「国」全体でお金は回ってる?
「金は天下の回りもの」なんて言いますね。 さて、
日本国内ではお金は健全に回っているのでしょうか?
わが国の金融資産と金融負債
その内訳は、一般政府と非金融法人の資金不足(借金)を、家計の潤沢な金融資金(純額で1,820兆円)が支えているという構図です。
最近の株高と円安の影響を受けて、個人金融資産は増加を続けています。
「日銀資金循環統計」(2024年6月末)を見ると、日本全体での金融資産と金融負債の残高は図のとおりです。
家計(自営業者を含む)が多くの金融資産(2,212兆円)を保有しており、そのうち約半分(1,127兆円)が現預金です。
家計が保有している現預金は、金融機関が保有する国債に回されます。
その結果、多額の個人金融資産が国への貸付け(国債)に回ります。
「わたしは個人向け国債にはいっさい投資していません」という人でも、銀行預金をとおして間接的に国債へ投資しているという状況です。
海外からの借金はない
では、海外との資金状況を見るとどうでしょうか?
海外への金融資産(=海外から見れば、日本に対して負う金融債務)が、海外からの金融債務(=海外から見れば、日本に対して保有する金融資産)より多いため、海外に対しては債権国(539兆円)となっています。
この体外債権国であることが、「日本政府は国債残高が多い借金大国だ。しかし海外からお金を借りているのではなく、国内でぐるぐる回している。なので、まったく問題ない」という主張の根拠になっています。
国債も8割を国内で消化
確かに、現在のところ政府の公債のほとんどは国内で消化されています。
他の先進国と比較しても、金融機関等の保有割合が圧倒的に高く、日銀と金融機関を合わせて国債の8割を保有しています。
結果として、海外の保有割合が低い(13.5%)ことが特徴です。
しかし個人金融資産の保有者は、どちらかといえば高齢者層です。
その金融資産が、相続などで次の世代に移転したとき、相変わらず預貯金を通して公債を引き受けるかどうかは分かりません。
消費や浪費、海外への資金流出などで、国内で公債を引き受ける資金の担い手が減少すれば、政府は海外からの資金繰りで公債発行を賄う必要が出てきます。
このことは、国の財政だけではなく、現在、公債の引き受け窓口である金融機関の経営にも大きな変化を与えることを意味します。