バンドマンという存在がかっこよすぎて腹が立ってきた
バンドマンは、ずるいと思う。
なぜステージに立つだけで、あんなにかっこよく見えてしまうのか。なぜこんなにも、観客の心をつかんでくるのか。
はいはい、推しの話ね。
と思ったそこのあなたは、半分正解。半分はハズレ。
たしかに、わたしには愛してやまないバンドがいる。彼らがかっこよく見えてしまうのは仕方ない。それが推しというものだ。
でも、たぶん推しかどうかに関係なく、わたしはバンドマンという存在そのものに弱い。
だって、対バンライブのゲストで来た見ず知らずのバンドでさえ、とてつもなくかっこいいと思わされてしまうのだ。
ゲストとして発表されるまで、名前を見たこともなければ、曲を聴いたこともなかった。発表されたあとも、作業のBGMとして聴き流す程度。そこまで熱心に予習はしなかった。
が、いざライブが始まると、開始1秒で全部持っていかれた。
対バンともなると、観客は自分たち目当てに来ているとは限らない。はじめましての人もたくさんいる。結成から年数の浅い若手バンドならなおさらだ。
それでも、初っ端からそんなことをものともしない堂々としたパフォーマンス。いつの間にか、わたし含めみんな、長年のファンですか?ぐらいの勢いで踊っている。
フロア全体を掌握していくその姿は、もはや神がかっていた。
同じ人間のはずなのに。わたしがステージに立ったって、絶対そうはならないのに。
こんなの、日常生活ではとんでもないクズとかじゃないと帳尻が合わない。お願いだから、どうかクズであってくれ。
そんな謎の、もはや嫉妬ともいえるような感情を抱きつつ、彼らの音楽に身をゆだねて体を揺らすほかなかった。
やっぱり、バンドマンはずるい。
そしてそれは、交代で登場した推しの姿で確信に変わる。まだ楽器を1ミリも弾いていないのに、照明で映し出されるそのシルエットだけでかっこいいなんて、ずるすぎる。
みなさん、どうかバンドマンにはお気をつけて。