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「葬送のフリーレン」作者・山田鐘人先生によるディストピア作品を思い出す

先日、今年のマンガ大賞に「葬送のフリーレン」(作:山田鐘人 画:アベツカサ)が選ばれた。週刊少年サンデーで連載中。

長寿であるエルフの魔法使い・フリーレンが、かつて一緒に魔王討伐の旅をした勇者が亡くなり、パーティーの面々が年老いていく中、自分だけが歳をとらない世界で生きていく。というようなストーリー。


ロボットの主人公目線で、世界の移ろいを描く芦奈野ひとし「ヨコハマ買い出し紀行」を彷彿とさせるような、キャラクター間の時の流れのズレで切なさを描いていて、こういう作品もいまウケるんだなーと勉強になる。

美麗な作画にハートフルなストーリーと、ローテンポながらなんだか和むキャラクター同士の会話のコメディ感がたまらないです。派手な展開はないけれど(最新4巻は少し物語が動いていく)、淡々といい味出してんな―という感じ。


最初、本作を読んだときには気付かなかったのだが、のちに話題になってから原作の山田先生の過去作を調べたら、ひとつ懐かしい作品が出てきた。「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」だ。けっこう好きだったのに2巻で終わってしまって、当時残念に思っていた作品。

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こちらは、人類がおそらくほぼ滅亡したと思われる世界の中で、寡黙で引きこもりがちな博士と、博士が作ったロボット少女の日常コメディ。フリーレンで、よく時間経過を表現するダイジェストの止め絵コマが挿入されるのだけど、その演出は本作の頃でも使われている。当時からそのダイジェストコマの小ネタが面白いのと、低いテンションの掛け合いと一気に見せる切ない展開など、フリーレンに通ずる空気はこの当時から出していた。


フリーレンが面白く読まれて評価される今は素晴らしいと思うけど、本作もまた再評価されるような世の中になってほしいなーと願っている。3/30までサンデーうぇぶりで1巻分が無料で読めるらしいので、ぜひ読んでみてほしい。


ちなみに、自分もディストピア部隊のマンガ作品「エレクトロジー」を担当しているのでこちらもぜひ!(いまかなり気合い入れた回なので!)

人気の印刷マンガ「今日も下版はできません!」も1エピソードのクライマックスなので見逃せないのと、週刊少年ジャンプ魂あふれる、CC2松山洋氏のインタビュー記事も担当したので読んでみてください。マンガつづきの週で幸せでした。





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Yuya Tamatsukuri
Webの編集者をやっております。