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里親オタオタ日記(14)

3人目の里子 最強女子Sちゃん---その3

児相の担当さんと事の顛末を話し、我々は席を外して担当さんと彼女だけで話し、再び我々が呼ばれ児相さんが彼女に「今話したみたいに言ってごらん」と促されてもだんまり。………彼女が彼女の言葉でごめんなさいが出てくるのをひたすら待つ。待っても待っても待っても出てこない…業を煮やした担当さんが「児相としても今回里父さん里母さんにご迷惑おかけして申し訳ございませんでした」と謝罪してくださったけど…別に謝罪が欲しいわけでもないんだけどね。そうしないと収まりつかないし。結局最後まで彼女はだんまりで児相さんが帰ったらそそくさと部屋に帰っていった。
児相さんが帰り際「寝てたのに気がついたら歩いてたは完全に嘘です。ちゃんとわかってやってます。またすぐやると思います。」と言って帰っていった。
児相さんが帰ったあと警察の生活安全課の人がその後大丈夫かと訪ねてきた。児相さんと話した内容とすぐまたやるだろうとの話をした。ていうか、うちに警察が来るなんて何年に一度かお巡りさんが台帳持って「お変わりないですか」と来るくらいだったのに…この生活安全課の人とはSちゃんの事が終わるまで度々お世話になるのだが。
次の日、御下げをしようと神殿からふと玄関を見るとあの子の靴がない…またやった!
すぐ児相に電話でも慌てすぎてちゃんと言葉にならない担当さんが「すぐ警察に電話してください」とのことで警察に電話「里親をしていて預かってる13歳の女の子がいなくなった」と通報。すぐ警察官が来てくれた服装、容姿、写真はあるかなど聞かれ写真を探したがうちに来てから1枚も撮ってない。かろうじてマイナンバーカードに付いてた小さな顔写真しかなかったけど、とりあえずそれを警察官は写メってた。「私もこの辺り探しに行きたい」と言ったら「戻ってくるかもしれないので家の人はここで待機してください」と一人で家にいることにした。
こういう時よく神様にお願いつとめしたら戻ってきたとか聞くので、ただ待つのはもったいないから御願い込みしようと神様の前に座っても焦りすぎて心配で心配で手が震えて合わせられない。半泣き状態でなんとかお勤めした。神様受け取ってくださるのかな…とか、自分の不甲斐なさ…とか、そんなにうちは居心地悪いのかな…とか、ごちゃごちゃ思ってるうちに児相から電話「いました。警察が保護しました」と。どこにいたのか聞くと、うちからそう遠くない地元の漁師さんしか使ってない小さな港にポツっといた。とのこと。
そんなところで何してたの?何したかったの?警察も「まさかこんなとこにはいないだろうとは思うけど念のため」と漁港まで回ったら「おった!」てことだったらしい。早速、神様に御礼のお勤めをして夫が帰ってくるのを待って警察署に迎えに行った。
もうここまでくると、彼女の気持ちが全然わからない。なぜわざわざ家出をするのか?うちが嫌なら児相に連絡なりして一時保護所に戻ればいいだけなのに。理解に苦しむ。
児相には早く落ち着き先を決めてほしいと連絡すると「児童養護施設が決まっていたんですが今回の家出騒動で施設の方から断られてしまった」と言う。そりゃそうだ。施設としては協調性がない集団生活ができない子はやはりお断りだろう。他の子への影響も大きすぎるから。
正直我々もどうしたもんかと頭を抱えはじめた。
そして、その次の日。
今度は家出しないようにずっと神殿にいようと。どうせいるなら十二下りを練習しながら彼女の靴が見えるところでひたすら十二下りした。そしたら児相から電話「また出ちゃったみたいで~」
私「え!だって靴ありますよ。」
児相「お部屋の窓から裸足で出てって近所のお菓子屋さんに駆け込んだようなんです、でお菓子屋さんから警察に自分で電話して保護してくれと言ったそうなんです」
なんだそりゃ!
その後すぐに警察から電話で「先ほど本人の希望で保護しました。家出がもう3回目なので児相に今すぐ何とかするようにと要請しましたので、このまま一時保護所に連れていきますので荷物用意してください」
私「へ!あ、今日でさよならなんですか。わかりました。用意します。」
そこから慌てて荷物をまとめて玄関に並べたと同時に警察の車が来た。荷物を運びいれてあっという間にあの子は居なくなった。あの車の中に居たんだろうけど全く顔を出さなかった。
カッコ悪いから?私の顔も見たくないくらい嫌いになったから?
いきなりさよならした、その日はうちに来て12日目だった。
最初に預かったA君んも今回のSちゃんも両方12日目でさよなら。どうやら12日目の壁が本当にうちにはあるようだ。
彼女が居なくなってすぐ彼女が駆け込んだお菓子屋さんにお詫びに行った、お店の方が「急にずぶ濡れで裸足でぬいぐるみ抱えて飛び込んで来たのよ、で、警察に電話してくださいって言うから自分でしなと電話貸したのよ。」ってことだった。
ずぶ濡れってどういうことと彼女の部屋を見たら部屋の中でペットボトルの水を頭からかぶったらしい。そうまでしてまで可哀想な私を演出したかったらしい。恐るべし13歳。
なんだかあっけなく終わってしまったが、それでも心配している気持ちは変わらない。
今頃どうしてるんだろ。楽しく過ごせてるかな。と
さよならしてから2ヶ月くらい経って別件で児相に電話したらたまたま彼女の担当さんが電話に出たので彼女はどうしてるのか聞いたら「あの子は他県の母方の祖母の所に移住して、そこから学校行ったりしてる」とのこと。
児相は各自治体ごとの対応だから他県に行ってしまうと、もうこちらの児相の手は及ばない。
担当さんには「もしまたあの子に連絡することがあったら、いつでも遊びにおいで、ご飯食べにおいでと伝えてください」と言っておいた。その言葉に嘘はない。児相が関わるような子たちは養育支援が18歳で終わって何の後ろ楯もないまま一人で世の中に放り出される。その時にふと私たちのことを思い出してくれたらと思っている。
あなたのことをこの田舎の片隅で心配し続けてる人がいると思うのである。オバチャンお腹空いただけでいいよ。スーパー偏食さん用の炊き込み御飯でもカルボナーラでも作ってあげるよ。
里親ってこんな気持ちの繰り返しなのかもしれません。


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