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里親オタオタ日記(11)
さて、Y君が来て何をしよう。どんな風に過ごしてもらおうか考えあぐねた結果、お昼ご飯に手作りピザを作ることにした。
強力粉と薄力粉とドライイーストと水を混ぜて捏ねてという作業を一緒にやってもらった。なるべく手を出さずに自分で出来たという達成感を味わってもらおうと思ったのだが里子の特徴の一つ「経験値が低い」。何事も経験値が低いので粉捏ねるもままならない…色々助言したがなかなか生地になってくれないので結局手を出してしまった。生地を寝かせイースト菌を発酵させ生地を伸ばしてピザソースやら具材やらを乗せてトースターへ。こんなことやったこともない、手作りのは食べたこともないでとても美味しかったらしくほとんど彼が食べてしまった。里子の特徴の一つ「やたらよく食べる」今までに世話した子みんなそうなのだが本当によく食べる。こちらとしては喜んでくれるなら良しとついたくさん食べさせてしまう。
食後、休憩して午後は何しようかY君と話してみた
私「何かやりたいこととかある?」
Y君「別に…」
私「行きたいところとかは?」
Y君「別に…というか普段そんなにあちこち行かないのでわからないです」
は!やっとここで「高価なお土産は渡さないでください」の意味がわかってきた。
普段、近くのちょっと大きめのスーパーでさえも一人では行かない行かせられない(だって女の子についていってしまうから)と聞けば、我々里親はそれなら車でちょっと遠出がてら巨大ショッピングモールにでも行こうかとなる。そしてカッコイイTシャツの1枚でも買ってやろうかなんて気になってしまう。結果高価なお土産になるのだと。やっとやっと合点が行った。
先に注意されていたのもあって買い物に行くは無しにしていたので午後はちょっと部屋でゆっくりしたりテレビ見たかったら食堂で眺めたりしながら夕勤め後近くの温泉に会長と私とY君で行った。それすらも彼には初体験だったらしく、とても楽しい体験だったようだ。
そして、夜は早々に寝て翌日午前中にお迎えが来て彼は施設へと帰って行った。
とても短い滞在時間だったけど彼は今でも「ご飯が美味しかった、また行きたい」と思っていると職員さんから聞いた。
彼も近いうちに施設を出なければならない年齢がくる。果たして、一人でやっていけるのか?自立支援とかあるけど、そのくらいでどうにかなるものか?
里親の研修中に「施設を出てからの方が問題は大きいてす。」と言っていたのはこういう事なのかと。そしてほんの少しでも彼に関わった者として、また教会を預かる者として、いつでも遊びにおいで、ご飯食べにおいでと受け入れてあげられる場所であるべきなのだなと痛感した。