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【 脳に異常があります 】
2021年4月 当時妊娠8ヶ月だった私はとても幸せでした。
2人目不妊になり、2019年秋群馬に移住して本格的に不妊治療専門の病院にも通いはじめ、主人も私も検査を受け、色々わかり、薬も飲みました。
治療を始めて半年もしないうちに偶然にも自然妊娠しました。その事によってそれまで何度か流産したけれどやはりそれまでの生活にはストレスがあったのかもしれないと感じました。
群馬に来て心にゆとりができたことが本当に良かったんだと思います。
そして、妊娠8ヶ月まで何事もなく順調にマタニティー生活は過ぎてゆきました。
40才になっていましたから、不妊治療の時の検査の結果で主人も私も同じだけ、卵子にも精子にも奇形率があるとの事だったので、顕微受精をする予定でしたから、自然妊娠だったのでなんらかの問題はあるかも知れない
そう覚悟してはしていました。
とはいえ
妊娠8ヶ月の検診で先生から「お腹の赤ちゃんですが脳に異常があります」と言われたあの瞬間
今でもあの瞬間を思い出すと動悸がしてちゃんと呼吸ができていないような感覚になります。
その後、当初行っていた産院からNICUもある病院に転院しMRIを受けて出た結果は
「両側脳室拡大」
というものでした。
本来なら1㎝未満の脳室の部分が娘は1.3㎝あり
3ミリ拡大している。1ミリでも1センチより拡大していればそれは異常である
という診断でした。
では何があるのか?というと診断書にあるような予想できるものは全て説明をされました。
不思議なものですが、実は私はこの診断を貰った時ほっとしました。
何故か
それは、最初の病院で脳に異常がありますと言われた時
車の中で泣きながら旦那に電話をして
震える声で来週MRIを受けるから1人でなく旦那様と行くべきだと言われたと告げた時に想像していたことがお腹の赤ちゃんの死だったからです。
脳に異常があるなんて死ぬのだろう
産まれてもすぐに死ぬのだろう
産まれてすぐに手術を受けて延命できてもやっぱり死ぬのだろう
いや、産まれる前に死ぬのだろう
とにかく、死ぬことばかり、失うことばかりを考えていたからです。
だから、MRIを受けた時先生からこの説明を受けた時はかなりホッとしました。
何故なら
この子は死なない
そう思ったからです。
この結果が出た帰り道の車で主人はとても落ち込んでいました。
所が私はとてもテンションが高かったです。
だってそれまでの1週間もうお腹の赤ちゃんを失ってしまうに違いないと思っていたからです。
何か障害があるとしても元気に産まれてくるのだと思ったら本当に嬉しかったからです。
しかし旦那様は違いました。主人は最初の病院の結果が何かの間違えで、なんでもなかったと言われると信じていたからです。
その後夫婦でいろんな話をしましたが1つの出来事でも本当に受け取り方は、全然人によって違うのだと思いました。
この結果が出ても私はしばらくはもしかしたら万が一亡くなるかもしれないという不安とは戦うことになりました。しかし何度も検診に通ううちに先生から
「大丈夫この子は元気に産まれてきますよ」と言われて安心してきたことで
何か障害があって産まれてくるのではないか?と不安がる旦那さんの意見に影響され、
私もだんだん産まれてもちゃんと育てられるだろうか?
私はこの子を守れるだろうか?
どうして健康に産んであげられないのだろうか?
と悲しむ時間もできてきました。
また、病院からは出産後何の障害も奇形も見受けられなかったとしても27ヶ月は、経過観察が必要だと言われました。
例えば代謝異常があるかないか、発育遅延があるかないか、発達障害があるかないかなど
脳室が拡大していることによる影響が発育に関係があるのかないのか経過観察する必要があるとの事でした。
この話もまた、知識がない故に私を不安にさせました。
でも私は自分が何を怖がっているのか自分でもわかっていませんでした。
私の話をいつも聞いてくれたのがなおちゃんでした。
なおちゃんに
「どうして健康に産んであげられないんだろう」と思ったり27ヶ月間もこの子の成長に不安を抱きながら生活することが私にはできるだろうか?などなど
思いつくままに、今思えば甘えすぎですが言葉を選ばず相談していました。
そんな私になおちゃんはある日こんな風に言いました。
「どんなに健康に産んだ所で私みたいに、30になっても死にたがったり精神疾患になったりするかもしれませんよ?」と言われたのです。
目から鱗でした。
結局親は何歳になっても子供の心配はするなと言われてもするし、逆に心配しても親ができることは限られているとも思いました。27ヶ月どころか、5歳の長男に対してもそうであるように産んだら最後ずっと心配はするのです苦笑
もちろん、この世に産み出すわけですから責任はありますが、全てが私だけの責任ではなく
自由も尊厳も、責任と権利同様に
生まれてくる子自身のものでもあるのです。
そう思ったら産まれてみないとわからない事、産まれた後育ててみないとわからない事、
産まれた子がどんなふうに生きてゆくかについて不安がって泣いているよりも
どれだけこの子を愛せるか、愛してどれだけ毎日を楽しく過ごせるか
赤ちゃんと家族とどんなふうに過ごしたいのかそのことと向き合うことに時間も思いも、労力も注ぎ込みたいと思うようになりました。
そして娘は無事に元気に産まれてきて
現在生後4ヶ月
思った以上にスクスクと元気に育っています。
息子と娘
そして主人と私と
なおちゃん笑
不思議な人間模様でどんな日々がこの先も待っているのかとても楽しみです。