猫用おもちゃのウールボール、遊び方の変遷があるなんて思わなかった
今日は猫のトロロの2歳の誕生日である。
残念ながらケーキでお祝いはできないので、紐のおもちゃを買ってあげた。
まあ、普通、という感じ。
トロロのいちばんお気に入りのおもちゃは、直径3センチほどのウールでできたボールだ。一個一個、色が違い、インテリアとしてもかわいい。
トロロがうちに来たのは生後半年のときだった。
丸めた紙を投げてあげると、嬉々として追いかけ、咥えて持ってくる。これは「褒めて欲しい」という殊勝な心がけではなく、「もう一度投げて!」という要求である。目をキラキラさせて、「投げて! 投げて!」とせがみ、なかなか飽きない。
そんなとき、ネットショップで猫用のウールボールを発見して購入した。これは画期的! よく転がるし噛み心地も良いらしい。トロロは、ものすごく気に入り、毎日毎日、私に「ボールを投げて!」と、せがむようになった。
ところが、予想外のことが起きた。動体視力が上がったのか、運動能力が向上したのか、トロロはこちらが投げたボールを、片っ端から打ち返すようになったのだ。サッカーのゴールキーパーのように、ばしっ、ばしっ、と、打ち返してくる。ほとんど全ての球を打ち返す猫。
こうなると、私が歩いてボールを拾いに行かなくてはならないし、トロロにしても、ボールを打ち返してしまうので、「追いかけて捕まえる」という、狩猟本能を満足させることができなくなったからか、少し飽きたようだった。
ボールを咥えてトコトコ歩き、水の入ったお皿の近くを通ると、水を覗き込み、そこにポトン、とボールを落とすようになった。遊び方としては、地味というか、ダメなんじゃないかな?
そんなわけで、トロロはウールボールを卒業した、………ように見えた。
ある日、トロロが「るううう、るううう」と、聞いたことのない声で鳴くので、慌ててそちらを見ると、トロロがこちらを向いた。ボールを2個、口に咥えている。口を開けないように鳴いたので、変な声だったらしい。
「すごいねえ! トロロ!」
トロロの口から、ぽろり、ぽろり、とボールが落ちる。長時間咥えているのは無理らしい。
トロロを褒めちぎっておいた。トロロもまんざらでもなさそうだ。
そして数日後。
テーブルの下にいたはずのトロロが、「るのののー! るののおー!」と、再び変な声で鳴いた。なんだか声が高い。
「どうしたの?!」
すると、トロロが歩み寄ってきた。口にはボールを3個咥えている。
「おおっ! すごいねトロロ!」
ぽろり、ぽろり、ぽろり。トロロの口からボールが落ちる。ボールを3個同時に咥えることに成功し、ぜひともこの快挙を見せようと、がんばっていたらしい。
その後は、さすがに記録更新に至っていない。
3個成功は、その1回のみで、その後は2個までしか咥えられないが、それでも、その都度、変な声で鳴いて知らせる。
もうすぐ誕生日の1日が終わる。
ウールボールに匹敵するおもちゃには、なかなか出会えないと思われたが、今は猫用トンネルのおもちゃが気に入っている。百均の三百円商品。その中にはいり、モゾモゾと動いたり、中で暴れたりしている。
片側から除き込むと、まんまるな目で、ワクワクした顔でこちらを見る。
また、楽しいおもちゃを探すからね。
お誕生日おめでとう、トロロ。