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光明真言に胎蔵界五仏が内蔵
マントラ(真言)と、マンダラ(曼荼羅)
発音が近いと思いませんか!
金剛界曼荼羅の五智如来が
光明真言に隠れていることは
ネット上の記事にもありましたし
YouTubeでも見ることができました
では胎蔵界曼荼羅の胎蔵界五仏は
どうなんだろうか?
ネット記事やYouTubeで探してみましたが
見つけられませんでした
そこで今回は
胎蔵界五仏と光明真言について
調べ、考えてみました
曼荼羅
曼荼羅とは
曼荼羅というのは、仏教の教えや世界観を、わかりやすく視覚的に説明したモノになります
そして密教では
金剛頂経をもとにした金剛界曼荼羅と
大日経をもとにした胎蔵界曼荼羅が
有名です
胎蔵界曼荼羅
「胎蔵界」の「胎蔵」とは、母のように優しく包み込む大日如来の慈悲で、身体の中の仏性が胎児として生まれ、育ち、やがて悟りに成長していく物語を表しています
以下が胎蔵界曼荼羅の全体像です
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文字だけであらわすと
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その真ん中にあるのが 中台八葉院 です
以下は中台八葉院を拡大した図
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文字であらわすと
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上図のように、この中台八葉院に
5つの如来(胎蔵界五仏)が配置されています
胎蔵界五仏と光明真言
それでは、ここから胎蔵界五仏のひとつひとつの特徴と
光明真言のどの部分に対応しているのかを
探っていきたいと思います
光明真言の全文は、以下です
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光明真言の各言葉の意味については
前回、記述した記事
光明真言で心の花を開く をお読みください
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① 大日如来
大日如来(だいにちにょらい)と言います
梵語で、あまねく光明を照らす者の意味
魔訶毘盧遮那(まかびるしゃな)と音訳され、太陽神のイメージ
宇宙そのものを身体とし、宇宙すべての存在や出来事に遍在する
胎蔵界曼荼羅では中央に位置する
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それでは、光明真言であてはまるのは何でしょうか?
やはり ベイロシャノウ でしょう
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ベイロシャノウ とは 毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ) をさします
毘盧遮那仏は、世界を照らす太陽のような性質があります
密教以外の宗派では 毘盧遮那仏 と呼び
密教では 大日如来 と呼んでいるそうです
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② 宝幢如来
宝幢如来(ほうどうにょらい)と言います
梵語では、如意宝珠の旗印を持つ者の意味
密教では如意宝珠で発心をあらわす
発心(ほっしん)とは、悟りを求めて開始すること
発心から始まるので、初めの方位、東に位置する
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では光明真言で、宝幢如来にあてはまるモノといえば・・・
まさに如意宝珠という共通キーワードをもつ マニ でしょう
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マニとは 摩尼宝珠 という意味です
宝珠とは、あなたの心の中にある清らかな宝石の玉です
もうひとつ 如意宝珠 という意味もあります
意のままに願いをかなえる珠ということです
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③ 開敷華王如来
開敷華王如来(かいふけおうにょらい)と言います
梵語では、開花した蓮の花の王の意味
発心を基に花を開かせる、つまり修行をあらわす
修行(しゅぎょう)とは、悟りへ向かって努力を積むこと
発心の次なので、南に位置する
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それでは光明真言では、どの部分が該当するのでしょうか?
やはり蓮の華という共通キーワードを持つ ハンドマ でしょう
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ハンドマとは 蓮の花 をさします
しかも開いた状態の蓮の花です
才能が花開く とよく表現しますね
玉磨(みが)かざれば光なし という言葉もあります
いくら優れた素質があっても、努力して自分を磨かなければ、その素質を活かせないという意味です
つまり修行が必要と言ってるわけです
ここも開敷華王如来の特徴と一致していますね
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④ 無量寿如来
無量寿如来(むりょうじゅにょらい)と言います
梵語では、時空をこえて、つきることのない寿命ある者の意味
またはつきることない光輝ある者の意味
別名は阿弥陀如来、無量光如来
修行の結果、光輝に満ちた菩提(ぼだい)に至る
菩提とは、悟りの世界を実感すること
修行の次なので、西に位置する
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それでは、光明真言では、どの部分が当てはまるのかというと・・・
「つきることのない光輝」つまり無量光如来に注目するならば
光明をさす ジンバラ と云えるのではないでしょうか
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ジンバラとは 光明 を意味しています
大日如来(太陽)が与えてくれる光は
生命エネルギーでもあり
智慧でもあり
大きな愛(慈悲)ともいえますね
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⑤ 天鼓雷音如来
天鼓雷音如来(てんくらいおんにょらい)と言います
梵語では、天鼓が響くような雷音を持つ者の意味
菩提は自分だけが光に満ちた悟りを実感している状態です
菩提が長く続くと、光の力が増していきます
その力を夜の闇を明るくする雷のごとく
周りの人に教え、与えていくことで
悟りが完成=涅槃の状態になっていきます
菩提の次なので、北に位置します
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それでは、光明真言ではどの部分かというと・・・
ここは推理が必要なのですが
やはり ハラバリタヤ かと考えます
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ハラバリタヤとは 放ちたまえ! という意味です
前回の記事では、以下のイメージ図を使いました
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これは ピカッと光っている感じですね
ピカッといえば、夜空にとどろく雷をイメージできませんか!
闇夜に光を放つ天鼓雷音如来を想像させます
このように光明真言には
胎蔵界五仏が内蔵されているのです
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胎蔵界五仏からの光明真言
それでは胎蔵界五仏視点で
光明真言を解釈するとどうなるのでしょうか?
【オン】
全身全霊で大日如来に帰依する という意味です
【アボキャ】
大日如来を信じれば必ず願いがかなう という意味です
【ベイロシャノウ】
太陽の光は植物を育て、成長させ、実らせます
同じく人の心を明るくし、エネルギーを与え、
ポジティブに変え、動かし
成功や豊かさをもたらします
生きていく原動力です
【マカボダラ】
身口意がそろった三密瑜伽 という意味です
手で印を組み
口で光明真言を唱え
太陽の光を意識することで
大日如来の力が活きてくるのです
【マニ】
仏教徒としては
悟りを求めて開始する気持ち=発心
を誰でも持っている
一般人としては
幸せや豊かさ、成功を求める気持ち=願い
は人それぞれにある
例えば料理人になってお店を持ちたいとか
【ハンドマ】
玉磨(みが)かざれば光なし
仏教徒としては
悟りに向かって努力を積む=修行
を実践していくこと
一般人としては
願いをかなえるために動くこと
例えば料理学校に入ったり、動画を見て勉強したり
師匠について教えてもらったりなど
【ジンバラ】
仏教徒としては
気づき、悟りを得る状態=菩提
をたびたび感じるようになる
※ちなみに悟りとは、世の中や人生のことが、スッキリとわかって悩まなくなった状態をさします
一般人としては
ヒントや助力を得られる時がくる状態
例えば料理の味付けのヒント・コツがわかったりとか
お店の資金をサポートしてくれる人に出会ったりとか
【ハラバリタヤ】
仏教徒としては
自分だけが光を感じている状態にとどまってはいけないのです
修行して得た知識や、体得した智慧などを、今度は周りの関係ある人たちに話し伝えていくことで、
悟りが完成する=涅槃
となるのです
一般人としては
願いがかなったら、周りの人に福を与えていくこと
例えば、料理人として一人前になって、お店を持てたら
今度は弟子をとって、教え育てていきなさい と
そうすることで、真の料理人になったといえるのです
【ウン】
満願 という意味です
以上、光明真言を唱えることで、仏教的には
発心 → 修行 → 菩提 → 涅槃 と
悟りをキーワードにあなたが進化していくようになります
一般の人からすれば
願い → 努力 → 成就 → 他愛 と
いい人生の歩み方が描かれていくようになります
そのすべてを応援し見守っているのが 大日如来の光明 と推測します
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四国お遍路の意味
さて、ここまできたら
四国お遍路の旅をしてきた人は
気づくのではないでしょうか
そう、あの地図です
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徳島---発心の道場 東
高知---修行の道場 南
愛媛---菩提の道場 西
香川---涅槃の道場 北
あなたが四国八十八ヵ所を回るということは
すなわち胎蔵界曼荼羅の
中台八葉院を実際に歩いて回るということになります
その時、一緒に歩いて見守っていたのは誰ですか?
そう、弘法大師空海さんです(同行二人)
そのご宝号は
南無大師遍照金剛 でしたよね
遍照金剛とは
「太陽のごとくすべてを照らす慈悲と、人を幸せにする仏さまの砕けることなき智慧の持ち主」という意味があり大日如来の別名でもあります
ですから大日如来の化身、太陽の光を意識しながら
88ケ所のお寺を回り
そして読経をするのは
理にかなってると思うのです
※お遍路の作法については
別記事をご参照ください
まとめ
光明真言には、胎蔵界五仏が隠れていました
大日如来を中心にして
発心 → 修行 → 菩提 → 涅槃 と
悟りが進化していく過程が入っていました
まずは、朝一番に東の空、太陽に向かい
手を合わせ(身)
光明真言を唱え(口)
光を浴びていると感じましょう(意)
意識は現実を創る という言葉をご存じですか?
そこで光明真言を唱え終わったら
次にすることは
自分の願いをしっかり明確に意識し(意)
願いを声に出して言い(口)
手を合わせ、思いついたことをやっていきましょう(身)
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