベトナムから受入れをしていた監理団体からの問い合わせが増えているそうだ。

同社は、この動きをこれまでにない最大の好機と捉えており、日本支社の開設準備を進めている。

不安定な政権下をたくましく生き抜こうとするミャンマーの人々こそ、「フロンティア」そのものなのかもしれない。

(※このコラムは、ビル新聞2022年8月29日号掲載「クーデター後のミャンマー技能実習生事情」Vol.41を加筆転載したものです。)

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