![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159325066/rectangle_large_type_2_b982503c92f3e021c41dad903d295063.jpeg?width=1200)
第50回衆院選@武蔵新城(神奈川18区)
はじめに
第50回衆議院議員選挙、所謂総選挙の投開票日が近づいている。
武蔵新城に引っ越してきて初めての選挙。住民票もしっかりと移しているので、この武蔵新城の地で投票をすることになる。
僕は大変に選挙が好きである。積極的に好き、ガンガン好きである。こんなことを書くと引かれるかもしれないが、通りがかりに演説をやっていたら聴く、というような好きさ加減ではないのだ。どこで演説をやっているか調べて、その現場に行くのである。
さらに今回の選挙で言えば武蔵新城のある神奈川18区だけではなく、まったく関係のない縁もゆかりも選挙権もない土地に電車賃をかけて向かい、そして演説を聴いたりしている。
さらにもっと引かれるかもしれないのだけれど、それらは別に候補者や政党を応援しに出かけているのではないのだ。
推している政党であるとか支持をしている政党は本当に特になく、ただ「面白い」と思ってあらゆる政治家の話を聴きにいっているのである。
まあ、そういう風に僕は選挙が好きなのだ。ひいちゃいますか?
しかし、これを読んでおられる方には想像がつかないかもしれないが、そういう奇妙な人間というのは意外と何人もいて「あの人、昨日東京8区(高円寺)にいたけど、今日は東京24区(八王子)にいるなあ」なんて人が演説をやっている場所に行くと結構いる。
そして選挙を歩き回っているうちにその選挙好きたちと話をするようになったりするわけだが、話をしていると、この武蔵新城(神奈川県川崎市中原区)の地が属する選挙区『神奈川18区』はかなり注目の選挙区なのである。
観て回ると確かにこの神奈川18区、面白い選挙区なのだ。
なので、今日はせっかくなので武蔵新城の選挙について書いてみたいと思う。
どこかの政党に投票せよ、とか、あの候補は落選してほしい、とか、そういう話はまったく書くつもりがない。ただただ僕の「面白い選挙区に面白い時期に住民票を移したものだわい」という感慨をここに記そうと思う。
神奈川18区の魅力
●候補者が多い
我が神奈川18区、候補者の数が多い。数人の候補者の中から、選挙区の中で一番得票が多かったものが当選する小選挙区。当然あの選挙区にはあの党の人が出ているけれど、この選挙区にはあの党の人が出ていない。なんてことが起こりうる。
衆議院選挙の小選挙区だと、今一番少ないのでおそらく2人。一番多い選挙区で9人かと思われる。
この立候補人数が少ないと、選挙好きとしては盛り上がりに欠ける。いろんな意見や主張を聴ける、比較検討をする、なども選挙の面白味の一つだ。
だからいろんな党派からいろんな候補が出馬をしているとがぜん盛り上がってくるし、投票者としては「より自分の考えに近い候補」「より、投票をしたいと思える候補」を吟味するうえで選択肢が増え、贅沢なのだ。
我が神奈川18区は5人の候補者がいる。割と多い。そしてそれぞれ政党に所属をしている。
・やまぎわ大志郎 自民
・君嶋ちか子 共産
・そうの創 立憲民主
・西岡よしたか 国民民主
・横田光弘 維新
![](https://assets.st-note.com/img/1729864124-R2TqFy9DVAMaW3B7GX5SlLJY.jpg?width=1200)
この5名5党派。
右派から左派までグラデーションが見事にできている。
一番右派、と言っても良い日本保守党や参政党、ある種共産党よりさらに左派、と言われることもあるれいわ新選組はいない点少し刺激は薄いが選択肢の充実としては相当良い。
●選挙区がそんなに広くない
18区は川崎市の中原区と高津区が範囲になる。決して広くないし、鉄道も充実しているので、演説を聴きに行きやすい。その気になれば一日で5人の演説を聴きまわれる。
もちろん投票するときに演説を聴くのが必須、というわけではない。
が、演説に行くと候補者の雰囲気、集まっている人の雰囲気、手伝っている人の雰囲気など、チラシポスターなどではわからないことが見えてくる。それを投票の参考として加味するとより丁寧な投票ができる。
そしてこの18区には演説のホットスポットがいくつかあって、そのうちの有力なスポットが武蔵溝ノ口駅と武蔵小杉駅の駅前である。
どちらかで待機していると入れ替わり立ち代わり感を持って候補者が現れ演説を聴かせてくれる。
広い選挙区だと、演説を聴きに行くのも一苦労なのだ。
そういう意味では神奈川18区は候補者が大変近い場所にいる選挙区と言えるだろう。
●いい勝負をしている(今回だけ?)
今回の総選挙は自民党に不利な選挙だ。政治資金の問題、統一教会の問題で世論が自民党あんまり良くないのでは?に傾いている。そのうえこの18区の現職議員、つまり前回当選した議員である山際大志郎氏は国務大臣まで務めた大物、いや、これから大物になっていくだろう、という存在だった。
が、統一教会に関係が深い、という報道が出て、それが真実かどうかはわからないが、お世辞にもうまいとは言えない釈明会見を行ってのちに大臣も辞任。そんな中での選挙の上に自民党自体にも逆風。
この自民党候補に自民批判票がすべて結集する候補があればすんなりと勝負は決まるのだが、そうもいかず、様々な立場(立憲・共産・維新・国民)から自民党を批判する候補が立っているのだ。
そして統一教会批判を行うジャーナリストも選挙区に乗り込んでくる等相当の逆風。山際氏は選挙活動もなかなかできない中、野党は闊達に選挙活動を続けている。
自民党山際候補が土俵際で踏みとどまるか、それとも野党の誰かが押し切るか。
「もうこの人絶対当選するやん」というような特定候補がぶっちぎっている選挙区には無い「一体、だれが当選するんだ」という楽しみが神奈川18区にはある。
以上3点
・候補者の充実
・候補者との距離の近さ
・情勢の激戦化
によって神奈川18区は我々選挙好きの好事家にとっては大変魅力的な選挙区となっており、そして投票をするものとして投票しがいのある選挙区になっているのだ。
僕が観にいったそれぞれの候補の様子もここに記しておきたいと思う。
神奈川18区でしのぎを削る5人の候補
●国民民主党 西岡よしたか候補
https://nishiokayoshitaka.hp.peraichi.com/
若く見えるけれど47歳。空手が強い。PTAの会長とかもしている。元サラリーマン。サラリーマンを20年以上続けたそうだ。就職に失敗した僕からみると大変な偉人におもえる。
17時から武蔵新城駅前で演説、とう情報がSNSにアップされていたので演説を聴きに行くとなかなか演説が始まらない。なんだか準備もゆっくりしている。本人もマイクもあるから演説を始めればいいのに演説をしない。数人ではあるが観衆も集まっている。始めればいいのに、ついには携帯電話を触り始める始末。大丈夫かいな。と思ったが15分遅れで何がきっかけかはわからないけれどもやおら演説が始まった。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864208-s83ndUQ26HDF5PBtlwVqzSOI.jpg?width=1200)
国民民主党として一番推している政策が「103万円の壁を引き上げて178万円にする」ということだそうだ。
これだけでは意味がわからないが、要するに確定申告等で税金を納めなくても良い収入の額のラインが現在103万円なのだが、そのラインを178万円にまで引き上げる、ということを言っているのだ。これによってパートやアルバイトで税金を気にせずにもう少し働けるようになったり、単純に我々のような個人事業主は税金の負担が減ることが考えられる。個人的には「そりゃあそうなったらありがてえな」と思う政策であった。どれくらいの人が同じ風に思うかはわからないけれど。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864296-CzHVKTuGtkZh50q9e4JMsopv.jpg?width=1200)
●立憲民主党 そうの創候補
https://hajime-sohno.info/profile/
若い。31歳。立憲民主党。選挙が始まる前から時々駅頭に立って挨拶や演説をしているのを目撃はしていた。元銀行員。友人曰く「47歳の西岡さんのほうが若く見える」というかわ老け顔の類だろう。でも政治家としては多分悪いことじゃない。
この人は結構たくさんボランティアスタッフがいる印象で、年齢層もバラバラ。演説は自民党の政治資金・裏金問題を語り、自らの若さをアピールするような演説。チラシ配りも目撃したのだけれど、そうの候補のチラシ配りはなんだかこう、てきぱきしすぎている感じがした。本人はおそらく「若さ・元気・快活」を志向しているのだろうけど、そのてきぱき感が逆に真面目さ、多分根暗なんだろうな、と言う感じを醸し出しているな、と個人的には思った。しかし自分より年下の人が選挙に出る、そういう年齢に自分もなったか、と思うと感慨深いものがある。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864405-ZUJfKocD2aj90mt6qbkXNpQB.jpg?width=1200)
●日本維新の会 横田光弘候補
66歳。日本維新の会。元県議会議員で現在は会社経営。
日本維新の会は若いイメージの政党なのだけれど、意外とこういう元議員や経営者で60代、というような候補が多い感じがする。この人は松下政経塾という松下幸之助が作った政治家養成学校の二期生で、同期生に松原仁氏や山田宏氏、一期上には野田佳彦氏や逢沢一郎氏。という政治好きからすると結構すごい松下政経塾初期メンバーの一人なのだ。ちなみに立憲民主のそうの候補も松下政経塾出身だそうだ。そうの候補は41期。横田候補からすると果てしなく後輩である。
大阪から神奈川18区に移って初めて維新の会の演説を聴いたのだが大阪よりも立ち止まる人が少ない印象。その日は維新の会幹事長の藤田文武氏も来ていたのだが、とにかく立ち止まる人が少ない。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864484-S4tWMjBHk2xDacvYlmsLeRGg.jpg?width=1200)
訴えとしては自民党の腐敗政治をただす。しがらみのない維新ならできる。という自民党批判とクリーンな維新の体質を対比していくような内容。
消費税を一律8パーセントに下げる、という話もあった。
印象的なのは横田さんよりも少し年齢が下って感じだろうか、いつも演説の場所に来て手伝っている背広のおじさんがいて、その人はその日も演説の一時間前にはその場所に居てたった一人で「この後、ここに横田候補と、幹事長の藤田が来て演説をします。1時間後です。ぜひお時間ある人は起こしください」と訴えていた。
数日後も、一人で横田候補のプラカードを持ち、一人で地声で演説をしていた。
「ああ、演説を地声でしている、珍しい」と思って通り過ぎ、30分ほど経って用事を終えてその場所を再び通った時、そのおじさんがまだ地声で演説をしていたのだ。
横田候補のことはわからないけれど、横田候補の当選に必死になっている人が陣営にいる。この人を必死にさせる魅力が横田候補にはあるのだろうなと思わせるくらい必死な活動に見えた。
●日本共産党 君嶋ちか子候補
74歳。元県議会議員で現在無職。共産党は各選挙区で元県議、元市議、元区議が大勢立候補している。結構年齢が上の人が多い感じがする。
君嶋候補は武蔵溝ノ口駅で観た。共産党の発行している新聞「赤旗」の内容を踏襲するような演説だったと思う。「一日7時間労働週休二日、週に35時間働いたら十分に暮らしていける生活を」「働いてご飯食べて眠るだけが人生じゃない」という訴えだった。確かに働いてご飯食べて眠るだけの人は講談なんか聞かないもんなあ。と思ったり。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864556-4H0jUwAoSLebRXcn2f86at9G.jpg?width=1200)
まあでも7時間労働になってないからお客さんあんまり来ないんだ、と思うのは良くないね。腕の問題人気の問題。みんな金持ちになって労働時間も極限まで減って暇になったとことでお客さんなんか誰も来ないかもしれないから。へんに期待をするのはよそうな。
ボランティアの人たちが桃色のウィンドブレーカーを着てチラシ配りをしていたのだけれど、そのウィンドブレーカーにアップリケ?って言うんだろうか、赤い文字が縫い付けてあって「なんだろう」と思ったらなんと「きみちか」と縫い付けてあるではないか。
おそらく君嶋ちか子の「きみちか」である。なかなか思いつくことではないし「あ、きみちか、っていうジャンパー着ていて素敵だから投票しよう」とは思わないだろう。
ただ、この選挙を、ある種祭のように楽しむそんな姿勢は感じたのだった。
家で「そうや、このウィンドブレーカーに、きみちか、ってつけよう」とミシンを取り出すボランティアのその人を想像すると、なんとも泣ける光景である。
選挙は誰でも参加できる祭で、誰でも参加できる青春なのかもしれない。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864616-81FbdjTnyzwikB4ZUAguSGqc.jpg?width=1200)
●自由民主党 山際大志郎候補
https://www.yamagiwa-daishiro.jp/
56歳。衆議院が解散するまでは議員。大臣も務めた。もともとは動物病院を経営する獣医さん。統一教会がらみのスキャンダルで大臣を辞職。この時の対応がまずかったのか、結構マスコミに叩かれる。そのため今回の総選挙ではほとんど街頭演説などの日程を非公開にして、支援団体を回ったり、ゲリラで握手をして回ったりの活動。
僕もなかなか山際候補に会うことができないので、事務所を訪ねてみると「演説は支援者向けにのみ行っている」とのことで情報がわからない。一応選挙区の前候補には会ってみたり、話を聴いてみたりしてから投票をしたい、と思っていたので「これは会えずじまいになるかな」と思っていた。
それからもむやみに選挙区内を歩いて山際候補が演説していないか探したのだけれど見つからず。
数日後「今日あたり逆に武蔵小杉の駅あたりで腰を据えて待ってたら通りかかったりするんじゃないか」と思って待っているとビンゴ。向こうから山際候補が歩いてきた。
会いたかった人にやっと会えた、という気持ちになりテンションが上がり、ついつい話かけてしまう。そのうえ「写真撮っていただいていいですか」と言い出す始末。好きな女性お笑い芸人のライブのチェキ会にも残る勇気が無いというのに、会ったことも話を聴いたこともない政治家の、おっさんには「写真撮っていただいていいですか」である。まったくどんな人間なんだ。
しかし山際候補は「もちろん」と応じてくれた上に「逆光大丈夫ですか」と気遣いをしてくれて、にっこり笑顔で一緒に写真に写ってくれたのだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864684-RLeE6n807xHGKcWCgpad1NyQ.jpg?width=1200)
妙にやさしい対応をされて「いい人じゃん」と思った。きっと素敵な獣医さんだったんだろうな。という確信は持てた。けれど政策を聴くことなどはまったくできなかった。ただ、この人がこの選挙区の代表として選出され続けている理由の一端はわかった気がした。
おわりに
五人の候補に会って、そして先日期日前投票を行った。精一杯考えて、精一杯の投票であった。しかしこんなふうに精一杯考えて投票できる選挙区ってのは実は意外と少ないと思うのだ。そういう意味でもこの神奈川18区は良い土地、民主主義の一員として過ごすにはなかなか良い土地だといえると思う。
今回立候補した面々の中から当選者が出、そして落選者が出る。
しかし選挙はそこで終わりではない。
選挙はどこまでも続いていく。
当選した候補は地域の代表として議会で働き続け、落選した候補は次の道、新しい仕事を始める、引退して悠々自適の暮らしを送る、地方議会の選挙に出馬する、あるいは次の衆議院選挙に向けて活動を開始する。
様々な道で人生を続け、そしてまた次の選挙が行われるのだ。
その時、選挙に着目し、楽しみ、怒り、時に感動しながらじっと見ている人間が多ければ多いほど、きっと次の選挙も良いものになるのだろうと思う。候補者も充実するのだろうと思う。この時は今回の選挙で書いてきた通り候補者が充実した選挙区になった。
次の選挙でもこの充実感を持続できるよう、神奈川18区の住民としては鋭意、民主主義を寿いでいこうと思う。
そんなことを言っていると、次の選挙に僕が出馬をしていることだってあるかもしれない。ま、それも一つの民主主義の楽しみ方であろうと思う。
いやあ、武蔵新城、いい選挙区です。民主主義に興味がある人はぜひ武蔵新城へお越しください。そして暮らしてみてください。そんな風に暮らし始めた人とはきっと僕、仲良くなれる。仲良くしたい。仲良くしてください。どうぞどうぞ。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864722-svmjxrRpHi37Z8zOqbtXVgwS.jpg?width=1200)