夏目漱石「写生文」(青空文庫)
夏目漱石の写生文という文章を読んでみた。
写生文を書くとは、親がちいさい子どもを描写する様なものなのだそうだ。ちいさな子どもは菓子を落として駄目にして仕舞えば泣くけれど、親は泣かない。この心情は分かっているが、その熱狂に巻き込まれたりはしない。
だから、写生文にはゆとりがあり、客観的なのだという。自分を写すのではなく他人を写す。
親が子を見る様にというと、若干、上から目線に思えなくも無いけれど、えらい、えらくないは問題外なのだという。
現実をそのまま写すので、何でも書くが筋の無いものが多いとのこと。確かに現実に筋なんか無い。筋がある時点で物語だ。
筋のないもののうちに筋を立ててみたって始まらない。筋は拘泥するに足らぬものなのだという。
と、文章はそこでプツリと打ち切られてしまう。試論だったらしい。俳句とも関係無いらしい。
物事を写生する文章を書くコツを盗めないかと読んでみたが、何だか煙に巻かれて終わってしまった。
そんな日もある。