里親オタオタ日記(10)
A君のことが片付いた頃、A君担当の児相さんから連絡があり「今回A君のために準備していただいた制服やら鞄やらの費用なのですが、A君が1回でも使っていればお支払できるのですが未使用のものは精算出来ないんです~………」「えーーーーーー!1円も戻ってこないの?えーーーーーー」である。
そんなことってある?と文句言ってもどうにもならない本当に踏んだり蹴ったりだ。こういう事で里親やめてしまう人も少なくないと里親担当さんから聞いた。だろうなと思う。
後日、A君担当の児相さんの上司から「どれだけ取り戻せるかわからないけど交渉してみるのでA君のために買い物した領収書を全て送ってください」とのことで会長である夫が送った。それと同時に「次の里子ちゃん早くお願いします」とリクエストしたがなしのつぶてだった。
それからしばらくして夏のショートステイ受け入れ申込書が届いた。これは普段は児童養護施設にいる子たちがお盆や年末だからと家に帰ったりとかは無いので、そういう子たちを里親家庭で短期間世話して帰省気分を味わうというものです。
A君ロスを埋めるためにも受け入れ申込書を提出した。
すると、高校生の男子をお願いしたいとのこと。
「お!夏に高校生!それは学修の対象者じゃないの」とまた浮き足立って「担当さんにそういうのに参加も含みでうちで世話するはどうか?」と聞くと「ショートステイと言っても1泊でお願いしたい。更に今回お願いする子は発達障がいがあり更に目を光らせていないと若い女の子にくっついて行ってしまうので、そういうのは無理かと思います…」とのこと。
あぁそうだったそうだった児相が関わるような子たちのほとんどが発達障がいなどがあって家に居られなくなった子だものね。普通の子とはちょっと違うものね。慣れない環境で慣れない人たちと長期間過ごすなんて物凄くハードルの高い事だったよね。と改めて心に命じ。1泊のショートステイを受け入れた。
2人目の里子 Y君
このY君がショートステイで来ると決まってから里親担当さんから「くれぐれも高価なお土産は渡さないでください」と注意された「はて?高価なお土産とはなんぞ?」疑問に思いながらショートステイ当日になった。
到着して早々、玄関で「自分用のスリッパ履いていいですか?」というので「どうぞ」と返事すると鞄の中からクロックスのようなサンダルが出てきた「それを履くの?」思わず聞いた、そして躊躇なく「はい」とお返事。「えーっと、う、うんわかった…畳の所はそれで歩かないでね。はい、上がって」とサンダル履いて歩いてるよ純日本家屋の神殿の廊下…落ち着け私。発達障がいの子は物にも強いこだわりがあるから、いきなり否定してはいけないと自分に言い聞かせ食堂でお茶を出した。ちょうど頂き物の○屋の羊羮があったのでお茶菓子に出した。お茶をしながら自己紹介など済まし施設の職員さんが帰ったあとY君がおもむろに「美味しいお菓子でした。でもこのようなお気遣いはけっこうですので」とか言われた。
一瞬ポカンとしながら「あそーですか」と答えながら「君のためだけに出したんじゃないよ!」と言う言葉を飲み込んだ。施設にいる子の特徴なのか口が達者な子が多い気がする。
前途多難、明日までがんばれ私。と自分に命じてショートステイが始まった。