往復書簡 たまたび青森②山神様に会いに行く〜いのちパートⅡ。
降り止まない雨の中、
レインジャケットにブーツ、傘をさして、突き進む。
鬱蒼とした森はとても暗く、
人の気配はおろか、どこか生き物たちもひっそりと息を潜めているようで、
とにかく不気味なのだ。
『魔界からの召喚』
そんな言葉がふたりの口をついて出た。
ふと、車に置いてきた熊鈴のことを思い出した。
ここは青森の山奥、熊が出てもおかしくない。
「リーンっ!」即席人間熊ベル。
恥ずかしさよりも、命。
ぬかるんだ道を進む。
まるで山神様へと続く細道を、かき消すように生えるシダ植物を、かき分け進む度に、雨に濡れ、土色をした、小さなカエルが足元でうごめき、
先程大ケガを負わせてしまったガマガエルを思い出させる。
道は合っているんだろうか、と不安になる。
そして森は私の不安を餌にするかのように、どんどんと暗さを増し、雨と雷も激しさを増した。
アカン、アカン。ここは落ち着いて。
内側にある不安や恐れを外側に投影し、
こんなところで現実創造力を発揮している場合ではない。
深呼吸して背筋を正すと、
それは姿を現した。
えっ!!
なんじゃこりゃぁ。。。。
周りの木々と比べるとその差は歴然。異様なほどの存在感。
太古からこの土地を見守り、変化を見てきたであろう、森の主。
畏怖の念を抱く。
ここでやっと私は先程のカエルからのメッセージを受け取った。
周りに溶け込むように、
目立たないように。
それは、自然界で生き残る術の一つである。
けれども、
目立たなかったから、
風景に溶け込んでいたから、
存在に気づいてもらうことさえなく、
命を落とすこともある。
仮にあのカエルが綺麗な緑色をしていたのなら、私に車で轢かれることもなかったのかもしれない。
だとしたら、私はどちらのあり方を選ぶのか。。。。
山の神を見上げた。
神様は私に答えをくれたのか。。。
目の前には、
ただただ雨が降り続き、
ただただ雷がとどろき、
ただただ巨木がたたずんでいるだけだった。
そこだけ、時が止まったような感覚になる。
ただ、そこに在る。
自分らしくいればいい。
無理に目立つ必要もなければ、
無理に周りに馴染む必要もない。
自分でいることで、
真の存在感が生まれる。
私は時々お店などで、人に気づかれないことがあり、存在感がないのか、自分には華がないのかと気にするところがあった。
と、横で友の叫びが聞こえた。
『もう、いれません〜!』
あの有名なドラマ101回目のプロポーズの名セリフ『僕は死にましぇぇーん!』ばりの叫び。
ボーっとしてたら、『たまひろもやで!』と注意され(笑)
「わ、わたしも!」とジョインする。
周囲の人たちの価値観や、人生観、不安や恐れ。。。。
自分が感じていることなのか。
影響されているとしたらそれは、
自分にとって必要なものなのか。
自分の中の小さな不安に共鳴して、
周囲の声は大きく響き出す。
どこかの偉い人が言ったことや、
メディアで見たこと。。。
私の中の小さな不安は次第に大きくなり、
どんなにかき消そうとしても、
大きな闇にのみ込まれそうになる時がある。
そんな時こそ、自分に還る。
自分の声に耳を澄ませる。
もう、自分以外の存在を自分の中に入れない。
自分らしく輝く。
もう一度、「自分に還る」(カエル)🐸
あのガマガエルが命をもって教えてくれたこと。
合掌🙏
無事魔界でのテストを終え、
山を下ると空は晴れ渡り、虹が出ていた。
なんだか、虹が答えをくれたような気がした。
見えるかな?
たまひろ