認知症日記(5) 懐かしの、夫の珍妙料理、謎のどんぶり
今は夫もすっかり料理をしなくなったけれど、かつては食事を作ってくれていました。一時期、私が鬱病になって完全ポンコツ状態だったので、家事はほとんど夫任せになり、そのまま食事を作ってもらっていました。
料理って、センスが大事らしい、と聞いたことがあるけれど、夫は残念ながら、センスなし。
栄養という概念がないらしく、肉の付け合わせが魚料理だったり、
ハンバーグの付け合わせが、豆腐ハンバーグ、とか。
あるいは、海鮮丼の汁物がクリームシチューだったこともあります。
(このクリームシチューの芋は、じゃがいもではなく里芋が入ってました)
様々は珍妙料理のなかで、もっとも印象的だったのが、謎のどんぶりです。
「テレビで観た」
と言って出されたどんぶりには、ご飯の上に焼いた豚肉が乗っていました。
肉の下には、すり下ろした玉ねぎと林檎を炒めたもの。
そのどちらにも、ひとつまみの調味料も入っていなかった………。
「日本人は醤油さえかければ、たいがいのものは食べられる」という説を聞いたことがあるけど、これは、いくら醤油をかけても、とうとう食べられませんでした。
夫はテレビで観たというけど、何かが致命的に間違っている気がする。
いったいどの料理番組なんだ?
そう思ってネットで検索した私は、謎のどんぶりの番組をついに発見。
料理番組ではなく、「ぶらり途中下車の旅」で紹介された店で、そんなような料理を出していたようなのです。
これって、6、7年前の出来事なのです。
夫の認知症がはっきりしたのが一昨年。
なので、あの珍妙料理を作ってくれたことが懐かしく感じる一方、もしかして、その頃からゆっくりと認知症が進んでいたんだろうか? と思ったりします。