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短編戯曲『コメド』 裏話




こんにちは!

今回は、先日公開した短編戯曲『コメド』の裏話をします。


作品はこちらから
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この作品は、今からちょうど一年前くらいに書いた作品です。
授業内の課題で自分が体験した実際の出来事を元にお話を書きましょう、という課題が出た時に書いたものです。

では、私はその課題に対して一体何を題材に取り扱ったのか。
読んでくださった方はわかると思いますが、ニキビです。
一年前の私は肌荒れに悩まされていました。

私は元々肌荒れやニキビができにくい肌質でした。
思春期の頃も、ぽつんと大きなニキビが一つ二つできることはあっても広範囲に現れることはなかったので、その時までそういった肌トラブルとは無縁だったと言ってよかったと思います。
しかし、去年の夏頃、突然おでこの広い範囲にニキビができるようになりました。
普段はできてもすぐ目立たなくなって良くなるので放置していたのですが、よくなるどころか段々と増えていき、おでこだけではなく頬やこめかみあたりにも出現し始めました。
初めは洗顔料や化粧品が合っていないのかと思い、色々な商品をとっかえひっかえして試しましたが、効果は全くなし。
ようやくまずいと思って皮膚科に行き薬をもらいましたが、根気強く毎日薬を塗ってもいまいち効果は感じられませんでした。
それどころか、一つ治ったらまた一つ、ここが治ったらまたそこと、ひっきりなしに新しいニキビが誕生する始末。
こんなことが半年近く続きました。

それまでは、肌トラブルは自分には無関係な話だと思ってのらりくらり生きてきましたが、いざ自分が当事者になってみるとこんなにストレスがかかるものなのかと痛感しました。
時間のかかる治療に対し、一見改善が見られない症状に焦る気持ちの辛さ。
すぐに無くなってしまう薬のために毎度病院に行って数千円を払う金銭的プレッシャー。
薬だけでなく、自分の肌質にあった保湿方法を手探りで見つけなければならない大変さ。
食事や睡眠時間、生活習慣にまで気をつかっているのにニキビが増えたときの虚しさ。
ストレスを減らそうと色んな記事やコラムに書いてあるが、ニキビがあること自体がストレスなんですが?という遣る瀬ない怒り。
少し前まで他人事だと思っていたことが本当に申し訳なくなりました。
肌が荒れると本当に辛い。
気にしなければいいとかそういう問題じゃない。
ニキビや肌荒れはれっきとした肌の疾患です。
元々健康だった肌が荒れたら誰だって悲しくなるし、なかなか改善が見られないと心が折れてしまうのです。
だからその半年間、私はずーっとイライラしていました。
早く治れと思っても治りやがらないニキビたちに怒りを募らせ、四六時中イラついていました。
しかし、ある時気づきました。
なぜあんなに憎たらしいニキビのことを毎日毎日考えているのだろう?
そりゃあ何かというと目に付くし、これまで以上に繊細に丁寧に扱ってやらなくちゃいけない肌の上に堂々と存在しているニキビを完全に頭の中から追い出すことはできないけど、流石にニキビ中心の生活になりすぎではないか。
憎むのにも体力がいる。
負の感情に体力を使うくらいなら他のことをした方がいいのではないか?と考えました。
そこで、もっとニキビをフランクに考えるために目立つニキビに名前をつけるという遊びを始めました。
一郎、二郎、三郎・・・と、こんな感じです。
朝起きて鏡を見たときに、
「一郎、お前もずいぶん古参になってきたな。」
「二郎、太った?育ち盛りだね」
「三郎、もしかしてお前・・・消えるのか?」みたいな感じで、一時期はニキビと会話するという謎のモーニングルーティンがありました。
そうしていると不思議なもので、段々とニキビに対する怒りの感情は薄まっていきました。
別に愛着が湧いたわけでもなければ、治すやる気を失ったわけでもなく、時々イライラしてニキビを潰してしまうこともあった(絶対にやめましょう!)のですが、制御できない負の感情はだいぶ弱まったように感じました。
達観したというか、そんな気持ちでした。

そんな心境の時に課題が出たので、ニキビを擬人化した話を思いつき書いてみたら、まあ楽しくて筆が乗りに乗って最後まで駆け抜けるように書き上げることができました。
恐らく自分の出来事を書くので、自分の中にあった実際の感情を引き出しつつふざけながら書けたからだと思います。
後にも先にもあんな風にかけるのはあの時一回きりだろうと思っています。
貴重な体験でした。

タイトルにもなっているコメドというのは、ニキビの原因になる毛穴詰まりのことです。
コメドが成長し炎症を起こすことでニキビになります。
しかし、この毛穴詰まりというのは肌が毛穴から老廃物を排出するという必要不可欠な働きだそうで、毛穴詰まりやコメドを完全になくすことはできないそうです。
毛穴詰まりが悪化して、コメドが炎症を起こさないように肌を清潔に保つことが重要なのだそうです。
なので、ニキビの原因でありどの毛穴にもいる潜在的な存在として、肌に住む人々をコメドと名付けました。

コメドの人たちが西欧貴族風なのは、私の趣味と「シトワイヤン、武器を取れ!」のセリフを言わせたかったからです。
思うままに革命と暴動とバイオレンス描写が書けて、かなり満足しました。

この作品は私としては珍しく、最初から最後まで楽しく書けた作品です。
その分改良の余地はありますが、書くことやお話を考え妄想することの楽しさを思い出させてくれる希望的な思い入れのある作品でもあります。
登場人物たちのセリフから、筆者の創作に対するパッションと肌荒れへの怒りを感じていただければとても嬉しいです。

そんな難しいことを考えなくても、ぶっ飛んだ設定に呆れ笑いをしてもらえたら何よりです!

是非ご覧ください!


ではまた次回!

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タマ
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