赤い傘 詩
透明な傘じゃ忘れてしまうからって
黒田が買ってくれた傘は
見事なまでに赤
白いキャンパスの上に立てば
空からだったら日本の国旗に見えるくらい赤
スペインの闘牛がいたらば
闘牛士よりこっちに向かってきちゃうくらい赤
それほどまでに目立つ傘ならば忘れるはずないねと
黒田に感謝
翌日には黒田に謝
罪
帰りは見事なまでに晴れていたし
大学の講義が珍しく五コマもあって疲労困憊していたのもあって
あんなに赤い傘だったのに、3-Aの講義室前の傘立てに傘立てたままにしちゃった
次の日取りに行ったら誰かに盗られてた
ごめんね、黒田
謝らなくてもいいよ、また買ってあげるよ、雨の日は僕が傘をさしてあげるというあなたの優しさを愛しいと思えなくて
ごめんね、黒田
次の赤い傘はあの牛のように黒田を熱烈に求めてくれる人にあげてね
ってそんなことも言う資格わたしにはないか
じゃあまたね、黒田
明日は雨かな
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