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妖艶な月は燃え盛って

R18?念の為18歳未満の方は18歳の誕生日を迎えた瞬間にこの記事読みにきてくださいませ。それではどうぞ。




僕の名前は涼。これは僕がまだピカピカの新入社員一年生だったころの話だ。その時、僕は営業として東京への配属になった。

ここである一人の女性と出会った。彼女は違う部署で働いている一個上の先輩だ。

彼女の名前は香織さん。香織さんは感情を表に出すような人ではない。いつも落ち着いていて、大人びていた。その仕草と顔立ちとスタイルの良さが相まって、歳が一つしか変わらないとは思えない程に美しい女性だった。

そんな香織さんも働くこの営業所には一個上の男の先輩が二人、そして香織さんとは別の女の先輩、そして同期の女の子がいて、僕ら六人は仲良くなった。

歳が近かったと言うのもあるが、六人には共通している点があった。それは六人共ビールが大好物だったことだ。

だからよく六人で美味しいビールが飲めるお店に行っては、たわいもない話で盛り上がった。

そしてすぐに香織さんには彼氏がいる事を知った。話を聞く限りでは性格も外見も素敵な彼氏さんだ。

六人で飲みに行っていると、決めているわけではないのに自然と座る位置が決まってくる。

僕の席はいつも通路側だ。奥の席には男の先輩が座る。そして対面は大体同期の女の子。対面の一番奥に香織さんが座る。

僕と香織さんの距離は六人の中で一番遠い。


少し離れているから、ちらっと見ても気づかれない。

吸い込まれるような美しさだ。そして何より好きだったのが、香織さんの食べている時にふと見せる笑顔だ。食べている時も淡々としているのだが、よく見ていると、美味しいものを口にした時に思わず笑顔が溢れ出してしまっていることがある。

そんな一瞬の笑みに僕は何度も時を止められた。



飲み食いが終わると、それぞれの帰路に立つ。僕と香織さんは帰る方向が同じなので、いつも彼女の住むマンションまで歩いて送っていった。


この時だけは六人の中で僕と香織さんの距離は一番近い。帰り道、たったの五分。この五分が僕の一番好きな時間だった。



十二月、この月は同期の女の子の誕生月だった。そこで僕が幹事となりいつもの六人でその子の誕生会をすることになった。そして僕だけでは頼りないからと香織さんも誕生会の手伝いをしてくれることになった。

一緒にお店を決め、誕生日プレゼントも選びに行った。お店はいつもなら干物がうまい行きつけの居酒屋なのだが、誕生会くらいは洒落たところにしようと、ビールとチョコレートを一緒に嗜むような小洒落たお店に決めた。

そして当日、同期の女の子を盛大にお祝いした。いつもと変わらずたわいもない話で盛り上がったが、一つだけ違った。

僕の対面には香織さんがいる。


普段は席が離れていて、飲んでいる間はそんなに話ができない。でも今日は対面に座ってくれているから、いつもより沢山話をした。それに一緒に幹事をしたから共通の話題も豊富で、いつも以上に話に花が咲いた。

それから、これまたこの日だけだったのだが、お祝いだから皆でダーツバーに行くことになった。ここで誰一人も帰ろうとしないのも六人の仲の良さを感じられて心地良かった。

ダーツバーでは丸いテーブルが配置されていた。

ここでももちろん片手にはビール。そして皆でダーツを楽しんだ。

ダーツを楽しみながらも、この日はまだまだ香織さんと話が盛り上がった。

ここでは、より込み入った話もしてくれた。どうやら香織さんは、彼氏とあまりうまくいっていないそうだった。別れようかどうか悩んでるんだ。と僕に打ち明けてくれた。

僕はその話をただ、ふんふんと、聞いていた。

二軒目ということもありアルコールもいつも以上に入っている。アルコールのせいかと思ったが一瞬、香織さんが僕を見る目が色っぽい目つきになった。僕もアルコールが普段より入っているから、いつもより大胆になれた。しっかりと香織さんの目を見つめ返した。

丸いテーブルに腰掛ける二人。



ダーツもひとしきり楽しみ、六人はいつものように散り散りに帰っていった。

残ったのは僕と香織さん。いつものように彼女のマンションまで送っていこうと思った時、香織さんとまた目があった。

自然と

もう一軒行きますか?という言葉が口から出ていた。

香織さんは、コクリ、とだけ頷いてくれた。

そして僕らは近くの一軒目行ったお店よりお洒落なバーに入った。


そこに配置されていたのは、二人掛けのソファ。


僕と香織さんはそこに腰掛けた。

ここでもお互いビールを注文し、こういうとこでも結局ビールかい!と二人で笑った。

それからまた何気ない話をしていたが、

一瞬、話に空白ができた。

そこで僕らはまた見つめ合った。背景には間接照明の光が灯されていたはずなのに、この時は香織さんのことしか見えなかった。

そして僕らはどちからともなくキスをした。フレンチキスなんかでは無い大人なキスだ。

服の上からでも香織さんの体が火照っているのが伝わってきた。

キスを終え再び香織さんの顔が見える距離まで顔を戻す。ずっと見つめ合いながら。

言葉はどちらも発しない。ただ彼女の手を握り、バーを後にし、マンションまで歩いた。いつもなら外でさよならだけど、今日はこの繋いだ手を繋いだまま、マンションの中に入った。

香織さんの住む部屋は7階。7階まで登るエレベーターの中でも二人はキスをした。

そして香織さんの部屋に入るやいなや、すぐにお互いを求め合った。

そして香織さんと僕は相手が潰れてしまうのではないかと思うほどに強く抱きしめ合い絡み合った。

でもこの時の香織さんはちょっとズルかった。

全ての行為が終わったあとこう言った。

ごめん、後一週間だけちょうだい。彼とのこときっちり整理したいの。

僕は平然を装って、うん。と返事をしたが内心は動揺しまくりだった。

だけど僕にできるのは香織さんを信じて待つだけだった。

そこからの一週間はある意味永遠に、ある意味一瞬で経過していった。何も手につかなかった。



そして一週間後の週末、香織さんから連絡が来た。あの件で話をしたいからまた家まで来てくれるかな、と。

そして僕は香織さんの部屋に入った。

ドキドキしすぎて、心臓が破裂しそうだった。

そんな僕を見て香織さんが微笑みながらこう言った。

そんなドキドキしないで。もうあの夜で答えは出てたよ。私は涼と付き合いたい。大好き。だから彼にもちゃんと気持ちを伝えて、別れてきたよ。付き合う前にしちゃうような私だけど、付き合ってくれる?


僕は涙目で答えた。

僕こそごめん。彼がいると知っていたのに、付き合ってもないのに、勢いであんなことしちゃって。でも僕も香織さんのこと死ぬほど愛してる。だから僕の彼女になってください。

香織さんはうん、うんと涙目で僕に抱きついてきた。

僕はそんな香織さんを優しく抱きしめ返した。

そして優しくキスをし、あの日以上に激しくお互いを求め合った。

その想いは部屋の中から溢れだして、二人は気付けばベランダにいた。

ベランダで後ろから香織さんを突きながら、二人で見た月はなんとも妖艶に燃え盛っていた。

終わり















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宝積たまる
ここまで読んでいただきありがとうございます。