重なり
重なっているモノが好きだ。
長い月日を経て降り積もった砂利や岩石によって織りなされる地層が好きだ。
そこに地球の歴史を感じとることができるから好きだ。
重なりとは歴史なのだ。
昨日は、そんな『重なり』を思う存分堪能した1日であった。
🐥
今月は僕の誕生日ということで、ちょっと早いが誕生日デートをしてきた。
誕生日デートの時だけは、僕の欲望全開で動く。
欲望に忠実になると、僕は重なりを求める。
まず手にした重なりはこれだ。
ベーコンチーズハンバーガー
ベーコン、チーズ、肉、レタス、パン、それぞれの層が独立しているようで、口の中に入ってくる瞬間には、一致団結して襲い掛かってくる。
完全完璧なハーモニー。
食べた僕は心でこういうしか許されなかった。
「んうめええええ!最高か」
🍔🐥
普段なら、これだけで終わらせるのだが、誕生日デートはこんなものでは終わらない。
次なる重なりを求め、僕はとあるコーヒーチェーン店へ赴く。
そこで、大好物な重なりを注文した。
これだ。
ドトールのミルクレープだ。
いつ見ても美しい重なり。
クレープとホイップの層の繰り返しが、もはや芸術作品のような断面になっている。
断面フェチにも堪らない逸品だ。
色んな有名店のケーキを食べてきたが、誕生日に何が食べたいかってなると決まってこいつに戻ってくる。
いつ食べても、どこで食べても美味しい。
今年もミルクレープを味わえて幸せだ。
そんなミルクレープの完璧な重なりを見ながら、僕はあの日の重なりを思い出した。
🍰🐥
小学生の修学旅行の時。
修学旅行って、日常からかけ離れるから変なテンションになる。
修学旅行1日目の夜なら尚更だ。
僕らは10人以上で同じ部屋に宿泊していた。
携帯もスマホも持っていない年頃だ。
ただ、遊びのアイデアは無限に湧いてくる。
枕投げ、恋バナ、追いかけっこ、トランプ、などなど。
到底一夜じゃ遊びきれない。
そんな中で、誰かが唐突に言い出した。
「どれだけ重さに耐えられるかやってみようぜ!」
面白そうなアイデアには皆ピラニアの如く瞬時に食い付いてくる。
「いいね!じゃあ、じゃんけんで負けた奴から順番に重なっていこう!」
「いいね!いいね!やろう、やろう」
10人の少年が集う。
「出さなきゃ負けよ!最初はグー!じゃんけんポン!」
「よっしゃ〜勝った!」「うわ〜やべー負けた」
そんなことを言いながら、結局僕が負け、1番下に。
容赦なく上に重なってくる少年達。
一人二人、四人目くらいまでは余裕だった。
それが五人、六人あたりから怪しくなってきて、七人目の大輔くんが重なった瞬間、限界を感じ
「もう無理!ムリムリ!!ギブギブギブ!!!」
ギブーーー!!!
と叫んでいた。
そんな僕を見てゲラゲラ笑う少年達。
下手したら圧迫死するような遊びだ。
あんな『重なり』だけは二度としたくない。
て?え?
ここは誕生日っぽく、こうこうこういう風に歳を重ねていきたいって話題に持っていって締めるとこだよね?
ね?
終わり
重なり
それは
同じ繰り返しなど意味のないことだ、
と嘲笑う人々の罵声に耐えながら、
自分のしていることを信じてひたすらに
同じことを積み上げた結果だ。
実はこの文消し忘れてた文なのだけど気に入ってくれた人がいたからそのまま残しておきます。