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Scrapperスクラッパー/シャーロット・リーガン監督(2023)

 ミュージックビデオの製作からキャリアをスタートし、BBCからそろそろ長編を撮ってみないかと提案されたというイギリス出身のシャーロット・リーガン監督の一作目。
はじめての作品では、ワーキングクラスを描きたかったという事ですが、ケン・ローチやショーン・メドウス(「This is England」)のような貧しい労働者階級の悲惨さ、出口のなさを描くイギリスの映画特有の曇った空と煤のついたようなグレーの重苦しいムード(イギリスでは「キッチンシンク」というジャンルがあるそう)とは違い、北欧映画を思わせれるペール・パステルの色彩と静止画とハンデイカメラでの揺れ映像の対比は映画の手法というよりMV的なものを感じます。母の死後、営業マン顔負けのトークで万引きした自転車を売り捌き、1人暮らしする12歳の少女の前に、母親を捨てて居なくなっていた父親が現れます。まだお互い父娘の役割に慣れないぎこちなさが、2人で自転車泥棒し、お巡りさんから逃げるところから心通じ合い(人間 一緒に悪さをすると仲良くなれます)父娘らしくなって行きます。新しいアプローチでイギリスのワーキングクラスを描く作家の誕生と言えるでしょう。

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