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ピンク!

『わっ!ピンクの靴。』『エッ!ピンクの鞄!!』、『おっ、ピンクのマスク!』

町でこんな反応をする私がでてきたのが数年前だろうか。

ピンクのアイテムが大好き♡!。で、このようなら反応となっているわけではない。

イヤ、正直に言おう。少なく見積もっても10%ぐらいは、いいな、可愛いな、と心のどこかで思っている自分がいる。年寄りの癖に、今だにピンクLoveかよって、意地悪な言葉を自分に発しながら。

ピンクは女の子の色、青は男の子の色
赤は女の子の色、黒は男の子の色。
こんな言葉を、何の疑問も持たずに当然のこととして受け止め、何十年も生きてきた。

そこへ、どこからともなくピンクの小物、はたまた部活Tシャツとしてピンクが一部入ったもしくはピンクでしかないTシャツを身につける男性を見かけるようになった。

集団なら怖くない心理かと思いきや、個人でピンクのスポーツシューズ、バックパック、水筒などを持つティーンと思わしき男の子がチラホラと出現。
それでも、わりと年齢の若い人がほとんどだった。

月日が経ち、若い男性がピンクを身に着けることに以前ほど新鮮味を感じなくなってきたころ、『おじさん』と呼ばれてしまうであろう、見た目年齢40代以上であろう人がピンク地のマスクを平然としているのを、電車内で目にするようになった。

その風景から人々の色に対する固定概念に変化が出ていることに驚き、見慣れなさに新鮮味を感じ、それに驚いている自分に気づき、自分は年齢の割に気持ちは若いと自分に酔いしれていたが、どれほど固定観念の塊であり、いわゆる古い年齢と言われてしまう層に思いっきり入っていることに気付かされ、驚嘆すると同時に落胆する。

我が夫は、『男は、○○であるべきである』『xxは女がすべきである』といった、非常に偏ったいわゆる古い考えの持ち主である。そこを指摘しても、『昔からそうして人々はやってきた。何故変わらなくてはいけない?』という考えのため、夫婦間でのイザコザが絶えない。
話はそれるが、そのくせ『なぜ男が働かなくてはいけない?』と言ったりするので、本当に腹が立つ。

普段使うものが、どこにあるのかを全く把握していない、把握する気も全くない夫。そんなある日、夫に『マスクどこかにある?』ときかれた。
ちょっと意地悪をしたくなったのと、どんな反応が返ってくるのか実験してみたくなり、実際には黒のマスクもあったにもかかわらず、私は『あー、あるけどピンクのやつしか残ってないや』と、マスクの入っている引き出しをのぞき込みながら言ってみた。

さぁ、夫君よ、どうするのか?ワクワク、ドキドキしながら反応をみる。
『じゃぁ、いい(いらない、という意味)』といって出かけてしまった。
おっ!今でも男たるものピンクなんて女々しい色を身に着けるべからず。の超古風な姿勢。相変わらずだね~と思う自分と、実はピンクのマスクを気にせづにつけて行き、自分を驚かせてくれることを心のどこかで期待したので、ガッカリする自分。全然、成長していない...。(涙)

その晩、夕食を食べながら息子と娘に聞いてみた。
私:『男の人がピンクを身に着けていたらどう思う?』
娘:『別に~。』(それがどうした?そんなの普通というのが言外に感じられる。)
息子:『ピンクの色味次第かな~。』

今日の夫の話をしながら更に息子に聞いてみた。『君だったら、どうする?マスクが必要だけど、このピンクのマスクしかなかったら?』
息子:『う~ん。必要なときに、それしかないんでしょ?そしたらそれ使うかな?別にワザワザそれを選んだりはしないけど。』
私:『でも、ピンクだよ?からかわれたりしない?』
息子:『からかわれるかもしれないけど、たかがマスクでしょ?必要なんだから気にしない。』

なるほど。そして、私は嬉しくなった。特にそう仕向けたわけでもないが、ジェンダーによるイメージに凝り固まってない時代に、確実に進んでいることに。そして、息子が他人の視線を気にしすぎないことに。



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