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konton57
亀の歩み①(520字)
ありがとうと言われて振り返る。
いつもの道、いつものコンビニ、いつもの出勤風景。そして私の足下に、いつも居ない全長30cmほどの亀。
「その節はありがとうございました。あの時の、亀です」
ずいぶんと礼儀正しい亀だなと驚いたが、私に亀の知り合いなどおらぬ。
「人違いだと思います」
そう言って会社の方角へ向き直すと、見知らぬ亀は焦った声で私を引き留めた。
「20年前にお祭りの『亀すくい』ですくっていただいた亀です!おかげさまでこんなに大きくなりました!!」
亀すくいの亀って20年でこんなに大きくなるのかと驚いたが、私は幼い頃に亀すくいをした記憶もなければ、思い入れもない。
「明らかに人違いですですね」
私がさっさと行こうとすると、亀はさらに焦って引き留めてくる。
「ちょ、まって!恩返ししないと帰れないから……!90日間かけてようやくここまで来たから!!」
「それはそちらの事情であって、私には関係ないですよね」
「はぁ、まぁそうなんですけど」
90日間かけてわざわざ来てくれた亀には申し訳ないが、全く身に覚えがないので恩返ししてもらう義理がない。ていうかもう時間が無ぇ遅刻する。
「じゃあ、そういうことで」
私は道の真ん中にポツンと佇む亀を残して、会社へ向かった。
《②へつづく🐢》
新年が始まって、もう半月経ってしまいました。みなさまお元気ですか?私は元気です。ご挨拶が遅れてしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします🙇
自分の今年の目標を考えてみたりしたのですが、全然まとまらず……。また空想の世界へ来てしまいました。
何だかよくわからない思いつきの物語ですが、現実でも亀の歩みのように、一歩ずつ前進できたら良いなと思います🐢
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