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ガンダムビルドダイバーズRe:RISEを見た【後編】


 これの続き。約5年越しのダイバーズマラソン、第2クール編である。1クールまではギリギリ見たことがあったのだが、ここからは全くの初見だ。なんかチャンプが暴れたらしいという噂は耳にしたことがあるがチャンプが暴れなかったことはないのでネタバレになっていない




【第十四話 めぐりあい、そして】


 「リアル」であることが判明したエルドラのこれまでの出来事や少しの新情報がフレディの視点から語られる。いわゆる振り返り回、総集編だ。TV放映時種のトラウマがあるため一瞬身構えてしまったが、一クールの間が空いていることを鑑みれば当然の措置だろう。水星の魔女の2クール目開始時にそういうのが無くて逆に驚いた記憶がある。あちらはシャアが総集編をしていたから無問題であるが。
 村を守ろうとして身を挺してヒトツメをおびき寄せたフレディ。守りたいものの為に一生懸命になれる、彼もまたBILD DiVERS(誰かの為に頑張れる人)なのだ。

【第十五話 使命、再び】


 ガンプラが転送されないから他の拠点を探そうといういかにも「ありそう」なクエスト。ヒトツメの新型がウィンダムなのはやはりフレディたち新人類を排除して青き清浄なる世界を作ろうというアルスの理念が影響しているのだろうかとSEED FREEDOMがまだ脳裏にこびりついているタイミングだったので余計感じてしまった。普通に種運命時代の地球連合メイン機体だから何も考えてない可能性の方が高いかもしれない。
 マイヤがハンドル握ると性格変わるタイプである事実、無限に可愛げが発生している。カザミ、一生エルドラで生きる覚悟を決めろ。

【第十六話 天空の大地へ】


 本当に申し訳ないが三回くらい「ラピュタ?」と首を傾げる回。それよりも重要なのはアルスのガンダム、アルスアースリィガンダムの初お披露目回ということだ。意外だったのはアルスが凄い勢いで煽ってくることだ。CVも相まって無神経無理解全部自分が正しいムーブが似合うシステムである。
 クアドルン登場。シークレットストーリーミッションの噂「ドラゴンみたいなNPDがいる」は真実だったのだ。パルのヴァルキランダーを見て村の人々が神獣だと言っていたためもっとカラフルなのかと思いきや黒を基調にしたシックなデザイン。それでいてメカニカルな翼の意匠が美しい。これのプラモ出しませんか?バンダイ。

【第十七話 聖獣クアドルン】


 なぜアルスがフレディら「新しきヒト」を駆逐せんとするのか。過去何があったのか語られる回。
 今までビルドシリーズは近未来であり、ガンプラが動かせるシステムがあることのみが現実世界との差であるように描写されてきた。(いやどうみても販売されたことのない機体とかがあるというのはさておき)そこで今回のエルドラ、30光年先というあまりにも近いところにある哺乳類が生息可能な惑星の存在はファンタジーに大きな一歩を踏み出したように思えた。しかし実際にはそうではなく、「アルスの有無」により世界線が分岐したのだというネタバラシはなるほどな……と唸らざるをえなかった。オタクはある一点のみの差異で大きく変わる未来が好きなのである。
 また暴走したアルスを止めるためにクアドルンがゼルトザームのパイロットであるシドーを招聘したことも明かされる。シドー、結構ソロプレイとかしてそうな雰囲気だがシークレットストーリーミッションの情報を市井に流すくらいの社交性があるのだろうか。

【第十八話 完璧な狙撃者】


 今までの17話分を全て助走とするかのような怒涛の展開。前衛と後衛をきちんと分担し協力するDiVERS。「完璧なヒロト」を模したのだとのたまうアルス、その言葉に違わず正確な射撃をするアルスアースリィ。放たれるビーム!狙いを先読みして相殺ビームを撃つヒロト!カザミが構える盾と発散していく光!射線軸から機体位置を特定してアルスアースリィの銃を打ち落とすヒロト!そしてかつてのアーマーを部分的ドッキングしてアルスアースリィを仕留めるヒロト。歪んだ盾を見下ろすカザミ。ここのバトル描写が今までで一番好きかもしれない。あと遺跡に避難してきたマイヤを守るべくちょっと劇画調になりながらタックルを決めるカザミが好きだ。カザミ、結婚してくれ。マイヤと。
 アルスアースリィを打ち倒した後、一人たそがれるヒロト。さんざん匂わされてきた金髪美少女の悲しい別れの詳細が話される。

【第十九話 君がいなければ】


 これを書いていて気づいたのだがこの話、こんな題名だったのか……。君がいなければ(GBNを止めていたかも)君がいなければ(たくさんのユニットを作ることはなかったかも)君がいなければ(喪失の悲しみを知ることもなかった)
 GBNでのヒロトとイヴの交流は本当に微笑ましく、柔らかなものだった。あまりのことにテレビの前で「好きじゃん!!!!」と三回くらい叫んだ。ヒロトがGBNに持ち込んだイヴの瞳の色をしたイヤリング。好きじゃん。それはどうやって作ったんだ。超絶ミニサイズをピンセットか何かで作ったのか。
 しかし、イヴはのちのELダイバーとなるデータをバグとならないよう抱え込んでいく。始まりの湖畔で、彼女はヒロトに自身の終わりを願う。
 最悪。

【第二十話 託された願い】


 今までも散々匂わされてきたイヴの消滅。しかしその真相は視聴者の予想よりも遥かに残酷なものだった。少なくとも私はそこまでのことだとは思っていなかった。共に戦ってきた、共にアイデアを出し合ったコアガンダムの銃口を自ら引く。愛する者の命を自ら奪う。
 率直に言ってこの時点で重すぎる。ビルドシリーズが背負うべき業ではない。
 しかし、これはELダイバー事変の前の段階。第二次有志連合の戦いでヒロトはアヴァロン側として参戦。チャンプを突破したリクを狙える場所にいた。引き金を引こうとして、消滅する間際のイヴの願いを思い出す。反射で引き下げられる銃口、抉られた大地、降り注ぐ汚泥。嘔吐。ここのアースリィの作画、本当に綺麗でおぞましくて好きだ。
 ずっと重い。リクはヒロトを知る術はなく、逆もまたしかり。リクだけがサラを救えた。ヒロトにはできなかった。天秤の不均衡は憎しみを生むことをイヴは知っていて、未来を託したのだろうか。
 この夕暮れの独白中、ヒロトの視線の先にあるビームシュートライフルU7は墓標なのだと公式サイトに記載がある。恐らく、彼はようやくイヴの墓を建てられたのだろう。語り終えて泣くヒロトを抱きしめるメイはカガリに重なる。

【第二十一話 もういちど飛ぶために】


 ガンプラ刷新回。ところでカザミが旧HGイージスを祭りで手に取る場面から逆算するに彼は1997年前後の生まれなのだろうか。イージスは変形機構を持つ複雑なガンプラかつHGCEが未だ発売されていないはずなので改造は容易ではなかっただろう。
 クアドルンの翼をガンプラで直すという発想、自由の権化。今ならプラウドディフェンダーのパーツだと言われそうだが、当時はどのパーツ想定で作画されたのだろうか。
 ファイターズの功績がmm穴共通化、トライの功績がチビッガイだとすればダイバーズの功績はハロ派生の普及だろうか。ハロボディで唐揚げを食べるヒロト、もう可愛げなどという次元を突破しており、良い。

【第二十二話 刻限のゼルトザーム】


 死が迫るシドーを救うために奇跡を起こしに行く四人。νとアルケーはどちらもファンネル(ファング)装備機なところがアルスの思想が見て取れる。彼にとっては送り込む機体は全てファンネル、遠隔操作の子機なのだ。
 自らの終わりを望むシドーに超絶カッコいい魔法陣ビームを放とうとするクアドルンと、それを止めるヒロト。ずっと後悔し続けてきた彼がクアドルンを止めるのは、あの日の自分の否定。
 ガンプラとは可能性だ。ビルダーの想像力により姿かたちを無限に変えて、それに制限はない(肖像権は守ろう!)。コアガンダムも数多の可能性を全て実現したくてドッキングシステムを組み込んだのだ。しかし、最期の時にイヴを撃ったのは何にもドッキングしていない、ただのコアガンダムだった。それは可能性の種、彼女との出会いの思い出。花咲くことのなかった結果。あの時届かなかった命、越えられなかった壁をサタニクスガンダムのドリルが貫く。解放されたシドー・マサキの魂は現実世界へと還り、臨死からの蘇生を果たす。想いが、奇跡を繋いだのだ。

【第二十三話 選択のとき】


 最終決戦前の箸休め回であり、今後の為のガンプラブラッシュアップとして重要な回でもある。全員合体というとてつもないものを提案するカザミ、お前がリーダーだ。
 また、マギーさんがSNSでカザミの動画を共有していたために閲覧数が物凄い事になっているのがこの前後で判明するのだが、以前ならすぐに気づいたはずの閲覧の跳ねに今の今まで気付かなかったところに彼の変化が見て取れる。これからも動画投稿は続けていくのだろうが、彼の自己顕示、自己表明の場はそれだけではなくなったのだ。
 衛星砲の破壊のためのリハーサルとしてその広いコネを存分に使うマギーさん。好きだ。

【第二十四話 ビルドダイバーズ】


 凶悪版ロータスチャレンジに挑む一行。前作のビルドダイバーズを見ていたファンへのサービス回だ。懐かしい顔ぶれが楽しそうにヒロトたちへ襲い掛かる。
 特筆すべきはやはり、ヒロトとリク、サラの対話だろう。ロータスチャレンジが成功した浜辺で彼らは向かい合う。張り詰めた空気を破ったのは互いの謝罪だった。
 リクは、サラはしらなかった。ヒロトは一方的な恨みから撃とうとした。リクはさっぱりとした顔をしているが、この時ヒロトはもう少し言いたげな表情をしている。しかし、それらを飲み込んだ彼の瞳は年相応にまた輝きだす。彼が引かなかった引き金は、未来で彼の心を救ったのだ。

【第二十五話 僕が描く未来へ】
 突然だが、私は機動戦士ガンダム SEED C.E.73 STARGAZERが好きだ。コズミック・イラという絶滅戦争万歳の世界において、外宇宙へ漕ぎ出そうという人の輝きは時に星よりも美しい。
 その、スターゲイザーでの主要技術といえるヴォワチュール・リュミエールを使ってヒロトらは地球から宇宙へと飛び出す。スターゲイザーはそもそも人工知能のみで運用されることを想定された無人機だ。無機質な「401」という番号から技術者のソルの手によって願いを込めた「スターゲイザー」という名をつけられた。人の願いで作られた技術が太陽風を背に受けて宙へと上がる。イヴの姿を幻視しながら彼女の願いの一つを叶えたとき、ヒロトの呪縛は一つ解けたのではないだろうか。
 最終決戦、リライジングガンダムお披露目。かつて同じ地で達成すべきミッションもわからずバラバラに右往左往していた彼らは既にない。カザミ、ファンネルってそういうのじゃないぞ。SDガンダムも加わる全機合体という偉業を成し遂げたリライジングガンダムは衛星砲を壊し、アルスを追い詰める。最後の手段とばかりにGPNに自勢力を引き連れて逃げ出すアルス。高負荷データを受け止めて2年ぶり三度目となる崩壊の危機を迎えるGPN。絶体絶命か。
 ところがぎっちょん!!

【第二十六話 Re:RISE】


 再起の物語と題されたリライズ。視聴者はこれまで様々な再起を魅せられてきた。そしてその瞳は今作のラスボス、アルスにも向けられる。
 エラーを吐き続け暴走するシステムと成り果てた惑星防御装置。彼にも再起の可能性はあるのだと、終わらせるために倒すのではなくまた立ち上がるために倒すのだと。
 ELSよろしく進撃してくるアルスに対抗する連合達。前作のキャラクター達がまた一丸となって戦う姿はとても良い。ファイターズ無印のころからの伝統として最終決戦オールスターズがあるのは嬉しいものだ。ロンメル隊長、複垢作るのは良いけど声が特徴的すぎるよ……。よかったねカザミ、これがキャプテンジオンだぞ。
 ここでチャンプが最後の一撃を喰らわすのだが、絵面の様子がおかしい。思っていた三倍くらい暴れている。トライエイジ通ってんの?チャンプ。AGE好きだよね本当にずっと……。というかGPNとトライエイジがコラボしてるなら他のゲームもコラボしてるんですよね?将来アセべコラボするんです?
 倒されるアルス。かつての主からの出迎えを受けて眠れたのはせめてもの慰めか。花畑の中、メイはアルスの転生体である赤子を抱き上げ、自らの成り立ちを話す。
 メイもまた、再起した生命であったのだ。
 そしてELダイバー自体もかつてのエルドラの民のデータから作られた可能性があると示唆され、エルドラのその後が少し描かれて物語は終わる。カザミ、エルドラに骨をうずめる覚悟を決めろ。

【終わりに】


 ガンプラは自由。ガンダムビルドファイターズトライにて三代目メイジン・カワグチから提示された金言を体現する展開だったように思う。全機合体はビルドファイターズ最終回からの流れを汲みながらもより複雑で計算されつくした発展形だ。ドッキングシステムが数多の可能性を実現するものなら、リライジングガンダムは全ての可能性を体現した姿とでもいえよう。
 ただ、やはり手に汗握るスポーツ漫画としてのビルドシリーズからは一歩ガンダムシリーズのシビアさに踏み込んだ作品であるという点には言及しなければならない。電子生命体の生と死に主人公が直接かかわるというのは視聴者に対してもかなり心にくる展開だった。リアタイ視聴者はどうやってこれを乗り越えたんですか……?
 総評として本当に楽しめた。動くガンダムもなくなってしまったしコアガンダムを跪かせて赤レンガ倉庫の脇に建ててくれ。

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