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眠れないホテル、MANGA ART HOTEL,TOKYOに宿泊してみた!

 多くの書店や古書店が立ち並ぶ東京・神保町に2019年にオープンしたMANGA ART HOTEL,TOKYO。”眠れないホテル”がテーマの同施設は、「広義の”アート”という観点から厳選された」という5000冊以上の漫画に囲まれて、ひたすら漫画の世界に浸ることができるコンセプト型カプセルホテルだ。
 「漫画喫茶とどう違うのか」「カプセルホテルでプライベート空間は確保できるのか」「気になるけど勇気が出ない」という漫画好きのために、実際に宿泊してみた。インバウンド需要にも対応。漫画好きにはたまらないホテルだった。

キャッチ画像=©Tan Yamanocuhi & AWGL 設計:山之内淡 撮影:宇田川俊之


 MANGA ART HOTEL,TOKYOは地下鉄神保町駅から7分ほど歩いた、地上9階建ての商業ビルの4階と5階にある。4階が女性専用フロア、5階が男性専用フロアとなっている。チェックインは5階で行うが、それ以外にフロアの行き来はできない。
 チェックインを済ませ、4階の鍵番号を入力してドアを開けると、”MANGA ROOM"と書かれた扉が目の前に現れた。扉を開けた先には今年漫画大賞を受賞した漫画が1位から順に並べられている。さらに奥へ入っていくと、所狭しと漫画が並んだ空間が広がっていた。

今年漫画大賞を受賞した作品の数々
棚にはびっしりと漫画が並んでいる

インバウンド利用者も多く来訪

 見渡す限りの漫画の数々に圧倒される。漫画好きにとってはこれ以上ない至福の空間である。
 棚には浅野いにおの『おやすみプンプン』やよしながふみの『きのう何食べた?』などの有名な作品もあれば、初めて聞く名前の漫画もある。知名度に関係なく様々な漫画が置かれている。
 さらに印象的だったのは、英語版の漫画がたくさん置かれていたことだ。しかも、実際に宿泊してみると、外国人客の多さに驚いた。海外には日本の漫画のファンが多くいるという。インバウンド需要に応えた品揃えだったのだ。おそらく海外のファンにも、ここに来ると英語版が読めることが知られているのだろう。「日本の漫画が好きだけど日本語はわからない」という外国人客も、これなら楽しむことができる。日本人としても、日本で売られているものとは表紙のデザインが違っていたりするのが、見ていて面白い。

『風の谷のナウシカ』の英語版
『東京喰種トーキョーグール』や『鋼の錬金術師』の英語版

 ほぼ全ての漫画に、内容を説明するキャプションが付けられている。タイトルが気になったり、表紙が魅力的だったりしてどの漫画から読もうかと悩んでいる時には、キャプションの内容が決め手になった。ここでも日本語の説明文の下に英訳が書かれている。

日本語と英語で書かれたキャプション

漫画喫茶とどう違うのか?

 漫画喫茶よりもMANGA ART HOTEL,TOKYOのほうが、より「漫画を読む」ことに集中できる空間だと感じた。漫画喫茶では漫画を読むこと以外にもインターネットを使ったり食事を取ったりすることもできるため、利用者の行動は意外と分散している。一方、MANGA ART HOTEL,TOKYOではほとんどの人が漫画を読んでいる。現実を忘れて漫画の世界に没入したいという人には心からお勧めしたい。このホテルでは宿泊のことを「漫泊」と呼んでいる。とにかく漫画を読むことに徹するために泊まるホテルであることを標榜しているのだ。
 なお、このホテルは、一人で静かに漫画を読むことを最優先して設計・運営されている。それゆえ飲食が共有スペースでしかできなかったり、22時以降になるとフロアの明かりが暗くなったりしてしまうことには留意が必要だ。フロア消灯後も、自分のカプセルや外のテラスで漫画を読み続けている人は多い。

©Tan Yamanocuhi & AWGL 設計:山之内淡 撮影:宇田川俊之
©Tan Yamanocuhi & AWGL 設計:山之内淡 撮影:宇田川俊之

カプセルホテルでプライベート空間は確保できるのか?

 一般的なホテルとは違って客室すなわち寝るためのカプセルに扉はなく、外との仕切りはカーテンのみ。また各カプセルには1台のベッドのみが設置され、天井もさほど高くないため、多少の圧迫感はある。しかし、ひたすら漫画を読むという目的から自ずと静かに過ごす客が集まるうえ、カプセルが分散して配されていることもあって、他の利用者の音はほぼ聞こえない。貴重品に関してはカプセルの中に金庫が設置されているので、安心して漫画の世界に没入することができる。


気になるけど勇気が出ない人へ

 一泊3000〜7000円というリーズナブルな価格で、5000冊の漫画が読み放題。”眠れないホテル”の名の通り、「あれも読みたい、これも読みたい」という気持ちが次々に湧き出し、時間を忘れて漫画の世界に浸ることができる。
 ネットでも漫画が読める時代になったが、ひたすら紙をめくって漫画を読み続けて得られる充実感は格別だ。漫画好きのあなた、神保町へ立ち寄る機会があった際には、ぜひ宿泊してみてはいかがだろう。

文=足立日菜子

MANGA ART HOTEL,TOKYO
住所:東京都千代田区神田錦町1-14-13
LANDPOOL KANDA TERRACE 4F,5F
HP:https://mangaarthotel.com/

MANGA ART HOTEL,TOKYOではアルバイトスタッフを募集しています。
気になる方はこちらのリンクをご覧ください。
https://note.com/manga_art_hotel/n/n5390c8840919

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