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読書力がつく指定の100冊!を読んだら本当に読書力は上がるのか?主婦と子ども3人による人体実験③


実験3冊目はこの本。お久しぶりの椎名誠。

椎名誠を初めて読んだのは高校生の時だった。

そのころ、友達3人と焼肉屋さんでバイトをしていた。

厨房の肉きり担当の社員さんから進められたのがきっかけ。大沢たかおに渋さのエッセンスをさらに数滴加えてたような人だった。

今ならありえないけど、厨房内でいつもくわえタバコ。煙に目を細めながら長い包丁右手に爆音で椎名林檎をかけながら肉を切っていた。

高校生の私たちの目にはその姿がかっこよく映った。周りの同い年の男子とは違う大人をしかめっ面から感じていた。

異性としては特別に全然好きじゃなかった。だけど椎名誠を読めば、何かその人がまとう大人の空気感に近いものが自分からも出るのではないか?そんな憧れめいた気持ちから手にとった。

かっこい人が読んでる本は本までかっこいい気がした。 

読んでみて、その人が椎名誠みないに生きたかったと知った。
大学生の頃から旅に出たり、書くことが好きだった言っていた。

まんま憧れは椎名誠ですやんと思った。

でも旅人ではなかったし、作家でもなかった。
ちょこっとだけ質のいい焼肉屋さんの椎名誠と椎名林檎が好きな椎名好きの肉きり人。そしてただいつもかっこよかった。

人の価値観は違うなと思うことが起こった。
かっこいいが直結して恋になる姿を目の当たりにしたのだ。友達は椎名好きなその人をまんまと好きになっていた。

恋は結果、実らなかった。

18歳の小娘には大人の人生を方向転換する決断をさせるほどの決定打はなかった。 
既婚者だった。子どもがいた。2人もいた。
恋のファーストステップにしてはしてはあまりにもハードルが高すぎだろ。
18歳はまだ未熟で幼くてバカでピュアなのだ。

当時、その人は25歳。
わたしたち18歳。
10代時の7歳差は果てしなかった。

40歳と47歳のそれとはまるで次元が違う。

なんやったら40歳と47歳は変わるか?ぐらいに思えたりもする。

現在42歳だから、2年前と5年後に大きく何かが変わるとは到底思えん…。
自分を取り巻く環境、例えば子どもたちや仕事面、経済状況なんてのは変わるだろう。
ここでの変化は、自分自身の内側の変化についてを指す。

大人になって、経験する初めてのあれこれが沢山詰め込まれた7年。
18歳からの7年を経由した25歳ほどの変化の見込みは良くも悪くも無いのかなんて…。   

もちろん何歳になっても人は変われるので、願わくば飛躍的な40代を謳歌したい気持ちは持っている。

40代まで生きると天国と地獄両方の側面を噛むぐらいの人生経験は積んできた。だから、初めての経験が少なくなっているのもまた事実だ。

若さが求める刺激、年を重ね得る成熟。生きるとはとそういこと。

それにしても一冊の本から思考は広がるものだ。

人間の記憶が香りと直結し、キャッチした嗅覚が何かを思い出す引き金になることがしばしば起こる。

本もだ。
いろんなことを思い出す旅へ出た。

椎名好きだったあの人は今どこで何をしているのだろうか。まだかっこいいままでいて欲しいな。読まなければ思い出さなかった人。

時々思う。
大人になってからもう一度会いたいと思える人がいる。
その人もそうだし、大人になる前に亡くなった祖父もそうだ。
大人になった自分とならどんな関係性を築けたのんかな?なんて考えてしまう。
神の采配できっと子ども時代にしかめぐり合えない因果があるのだろうか。

今回の本は、昭和のゆる~い椎名さんの青春がスローモーションみたいに流れていく。とりたてて事件が起こる展開はないけど、青春時代の思い出が散りばめられていた。バカバカしいほど愛しい日々。
仲間との共同生活、皿洗いのバイト、好きになったあの子。
だれにでもあったあの頃。

何者にはなっていなくても、時間はたくさんあって仲間がいた。
人生で目一杯バカがゆるされる宝ものみたいな時代。

そのころの破片が自分の今を組み立ている。
椎名さんだけじゃなくだれもがみんなそうだ。

まだ青春を迎えてないこどもたちがこの先訪れる青春の先取りを読んだら何を感じるのだろう。

青春前
青春最中
青春後

それぞれの立場から読んだら、どんな風に感じるだろう。
いつの時代に読んでも心が広がる本はやっぱり面白い。

残り97冊。

現在長男は、町田康のくっすん大黒の昨日から取りかかている。
わたしはあんなに吹きだしながら読んだのにノーリアクションで読んでいる姿からクセのある文体に苦戦している模様。

ふいに文中に出てくる鉈が何かを聞いてきた。
とっさに鉈がうまく形容できなくて、
「振りかぶるようにして使う凶器的なもの」ざっくり答えすぎた。

せっかく読書力を高める筋トレ中なのに、適当はいかんだろと調べ直した。
正しくは、幅が広く厚い刃物に短い木の柄をつけたもの。薪まき割り・枝打ち,木工などに用いる。

風呂から上がった息子に伝えよう。

今日は鉈を知って1ミリ賢くなった。






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