途切れぬまま昨日はつづく
途切れぬまま昨日は続く
続きの中でなにかはじまる
キミのうたをそこで拾ったの
ポケットの中ねじこんどいたの
忘れたまま洗濯しちゃった
キミのうたは白い粉になって
ちぢんだ
-潜水艦の中のうみ
マヒトの歌詞は、どれもひたすらに繊細で、感受性のかたまりのようで、こんな言葉選びができるようになれたらと思うけれど、言葉を選ぶのではなく、感じているものが言葉になっているのだろうし、そもそもがちがう。
そして自分の感受性が不安になり、そんなときはとにかく見たもの、触れたものを言葉にしてみる。空が黒い、風が冷たい、葉がゆれている、街が静か…のように、すこしずつすこしずつ。リハビリのように。
そうすると、それだけでいいじゃないのという気がしてきて、文章にするときの接続語が億劫になり、研ぎ澄まされたシンプルな言葉が使いたくなり、でもそんなことは到底できないのだけど、心に浮かんだものをそのまま、言葉としてそのまま、置いてしまえたらいいのに。
そんな感情の流れで、帰り道すこしの間だけ目を閉じたまま歩いてみる。周囲の景色が遠のき音だけが大きくなる。風が耳をかすめて、冷たさがダイレクトに頬に感じられ、目を閉じている不安定さから身体に浮遊感がうまれる。そうすると、ふいに周囲の気配と一体化したような感覚になり、なんとも言えない安心感がうまれるのだった。
つかれているとき、意識を研ぎ澄ましたいときなどによくするのだけど、これが結構おちつく。
ここ最近いそがしかった。
やっと夜ゆっくり本が読める。アリ・スミスの『秋』を読み始めよう。