仕事をちゃんと辞めた日
いつも読んでくれている方、こんにちは。初めての方も、こんにちは。ほのぼのとサラリーマン生活を送っている、たまごまるです。
現職に就いてから数年が経過しました。こんなにも長期間同じ職場で働けているのは初めてです。
続けられているのは、僕に合った職場環境のおかげってのもありますし、あの時の出来事のおかげでもあります。
あの時。
久しぶりにちゃんと仕事を辞めることができたあの日。
◇
新卒で入社した会社をバックれて以来、逃げ癖がついてしまった僕は、そのあと何度もバイトをバックれました。
正社員なのに、辞めると決めてから一度も会社にいかず、一度も会社の人に会わずに辞めることができた経験をしてしまったせいで、辞めることへの抵抗感が薄れてしまっていました。
特にバイトの場合は、バイトなんて多くの人がバックれているし、僕だってバックれてもいいだろという甘い考えをしていました。
あの時の僕を一言で表すと
クズ男
その一言で表現できてしまいます。
見栄だけは誰よりもあって、同世代の奴らより稼いで年収マウントを取りたいからって理由だけで、何個もバイト掛け持ちして、勝手にキャパオーバーになって、好き勝手にバイトを辞める。
多くの人たちに迷惑をかけてしまっているのに、そのことにすら気づかない。
だからまた辞める。
そうやって、どんどんゴミ屋敷のように自分という人間が汚れていっていました。
そして、とある珈琲屋も同じようにバックれようと思い電話で、
「インフルエンザに罹ってしまったので暫くお休みさせていただきます」
と連絡しました。
そうです、その時には嘘をつくことなんて、当たり前になっていました。
そしてそのインフルエンザと偽って休んでいる間にバックれてやろうと思っていました。
そんな時に直属の上司である増田さん(仮名)からLINEが届きました。
「インフルエンザって聞きました。無理せずゆっくり休んでください」
これを読んだ時に、僕の中の何かが決壊しました。
ここでバックれたら、もう戻ってこれなくなる、と感じたのです。
そして、直接増田さんに会いに行って、
「インフルエンザは嘘で本当は仕事を辞めさせていただきたいです」
と久しぶりに自分の口で直接辞める意志を伝えました。
当然、増田さんは怒りました。
嘘をつくことはあり得ない、と。
しかしそれと同時に
「たまごまるの苦しみに気づいてあげられなくてすまなかった」
と、涙を流して伝えてくれたのです。
「必ずたまごまるに合った仕事は見つかるから、焦るなよ」
とも言ってくださいました。
僕が心を開いていなかっただけで、増田さんはこんなにも温かい言葉を贈ってくれる人だったんだと知りました。
そして、これまで、どれだけ多くの人に迷惑をかけてしまったのかも、その後少しずつ、少しずつ理解していけました。
そしてこの日久しぶりにちゃんと仕事を辞めることができたのです。
あいにく、その後も一度仕事を辞めたのですが、もうその時にはバックてやろうという気持ちは一ミリもなく、ちゃんと辞める意志を伝えて辞めました。
もしかしたらこの先、今の仕事も辞めるかもしれませんが、もう二度とバックれることはありません。
あの時、叱りながらも、温かい言葉をくれた増田さん、本当にありがとうございます。
◇
僕は過去にこうやって、人に迷惑をかけてしまいました。
誰しもが大なり小なり十字架を背負いながら生きています。
決して過去は変えられないから、十字架が消えてくれることもありません。
ですが、その十字架を背負ってしまうような経験があったからこそ、成長できた部分があるのも事実です。
重松清さんの十字架という小説にこう書かれています。
僕らにできることは過去の過ちを無かったことにするのではなく、過ちを受け入れて、それでも歩き続けることだけなのです。
あとは十字架を背負ったまま歩くのか、十字架に見守られながら歩くのか、どうやって歩いていくかも、僕らは決めることができるのです。
終