見出し画像

TRPG『カタシロ』視聴感想(PL:shu3さん/KP:まだら牛さん)

※本記事は新クトゥルフ神話TRPG『カタシロ』のシナリオネタバレを大いに含みます。TRPGは性質上一度シナリオを知ってしまうと楽しめなくなる部分がございますので、記事の閲覧はご自身の判断でお願いいたします。

-----------------------------------------------

いやあ~楽しく視聴させていただきました。
忘れないうちに、考察・推察含めつらつらと視聴感想を書いておこうと思います。

まだら牛さんYoutubeチャンネルより
(追記:現在Youtubeチャンネルの方で見れなくなっているようで、緊急でニコニコ動画の方へアップくださっていますので、そちらのリンクも貼っておきます)

キャラの設定について

まだら牛さんの公式ツイッターより引用

今回のキャラは三散ノ シュウジ(みちの しゅうじ)。
凄腕ハッカー、セキュリティ……もう設定がshu3そのものって感じですよね。勝手なイメージですけど。

また、「難しい問題を解いている過程に一番生きがいを感じ、一旦解けてしまうとひどくがっかりする」というところも、やりこみで実況界の地位を確立してきたshu3らしさ炸裂という気がします(笑)

ゲーム中、個人的には最初の私が抱いていたイメージとは違ってかなり軽いキャラになっていました。軽いというか飄々とした感じというんでしょうか(イメージしていたのはもっと気だるげそうなキャラでした)。ところどころオネエ口調が出てきたりして、しゆみ…!と思ったファンも少なくなかったのでは?(笑)

あと前日のチャンネル放送でエヴァの加持リョウジをモチーフにしたというようなこともおっしゃってましたね。

まだら牛さんも最後に言っていましたが、「解釈一致」。その一言につきると思います。序盤でご本人が照れていたぐらいなので、かなり本人に寄せたキャラクターになっていたのではないかと思います。

ファンとしても謎めいたshu3に迫れるシナリオとなっていた気がして、わくわくしました。

シナリオについて

主人公は病室で目覚を覚まします。そしてどうやら記憶喪失になっていること。雷に打たれたらしいこと。そして世間は伝染病で大変なことになっているらしいことが最初に提示されます。

そこから病室に先生と思しき人が入ってきて三日間に渡るやり取りが始まります。(シナリオの詳細についてはここでは割愛し、問答の内容とshu3の答えを中心に記載を進めます)

①第一の問い
「囚人のジレンマ」
自分と共犯者二人に対して「自白するか黙秘するか」を選ばせる問い。ここではシュウジと先生が囚人だとして、どんな選択をするかを問われるのですが、シュウジは「自白」を選びます(即決)。

理由は「あなたと僕にはなんの関係性もないから(意訳)」

「もし共犯者が愛犬だったら悩むかもしれないなあ」というようなことを言っていて(実際は素が出て「猫だったらなああ」とめちゃくちゃ考え込んでいて「あ、犬だ」と途中で設定に気づいて面白かった)、shu3という人は自分のテリトリー内の人とテリトリー外の人でたぶん明確に線を引く人なんだなあと思いました。

先生の答えも「自白」だったのでお互いに五年五年の三番目に刑期が長い結果?(最長は「自白」「黙秘」の組み合わせの黙秘側だけが十年)になったのですが、「十年にならなくて良かったですね、僕が」と割とあっけらかんとしていて、先生(KPがロールプレイ)の方が若干引いてましたね(笑)

こういうTRPG全般に言えることだと思うんですが、思想が如実に出て恥ずかしいは恥ずかしいですよね(笑)

②第二の問い
「テセウスの船」
ある船があり、その船全ての部品が置き換えられたとき、その船は果たして同じものと言えるのか――
シュウジの答えは「テセウスさんが思い入れを持って作り直したのだとすれば、部品を入れ替えたとしてもその船は『テセウスさんの船』だし、部品が同じだとしてもそれが何の関係もない船大工さんが作ったものだとしたら別の船だ」

このあたりからかなりshu3の思考の癖のようなものが出てきていたなと思いました。

「それがテセウスさんの息子さんが作り替えたものだとしたら?」という先生の問いにも「それはテセウスJr.の船ですね」と。

つまり「作り手の魂が入っているかどうか」でそのものがナニモノかが決まる。ということですよね。熱い回答だな~と思いましたね。

これってプログラミングをやられる方として考えると面白いですよね。例え結果的には全く同じ動作をするプログラムがあったとしても、その中に書いてあるコードが違うものだとしたらそれは作り手の個性(魂)があるわけだから別物でしょう、という風に私は捉えられました。

ゲーム実況をやっている方として考えても面白いですよね。以前ナポリの男たちのチャンネル放送でそれぞれが実況した動画を蘭たんが再編集する、という企画があったと思うのですが、素材は一緒なはずなのに蘭たんが中身を組み替える=編集したら全く違う動画になっていたじゃないですか。それって同じ動画とは言えないと思うんですよね。

ナポリの動画は端的な例ですが、要は同じゲームを実況したとしても作り手によって全く別の動画になるよね、ということです。

③第三の問い
「臓器くじ」
くじによってランダムに一人を選出し殺し、その人の臓器を臓器移植が必要な人々に配る。それについてあなたはどう思うかという問い。

シュウジの答えは「選ばれたのが自分だったら嫌だけど、それが社会のシステムとして大多数の人が選んで採用されているものだとしたら受け入れる(意訳)」というものでした。

このあたりで視聴者の私としては薄々展開の予想がついてきていたので「お、その回答結構他人行儀だけど大丈夫か?」と思って聞いていました。ですが、その心配は後にひっくり返されることになります。

この回答も非常に個性的だなと思いました。
倫理的には非常に難しい問題ではあると思うのですが、それが個人の感情的にありかなしかと考えるよりも、社会のしくみとして、ある意味では人間がもはやコントロールできない自然現象のようなものとして発生した事象だととらえて、それを「受け入れる」、という選択をされた。

どうにもならないことはどうにもならないこととして受け入れる……だけでなくその状況ですら「暇つぶしとして楽しむ」というような気概を感じましたね。「諦めですか?」と先生に聞かれて「いや……」と否定したあたりが肝ですよね。「諦め」じゃなくて「自然の摂理だから」というもっと上の次元の考え方なのかなあと。

最後の選択 ※物語の最重要根幹にかかわるネタバレです

三日間、隣の病室から聞こえていた少女の声。最終日シュウジは隣の部屋へと足を踏み入れます。そこには――自身の体と容器に入った何者かの脳みそがあった、という衝撃的な展開を迎えます。

最後はあなたの肉体を少女――あかりへ差出し、自身は人形(つまり”カタシロ”)の器を得て生きていくか、それともそれを拒否するか、という問い。

これに対してシュウジはきっぱり「この人形の体がすぐに死なないのだとしたら自分はこの器をもらって、元の肉体はあかりへ差し出す(意訳)と答えました。

これが中盤、私が心配していたことをひっくり返してきた答えでした。
第三の問いで散々「自分だったら嫌だけど……」と答えていたにも関わらず、ここにきて自分の身に降りかかったにも拘らず寧ろ「不便なことってあるんですか?」「もしかして改造してより便利にすることも可能ですか?」と乗り気なのにびっくり。

これって別に自己犠牲ではなくある意味ではとても合理的な考え方だなあと思いましたし、今までの三つの問いの集大成でもあるなと思いました。

今までの回答(特に第二)を踏まえて考えると、shu3の価値観て推察するに「魂」が最も大事ってことな気がしたんです。
だから器である肉体にはあまり拘りがないのかなあと。むしろ肉体的にパワーアップできるかもしれない可能性が提示されてわくわくしているようにも聞こえました。

ただ一つ非常に気にされていたのは、自分の本当の体を器として生きていくことになる少女、あかりの意思。
これも「魂」重視のshu3だからこそかなと思いましたが、あくまで中身となるあかり(=魂)がそれをよしとするかどうかを重視したんじゃないかと思いました。

これはshu3のやさしさの源泉かなあと思ったのですが、そうやって常に相手の心情に寄り添うようにしていらっしゃるのだとすると素晴らしいなあと思います。

その他

・グリッジだとかバグだとか、節々にIT用語的な言葉が出てきていて「良き……」とニコニコしてしまいました

・肌年齢のくだりがまさか伏線になるとは思っていなくて、偶然とはいえすごい~となりました。「(肌の)手入れしていてよかった」とさらっと言ってるんですが、自分の努力がすべて他人のものになってしまうことをなんとも思っていないのか…と驚愕しました。
時々驚くほど自分の努力に関して無頓着なところがありますよね、shu3って。

・あとタバコ吸って咳込んだところも伏線として回収されてて、まだら牛さんさすが~となりました。

・ちょっとよくわからなかったのですが、冒頭に提示された「外では感染症が流行っていて大変なことになっている」というのはどういう伏線だったのでしょうか(元シナリオの詳細を知らないので)……ただの時事ネタ?病室が空いていないっていうだけの伏線じゃないですよね?

・あともう一つ、部屋に置いてあった加温器?から冷気とガスが出てるみたいなくだり、あれがよくわからなかったのですが、どういう伏線だったのでしょうか……人形の体を維持するためのもの?

shu3のそれぞれの回答から考えたこと(個人的解釈)

私は心理学とか哲学とかの専門家ではないので、ここからはあくまで個人的な解釈の範疇を出ません。こういうの、心理学を専門的にやっている方に見てもらったらその人のことが丸裸になりそうで非常に興味があります。ぜひ専門家の方に読み解いていただきたい……(笑)

このカタシロというシナリオがなぜこういう構成になっているのかなあというところも考えつつになるのですが、それぞれの問いはプレイヤーの何を暴きたいのか?考えてみました。

第一の問い:初対面の相手に対する接し方みたいなのが分かる気がしました。無意識的なところかもしれないんですが、shu3て結構身内ラインびしっと引いていてその外と中で全く扱い違うんだろうなという印象でした。

シナリオ的には見ず知らずの他人のために自己犠牲を払えるか的なところにつながるでしょうか。

最終的にshu3は自己犠牲とは別の意味で肉体を差し出す道を選んだ気がするので(ある意味では自分から進んで人形の体を手に入れて余った自分の本当の肉体を差し出したような形に見える)、ブレてはいない気がしますね。

第二の問い:これはモノづくりへのスタンスがわかるような気がしました。上述しましたが、ゲーム実況、プログラミングともに制作物を作るいう職業?の方ですが、「作り手の魂が重要」という確固たるスタンスを感じました。

シナリオ的には全く別の器(肉体)にその人の脳みそを入れたら、果たしてそれはその人(脳の人)になるか?というところにつながるでしょうか。
これはきっとあかりちゃんが別の器を得たときに自分だと思えるのだったらそれは「テセウスの船」と呼べる、ということでしょうね。

第三の問い:答えの出ない問い(特に倫理や道徳的問題)に対してどんなスタンスを取るか、ということが分かるような気がしました。こういう問題に関して、かなり達観しているなあという印象でした。

投げやりといえばそれまでかもしれないですが、そうではなくて社会ってそういうもんという悟りみたいな境地かなあと。ものすごく主観的な推察ですが、きっと人生の中でいろいろなご苦労があったのだろうなあと。倫理や道徳的問題ってものすごく個人の経験や環境によって考え方って変わると思うんですよ。

シナリオ的には最後あかりちゃんに肉体を差し出すかどうか(それを嫌がるか)につながると思うのですが、ここはこの回答を聞いた時点では(自分は嫌って言ってたから嫌がるかなあ……)と私は思っていました。
でも蓋を開けてみたら「命差し出すわけじゃないなら、いっか」というような感じで差し出してましたね。

ラストの方で、「現実をゲームのように捉えているふしがある」と先生(KPのまだら牛さん)がおっしゃってましたが、面白い解釈だなあと思いました。ご本人おっしゃってたように「人生は暇つぶし」の一環なんじゃないですかね。ゲーム=暇つぶし。暇つぶしでしかないんだからどうせなら楽しく、そしていろんな経験ができればいいとそういう楽観的な方向性でとらえるという思考なのかと。

こういう捉え方、個人的にすごく好きですし共感するところがあります。

結びに

改めて、「カタシロ」というTRPG、初めてシナリオを見たのですが、とても興味深くいいお話だなあと思いました。

shu3という人のパーソナリティにぐっと迫った感じがしてわくわくしましたし、より知ることができた感じがしてうれしかったです。好きな人(応援している方)が「どんな価値観を持った人なのか」ってすごく興味深いものですね。

推察ですが、たぶんほかの方のロールプレイだともっと重い雰囲気になるのではないでしょうか?このシナリオは本人も割と納得の上で肉体を差し出し、少女を救える希望を残したハッピーエンドに近い結末な気がしました。

他の方(チャンネル放送でもshu3言ってましたがナポリのほかのメンバーとか)にもぜひやってみていただいて、どんな回答をするのか気になりますね!

shu3さん、まだら牛さん、そしてサブキャラとして参加された栗山やんみさん、お疲れ様でした。楽しいひと時をありがとうございました!


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集