「銀行」は何する会社?
銀行で株式は購入できない
株式投資を始めるときに、多くの方は証券会社の口座を開設しますね。
さらにパソコンやスマホの操作に慣れている方であれば、手数料の安い
ネット証券会社を選択することが一般的だと思います。
そうです、銀行で個別株式の購入はできません。
ただし「金融商品仲介サービス」を利用すれば、銀行が提携する証券会社の口座を開設し、銀行に仲介してもらう形で上場株式等を購入できます。
この場合は、もちろん銀行と証券会社の手数料がダブルで発生します。
また、普通預金の口座とは別に、専用の「投資信託口座」を開設すれば、銀行の窓口で投資信託を購入することができます。
しかし手数料と事務負担と品揃えを考慮するならば、投資信託の購入も、手数料が安く取扱商品が多いネット証券会社に軍配が上がりそうです。
間接金融
民間金融機関は、お金の仲介方法によって「金融仲介機関」と「非金融仲介機関」に分かれ、このうち間接金融の担い手となるのが、金融仲介機関である銀行です。
間接金融とは、資金の貸し手と借り手の間に「金融機関」が仲介機関として介在して、お金を必要とする個人や企業が、お金を仲介する金融機関から借りるしくみをいいます。
家計にとって資産である預金は、金融機関にとっては負債となります。
預金は貸付金
預金は「預けているお金」と書きますが、銀行にお金を預かってもらう
のではなく、実際のところ銀行へお金を貸付けているという意味です。
その貸付けの対価として、(少額ながら)利息を受け取るわけです。
となると、万が一銀行の経営が破綻した場合はどうなるでしょうか?
利息の付かない当座預金を除いて、普通預金(銀行への貸付金)などの
一部は回収できない(カットされる)リスクがあります。
これを「ペイオフ」といいます。
ペイオフでは「保険金」が支払われる
ペイオフ(=Pay Off)とは、破綻銀行から見た債務の精算・返済方法の
一つです。
わが国では預金保険制度に基づき、保険対象預金について付保限度内で保険金の直接支払いを行うことをいいます。
保険金の上限は「1人当たり1金融機関につき元本1千万円とその利息」とされています。
同一預金者の同一金融機関の複数口座は、集約(「名寄せ」といいます)したうえで保護対象となります。
なお、法人代表者の名義預金と個人名義預金は、別々に保護されます。
元本1千万円とその利息を超える部分は金融機関の損失の程度に応じて
カットされた上で戻されるため、全額がカットされるわけではありません。
また、「無利息・要求払い(預金者が解約を要求したら、すぐ払い戻される預金)・決済サービスの提供」という3条件を満たす「決済性預金」は、全額が保護されます。
2005年から全面解禁
預金保険法(1971年4月施行)に基づき預金保険制度がスタートした後、「ペイオフ制度」は存在していました。
しかしながら、金融システムが安定し、預金者が自己責任で金融機関を選択するための情報開示が十分に行われる環境整備が整うまでの特例として、ペイオフは凍結されてきました。
その後2005年より、預金保険制度の本則に立ち戻り、また以下の理由で、
ペイオフは全面解禁されています。
1.ペイオフの延期は、預金者や銀行経営者の倫理観の欠如(モラルハザ ード)を招き、金融ビッグバンとも逆行する。
2.預金者が金融機関を自己責任で選択することは当然のことである
3.安易な延期はコストの増大を生む。
過去には2010年において、日本振興銀行の経営破綻時に初めてペイオフが発動されました。ただし振興銀は、通常の銀行と異なり、銀行間市場での資金調達ではなく、高金利の定期預金で資金を調達して中小企業向けの融資を行う会社であったため金融システムへの影響は軽微でした。
個人としてのペイオフ対策には、金利の付かない決済性預金への預入れ、複数の銀行へ預金を分散、預金以外の金融商品での運用が考えられますが、日頃から取引銀行の経営状況や株価のチェックも大切といえます。
普通預金は可愛いイラストのキャッシュカードや通帳が発行されますが、私たちのお金を銀行が預かってくれているのではなく、私たちのお金を銀行に貸し付けているという感覚を持つことは大切です。