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半透明の世界 #マイピリ

この物語を読んだとき、「半透明だな」と思った。向こう側・・・・が半分透けてこちら側と繋がっている。その人だけの、その人にしか分からない世界を見せてもらった気がした。

何の話かって?
自分でも、ちょっと何言ってるかわかんない。

今回はこちらの物語の感想を書かせていただこうと思い、筆(スマホ)をとりました。

主人公は走っている。
いま、now、大事な局面に立ち、現在進行形で走っている。とても苦しい。この作品はそんな頭の中の物語だった。

「メロンか……」

とつぶやく主人公に なぜか胸がキュンとする。テレビカメラで放送されるような大一番での「メロン」である。
メロンかあ。いいな。ふっと気の抜ける、まるくてあまい響き。ときどき実況と解説の人の声が聞こえてくるのも すごく良いアクセントだなぁと思った。

主人公には小さな小さな女の子の声が聞こえており、頭の中でその子と会話をするのだが……そのやりとりがクスッと笑ってしまうくらいに可愛くて、やさしい。

どうして、走るのか。
なぜ、苦しくても走り続けるのか。
二人の会話が純粋で、真っ直ぐで、涙が出た。

女の子は金色きんいろの船に乗っていて、主人公がまだ行ったことのない世界に住んでいる。最後にその旅立ちが七色の紙テープで表現される。

離して、離さないで、離して、いやだ、離さないで、ありがとう、ありがとう、大好き、大好き……!

『金色の船』より

私の語彙力では説明しきれないけれど、何かすごく大切なものを見せてもらった。その人だけが持っている宝物を見せてもらった。
そんなとき、私は半透明になる。
体の半分が物語に浸かる。

『胸が張り裂けそう』

という比喩表現があるが、実際に心臓が破れている(穴が空いている)人もいる。ほんとうに裂けたら、死んでしまう。
人間は きっとみんな不完全で、それは体だったり、心だったりする。他の人との差を知ると、たまらなく苦しくなる事がある。その人にしか分からない孤独があって、その人にしか見えない世界がある。だから知りたいし、愛おしく感じるのだと思う。

私には、半分透けた向こう側の世界に 金色の粒が光って見えました。優しくて 切なくて 美しくて 苦しい。私は、この物語が好きです。

(これは船じゃなくてボートやな…)

 
こちらの企画に参加させていただきました。

印象に残ったピリカ文庫は何だろう?と考えたときに、色々な物語が浮かんできたのだけれど、一番最初に思い付いたのがyuhiさんの『金色の船』でした。
物語を拝読してから、しばらく余韻に浸っていました。とてもきれいな世界だな…と。私もいつかこんなふうに表現できるようになったらいいなぁ…と、おこがましくも思ったのでした。

あとがきも含めて、じーんとします。↓

yuhiさん、心に残る物語をありがとうございました!!
こーたさんの朗読も最高でした!
あやしもさんとの奇跡のレモンシンクロ🍋と合わせて、ぜひ読んで 聴いてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました🙏

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玉三郎
お読みいただき、ありがとうございました☺️

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