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2025.1月 第5週 最終の日記



1/26日曜日

風でベランダの先の木がゆさゆさと大きく揺れている。
朝早く、母がうちの建物の周りのお掃除へ行ってきた。手を握ったらしんしんに冷えていた。

お昼はカレーうどん。
ここ数日カレーライスだったので、最終日は出汁を入れてカレーうどんにするのが定番。
この日記を書いているうち気づいたけど、日曜日のお昼は何かしらのうどんを食べているな。
すなわち土曜日の夜はお鍋を食べていることになる。
青ネギの根元の部分が甘く、あざやかな緑色がきれい。見た目はニラっぽいけど、食感はしゃきしゃきと歯応えがあって楽しい。

午後、いつも私が昼寝をしているのは、テレビがある和室のホットカーペットの上。こたつ布団がどかっと無造作に置いてあり、家族それぞれ足を突っ込んで座りながらテレビを観ている。こたつの簡易版のような場所。うとうとし出すとそこにゴロンとなって眠る。
今日も横になっていたら、通りかかった母が布団の下にある私の手を気づかずに踏んで行った。
ふぎゃっ、となって目が覚めた。

ごめん、ごめん
(と私の手をさする母)

大丈夫だよ〜
と言いながら次第にまぶたが閉じていき、そこからしぶとくも30分程寝た。

お相撲はいよいよ千秋楽。
優勝決定戦は三つ巴となり、盛り上がった。
土俵の四隅の一角に武田鉄矢さんと川上麻衣子さんが並んで観戦していらしたのが映し出されていた。彼らの表情ごと観戦した。


1/27月曜日

昨日に引き続いて寒い。
朝早く目覚めたけど、そのままうだうだといつも起きる時間まで横になっていた。お布団のしまい方について、両親の意見が割れているのが聞こえていた。

駅前に、白くてモッコモコの大きな犬がいた。アイボリー色で顔があどけなくて、毛の質感がぬいぐるみのファーファみたいだった。
オフホワイト、クリーム色、黄色がかった白、生成り、色んな名称があって迷ったけど、アイボリーが一番イメージに合っている気がする。

週始めなので、いただきものの台湾の桂花烏龍茶をマイボトルに入れて行った。良い香りでとても美味しかった。

ロッカーでよく会う他部署の方によると、今朝の富士山はすごかったのだそう。何がどうすごかったのか、混み合っていて見逃してしまった。夕方は空がもやもやしていて見えなかった。

帰り道、どこからともなく焚き火のような香ばしい匂い。


▶︎洗濯板のように波打った雲


今朝見かけた犬・・
犬種がまったく分からなくて、帰宅してから特徴を元に絵を描き、両親に聞いたり、検索をしてみたらグレート・ピレニーズ(ブリトニー・スピアーズに響きが似ている)という犬に近い。でももっと毛がくるくるゴワゴワしていそうな感じもあった。

父が言う、アニーのミュージカルに出てくる大きな犬も調べてみたけど、毛の感じがサラサラしていて、こちらもちょっとちがうような気がする。また会えたらもう一回観察してみたい。


▶︎しっぽの部分が思い出せず、
だいぶいい加減な出来。


1/28火曜日

しゃっきりとしない朝。

駅まで行く途中で昨朝見かけた犬の色ちがいのような、明るい茶色の犬を見かけた。ちょうどアニーの髪の色のような。
昨日の子が大型犬なら今日の子は中型犬くらいの大きさ。あどけない顔もそっくりだった。
飼い主さんは同じひとのように見えた。たくさん飼っているのかな。
信号を待ちながら、可愛い後ろ姿までずっと見届けた。
しっぽはプードルのようにピンとしていた。

朝晩の日課であった富士山がだんだん見えなくなってきた。見えなくてもこの先の方向に富士山がある、ということをすっかり憶えた。
夕焼けは健在。

2回チャレンジしたけど読めなかった本を諦めて返却することにした。いまは読む時期じゃないのかもしれない。


1/29水曜日

朝、洗面所にいるとき、朝日の強い光がゆっくり差しこんできた。気分も一緒にふわぁっと明るくなっていった。玄関の外へ出て、もう一度たしかめてみたけど、もうその光は落ち着いていた。
母に話すと、良い兆候だね、と言われて、ますます良い気分。
ずっと悩んでいることを今日なら上司に話せそうな気がしてきた。

昼間、地下で作業しているとき、風が強くて、ドアをすり抜ける音が唸っている声のように聞こえた。
最近また作業量が増えてきた。
前にこの日記に書いた、的の真ん中に言葉がスパッとささる、気持ちのよい方が遅くまで残っていたので、小気味よい会話を聞きながら私も残業した。

外はもう真っ暗。
会社を出て、久しぶりに書店兼カフェへ。寒いし少し歩くのを面倒がってご無沙汰していたけど、こころがどんどん元気じゃなくなるのは、本屋さんに行っていなかったせいでもある、と気づいて。
富士山、夕焼け、本屋さん、お茶‥私にとってはいろいろな準備があると困ったときに助かります。

まだ風が強いけど、そこまで寒くなくて手袋をしたり外したり。 
キャラメル系の、でも甘くない、ほろ苦いの、飲みたい。そんなのあるだろうか、とか思い浮かべながら歩く。

雑誌、料理本のコーナー、とお決まりコースを見て回った。カフェは混んでいたから入るのをやめて、雑誌1冊と「光る君へ」のメモリアルブックを買った。表紙のおふたりの表情が目に止まって。笑っていなくても絵になるおふたり。中にはたくさんの写真と出演者たちのインタビュー。

帰り道はカバンの紐が重たくなったが、それで〜も良い〜とあたまの中でごきげんに歌いながら。


1/30木曜日

休日。
さわやかな冬晴れ。

世田谷線に乗り、紅茶教室へ行った。世田谷線は縦に座席が並んでおり、座った席と逆方向の向きに進んで行った。
向かい合わせになっている席がひと組あり、そこに小さな男の子とお母さんが向かい合って座った。進行方向の席に座った男の子が逆向きに座りたい、とお母さんにリクエストしていて、いろいろ試してみたいんだな、と微笑ましく思った。最終的にはふたりで同じ進行方向の席へ座ることになっていた(男の子は、お母さんの膝の上)。
紅茶教室は10人もいない、その日限りの生徒さんが集まり、主催の方によるお菓子の作り方、紅茶の美味しい淹れ方をデモンストレーション形式で見学し、試食する。
お休みとうまく日程が合えば、ときどき参加している。ガチガチに学ぶ意識は(私には)なく、その教室の雰囲気がとても好きだから。
美味しい香りと静かな音楽とみなさんの表情を見ていると、こういう世界があるんだなぁ、とそれだけでなんか泣きそうになったりもする。
気取らずカジュアルな雰囲気で、私の他にもリピーターの方がたくさんいると思う。参加されている方たちのファッションを見るのも楽しみのひとつ。シンプルな格好にちょっと面白い形のアクセサリーを付けていたり、靴だけが個性的だったり。
今日はアフタヌーンティー形式で、たまたま隣に居合わせた方とぽつりぽつりと話しながら、サンドイッチやスコーンなど、美味しくいただいた。

そのまま帰るのがもったいないような気分になり、紅茶はたくさんいただいたのだけど、本屋さんに寄ったり、線路沿いを歩いたりしながら、どこかでお茶でも飲んでから帰ろうと思った。

途中でじゃまが入るかのように頭痛がやってきたので、歩きながら耳をくるくる回したり引っ張ったりしてもみほぐした。
仕事中はあんまりこういうことはないけど、もしかしたら作業中は頭痛に気づいていないだけなのかもしれないな。

カフェに入り、ノンカフェインの飲みものを注文することにした。近くのテーブルの3人のおばあさんたちの会話(主にテレビの話題)を小耳に挟みながら、私は調べものをして、メモを取ったりしていた。
坂口恭平さんの本のなかに出てくる、将来の現実の時間割を自分に置き換えて書いてみたりもして、ひとときワクワクした気持ちになった。

帰りの電車に乗り、夕焼けのオレンジ色に染まる木々を眺めながら、自転車でぷらぷら〜っと走る。

途中、お惣菜屋さんの立て掛け看板の黒板に『キャベツショック』と一言だけ書いてあり、なにか訴えかけられているような気持ちになり、はっとした。


1/31金曜日

昨日よりもさらに寒い。
冷たい空気がぴたっと停まっている。
富士山のてっぺんの雪の面積が広くなっていた。見えている部分がすべて白かった。

いろんな意外なひとからよく話しかけられた日。

お昼の休憩に出るのが遅くなり、受付の方にいつもよりも遅いですね!と言われる。
(割とツンとした方なので、そんなこと言うのね、というおどろき)
休憩室で遅めのお昼ごはんをひとりでゆっくり食べていたら、他部署の方がニコニコしながら入ってきて、資料を配布してほしい、と持ってきた。
(なぜいま?なぜわたし?なぜここへ?とはてなマークが3拍子そろった。)

首から下げているネームプレートが背中の方に回ったままになっており、話したことのないおじさんに、逆になっていますよ!と教えてもらった。
私は会社ではゆうれいのような存在だと思っているので、話し掛けられると自分が一番おどろく。見えていたのか、と。




▶いつぞやかのマーガレットハウエルカフェにて



明日は仕事だから、早めに就寝。
今週もお疲れさまでした。


・今月読んだ本

■ お砂糖ひとさじで(PHP研究所) 
松田 青子
■ ただしい暮らし、なんてなかった(平凡社)
大平 一枝
■ よむよむかたる(文藝春秋) 
朝倉 かすみ
■ 10代からの文章レッスン(河出書房新社)
小沼 理・編著

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