コロコロ変わる名探偵
母ちゃんは気分屋。言うことがコロコロ変わる。この前もダイエット始めると宣言したのに、学校から帰ったら煎餅食べてた。
「母ちゃんダイエットはどうした」
って聞いたら
「お隣さんが持ってきてくれたのよ。ダイエットは明日からにするわ」
だとさ。きっと明日も始めないだろう。
そんな母ちゃんだけど、俺は尊敬している。
昨日、太郎に些細なことで言いがかりをつけられた。俺の彼女と2人で下校しただろう、と言われたが、そんなことした覚えはない。
だけど太郎は興奮して、殴ってきた。俺はぐっと耐えた。太郎は卑怯にも腹周りだけ殴った。だから誰も俺が殴られたことに気づかない。先生も母ちゃんも。
俺はやりきれなくて部屋で声を押し殺し泣いた。
翌日、昼の弁当を食べようと風呂敷を開いた。
一枚の紙が弁当の上に置かれていて、そこに
「母ちゃんはお前を誇りに思う」
と書いてあった。
母ちゃんは気づいてくれていた。言うことはコロコロ変わるけど、俺のことを誰よりも深く理解してくれている母ちゃんは、そんじょそこらの名探偵より、名探偵だ。
終わり
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