里親オタオタ日記(9)
A君がうちに来たのが3月末頃で、たった2ヶ月と言えどこちらの中学校に入学するための入学準備をしなければならない。慌てて制服一式、体操服、通学用靴、体育シューズ、学校指定のカバン、ノートなどの学用品、更にこちらの地方は梅雨が長いので体操服などが乾かないと困るからと衣類乾燥除湿機も購入。それから私どもは実子がいないので入学式などというものには縁遠かったので私が着用する入学式用のジャケットも購入。バタバタと総額10万円くらいの買い物をした。この入学準備にかかる費用は後日児相から戻ってくるのだが、とりあえずはこちらで払わなくてはならない。なかなかの出費だ。でも私たちは今までやったことのない事だったので嬉しく浮き足立っていた。
そんな準備も終え明後日入学式という日の昼間突然「お散歩行ってきます」とA君が言うので「おっちゃん(うちの旦那)が帰ってくるから30分で戻ってきてね」と伝えて「はい」と返事してAが出掛けた。
30分後、帰ってこない…1時間後、帰ってこない…あれ、帰ってこない…ん?おかしくない?旦那に連絡。この日は祭典日の次の日で御下がりをあちこちに配りに会長である旦那は朝から出掛けていた。いつもならお届けした先で少しゆっくり話たりするなだが、「A君が帰ってこない!」との連絡に物凄い早さで御下がりを配り帰ってきてくれた、そこから近所中を原付で走り回って探してくれたがどこにもいない…こういう時よくお道の先生方のお話だとお願い勤めしたらみつかったとか聞くから私もと思うのだが落ち着いて神様の前に座れない「どうしよう…どうしよう…」と思いながらやっと座り勤めをしてみた。会長が児相に連絡して警察にも連絡するかと思った頃「家に帰ってました!」と児相から連絡来た。はぁ~っと気が抜けたと同時に「どうやって帰った?」A君の家から当教会まで70キロほどあるのに?お小遣い持ってきてないはずなのに?どうやって?と児相に聞いたら「本人が言うにはヒッチハイクして帰った」と言う。
ヒッチハイク?まだ小学生にも見えるくらいの子供が道端でヒッチハイクしてたとして果たして「いいよ。乗りなよ」と車に乗せる人がいるだろうか?ちょっと変だなと警察に連絡するのではないだろうか?など疑問が沸きまくるのだが、とりあえず見つかって良かった。
しかしA君は家に帰ったところで居る場所がない。無いから児相の世話になってるはずなのに…すぐに児相がA君本人と話に出動して話し合った結果「もうおっちゃんおばちゃんの所には戻らない」と言う本人の意思を尊重することになった。うちに来て12日後里親措置は終わった。
こんな突然里親って終わってしまうのか、そんなにこの教会は居づらかったのか?なぜ?私たちにだんな落ち度があったの?それまで浮き足立った気持ちが急に終わり寂しさしか残らず本気で泣いた。
後日、児相さんがA君の荷物を引き取りに来るとの連絡があり彼に使わせていた旧教祖殿に入って驚いた!部屋の中で台風が吹いたの?ってくらいぐっちゃぐちゃに散らかりまくっていた。その部屋を「なんでこんなことになっちゃうんだろう」と泣きながら一つ一つ片付けた。荷物を取りに来た児相さんに「どうして?うちの何がいけなかったの?」と質問したところ「里親さんが悪いんじゃないです。今回は朝起きるとか挨拶するとかA君もいい勉強になったと思います」と言ってくれた。そして新しく買った中学校用の鞄やらが空しく残った部屋を心をポッカリと穴が空いたまま眺めながら「このままじゃ寂しすぎて私壊れちゃう。早く次の里子をお願いしなきゃ」と思った。