告白水平線 #ショートショート(410字)
「水平線の向こうには何があるのかなぁ」
彼女が海を見つめながら言った。
「この方角だと韓国とかじゃない?」
僕がそう答えると
「ロマンチックって言葉、知らないの?」
と彼女が笑う。僕達の日常は、いつもそんな軽口の言い合い。
彼女のために海へ出る。
船舶免許を取り、船を借りて、彼女と旅をする。水平線の向こうを目指して。
水平線の向こうには水平線が広がっていた。どこまでも続いていて、果てが無い。
「あのね、水平線の向こうには、水平線があったよ」
僕は君に話しかける。
「なんじゃそりゃ」
と笑う、君の声は聞こえない。
もう君は返事ができない。
僕の腕の中に収まる小さい箱に入っているから。
「僕は、向こうには行けなかったよ」
空と海の境目が歪んで、水平線がどこか分からない。涙が次々と溢れて、目の前が淡く滲んだ。
君が向こうにいるような気がしたから、僕は言葉を置いて帰る事にする。
「僕は君が大好きです」
波間から「わかってるよ、ばーか」と聞こえた気がした。
🌊🌊🌊🌊🌊
こちらの記事を拝見して書きました!
いつもお題をありがとうございます。
脳内がメルヘンなので、ベタな展開が好きです。告白は直球が好ましい。
あと水平線といえば、back numberさんの『水平線』が好きです。数年前、開催中止となったインターハイを目指していた高校生のために作られた歌。染みます。↓
今までいただいたサポートを利用して水彩色鉛筆を購入させていただきました☺️優しいお心遣い、ありがとうございました🙏✨