短編戯曲『世紀末』 裏話
こんにちは!
今回は、
短編戯曲『世紀末』の裏話をします。
作品はこちらです。
↓ ↓ ↓
(※PDFファイルでの公開です。ダウンロードしてご覧ください。)
この作品は、
昨年の日本大学芸術学部演劇学科令和4年度上演実習1A後期発表で、上演発表された課題戯曲です。
私にとって、初めて自由なテーマで書いたお話です。
昨年の夏、
私は締め切りが迫る中、一つもネタが思い浮かんでおらず、
焦りから、実家に帰る電車の中で田んぼを眺めながら涙ぐんでいました。
家に帰って母に愚痴をこぼしながら話をして、
「書くものがないなら家族の話を書けばいい」
と言われ、私が勝手に隠し玉だと思っていた母のエピソードを脳内から引っ張り出し、
それをモチーフに課題に取り組むことにしました。
そうして出来上がったのが、『世紀末』という話です。
母が若い頃、祖父母に内緒でワーキングホリデーに行こうとした時のエピソードが元ネタになっています。
そのまんまです。
登場人物も、実際の私の家族がモデルになっています。
ネタが思い浮かばず、どれほど切羽詰まっていたのかということが伺えると思います。
どうでもいいような会話や、真面目ではない場面にも
内輪にしか分からないような小ネタを散りばめたので、
ほぼ、いつもの我が家のような雰囲気に仕上がりました。
とはいえ、全てが実話というわけではなく、
私の感覚からすると、
話の核となる部分はフィクション、残りの全てがノンフィクションで構成されています。
元々の実話がかなり馬鹿げているので、
事実に基づいて、初めは終始ふざけているコントのような話にしようと思っていたのですが、
改稿を重ねるうちに段々と真面目要素が増えていきました。
書き直しって不思議だなと、しみじみ感じます。
どの作品のどの登場人物も無論大好きですが、
今作は、特にお兄ちゃんとおばあちゃんが好きです。
お兄ちゃんは元々登場の予定はありませんでしたが、
急遽変更することになりました。
これが仕事か、と感じながら
真夜中に戯曲を書き直したことが印象に残っています。
そうやって全力を尽くした証なので、
思いっきり作者目線にはなるのですが、
お兄ちゃんが出てくる場面は、どれも全部感慨深いです。
おばあちゃんはかわいいので好きです❤️
基本的に、自分が書いた作品は何だか小っ恥ずかしいので
あまり積極的に読み返したくはないのですが、
『世紀末』は、
当時の私が、脳汁を振り絞り、己の持てる力の限界に挑んだような作品で、
読み返すとその頃の苦しみがよみがってくるので、
トップレベルで読み返したくない作品です。
でも、
初めて同世代の人に演出をつけてもらって、
初めて一般のお客さんに見てもらえて、
何より、初めて家族に直接見てもらうことができた、
特別な作品でもあります。
色んな意味で、一生忘れられない作品になったと思っています。
いずれはブラッシュアップして、もっと面白い話を書きたいと思っているので、
ここから頑張るぞ!という気持ちも込めて、
今のこの作品が、色んな人に読んでいただけると嬉しいなと思います。
では、また次回!