2ヶ月生き抜いた先のライブで
先日、ZIONという大好きなバンドのライブに行ってきた。
場所は、札幌にあるモエレ沼公園。
このガラスのピラミッドの中でライブをするというのだから、きっと素敵に違いない。ライブハウスとは違う特別なロケーションに心が躍った。
思い返せば、前回このバンドのライブに行ったのは3月のこと。
最後の一曲の前に、次は2ヶ月後だからと言って、ボーカルがひとこと放った。
「死ぬなよ」
そのことばが、ずっと心にぶっ刺さっていた。
ちょうど心が不安定だったわたしは、なんだかいろいろ見透かされているような気がした。
あれから2ヶ月。
わたしは、ちゃんと生きてまたライブに来た。
でも、この2ヶ月生きるのは、案の定というのか思ったよりというのか、わりと大変だった。短いようで、とてつもなく長く感じられた。
別に何があったわけでもないのだけど、母が亡くなって1年ほど。ちょっと疲れてきたのかもしれない。正直、心も身体もガタガタだった。
毎日、生活するのに精一杯だった。
そんな2ヶ月を経てやっと迎えたライブの日だったから、「わたし、ちゃんと生きてここまで来たぞ!」と、どこか意気込むような気持ちでいた。
でも、今回のライブは、そんなガチガチのわたしの心を、ほぐして軽くしてくれたように思う。
会場には、こんな風に、メンバーが演奏する場をぐるっと囲む形で石段があり、そこにみんなで腰かけて演奏を聴いた。
大小さまざまなキャンドルが置かれていて、日が落ちてどんどん暗くなるにつれ、その灯りがやさしく浮かぶ。
それはそれは幻想的な雰囲気だった。みんなで焚き火を囲っているような、そんなあたたかさがあった。
ライブの途中、メンバーはやさしい気持ちでやりたいねと言っていた。「参戦」されても困ると。
そのことばどおりの楽曲のアレンジと雰囲気。
なんだか、そんなに肩に力入れないでよって言われてるみたいだった。そんなに力んで生きなくてもいいじゃんかよって。
2ヶ月それなりに必死だったわたしには、そう響いた。
そして、囲むという形もあってか、ライブ中、まるでメンバーの輪の中に入ったようで、なんだか純粋に楽しかった。
なにかと余計なことをぐるぐる考えがちなわたしにとって、純粋に何かを楽しめるということはけっこう珍しいし難しい。
でも、この日はそんなごちゃごちゃが削ぎ落とされて、ふっと肩の力を抜いて、ただただ心から楽しめた。そんな気がする。
次にライブがあるのは秋らしい。その前にフェスに行けば夏になるか…。
なんにせよ、それまで生きるのもまたいろいろあるんだろう。「もう無理だよ…」と思う日だってきっとある。
それでも、このライブの思い出を胸に、すこし軽やかな心で過ごせるといいなと思う。