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未来を望む! 新たな国際アートフェア「Tokyo Gendai」を訪ねて
7月初旬、横浜市のパシフィコ横浜にて初開催となる国際アートフェア「Tokyo Gendai(東京現代)」を訪ねた。国内外73の現代アートギャラリーが参加する中で海外からの参加が半数を超え、注目を集めていたアートフェアだ。会場全体を保税地域として使用する資格を取得することによって、海外からの多くのギャラリーの参加が実現した模様だ。パリ、ロンドン、ニューヨークなど欧米のほか、北京やシンガポール、ソウルなどアジアからの参加も多く、国際アートフェアとしての存在感を示すフェアの様相を呈した。
フェア初日の7月7日は、日本や中国で毎年行われる伝統行事「七夕」である。会場中央では、そのイメージを表現に取り入れたという彫刻家・大平龍一のインスタレーション作品《The Circuit》が展示された。今回のアートフェアのために制作されたものという。たくさんの彫刻が立つ中に、レース場のような「サーキット」が敷かれている。伝統的な美意識や文化の多様性を問うコンセプトと、ダイナミックな展示方法が印象的だった。
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アートの未来のあり方を感じる展示
Tokyo Gendaiは、初めての開催にあたって、次のようなコンセプトを打ち出している。
Toyko Gendai は現代アートの売買をはじめ、トークプログラムやイベントなど充実したラインナップを通じて、カルチャーやインスピレーションの交流が広がるプラットフォームの確立を目指します。
会場は、四つのカテゴリーに分けられていた。Tokyo Gendaiのウェブサイトによると以下の通りである。
Galleries:ギャラリーを代表する作家による、クオリティの高い展示
Hana 'Flower':新人または中堅のアーティストの作品を展示
Eda 'Branch':著名な、または歴史的に重要なアーティスト、もしくはテーマに基づいて構成された展示
Tane 'Seed':デジタルメディアを中心とした展(NFT 、アニメーション、映画、AR、VR等)
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「Tane’Seed’」については米国の2つのギャラリーの出展にとどまっていたが、デジタルの世界で犬を飼うことができ、NFTアートへの変換も可能なエキソニモの作品などの展示があり、アートの未来のあり方を感じた。
現代社会の重要なテーマを探求するトークイベントも
アートフェアの役割を果たしつつ、トークプログラムも充実していた。美術家のほか、大林剛郎(コレクター、大林組取締役会長、⼤林財団理事⻑)・片岡真実(森美術館館長)・名和晃平(美術家)の3人によるダイアログや、蔵屋美香横浜美術館館長らによるセッションなど八つのアートトークを通して、今の美術界をめぐる状況を知る機会にもなったのではないか。多角的な視点からの考察にふれることにより、グローバルな問題とコンテンポラリーアートへの理解を深めつつ、現代社会に横たわる重要なテーマを探求していた。アートフェアは本来、作品売買のための場である。しかし、アートそのものが現代社会を映す媒体であることを鑑みると、こうした立体的な試みには大いに意義があるのではないかと思う。
文=王耀林
写真=小川敦生、王耀林
Information
◎Tokyo Gendai(東京現代)
会場:横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)
会期:2023年7月7〜9日
公式サイト=https://tokyogendai.com/ja/