ずっと憧れ続けてきたもの 後編
最近はずっとオリジナルの折りたたみ自転車の事を考えていた。考えるのは好きだ。
去年この折りたたみ自転車をヤフオクで入手した。訳あり品でびっくりするほど安く買えた。革新的な折りたたみ自転車だと知り合いに教えてもらった。
BD-1 Birdy
実際にはどうなんだろう。こんなものなのかな。剛性バランスや操安性は危なっかしく、スピードを出すと共振してバラバラになりそうで怖い。トリッキーなアライメントと、やはりフロントのリンク機構には無理がある。フレームは剛性過多でバランスが悪い。
僕は自転車に関しては素人で、バイクの物差しで判断しているから間違えているのかもしれない。でも自分の物差しで折りたたみ自転車を作ってみたくなった。独創的なメインフレーム折りたたみ機構に、路面を蹴る駆動系とオンザレールの操安性。
頭に浮かんだのは零戦21型の翼端折りたたみ機構。画像やビデオでは見たことはあったが、やはり実物をつぶさに観察したかった。
河口湖飛行館で確認したそれはやはりすごかった。
実に良く考えられている。初見では何でもっとシンプルに作れないんだろうと訝った。もしくは米軍機のように主翼を完全に折りたたんでしまえばいいのでは。
しかし僕はまるで分かってなかった。
展示の骨組みだけのストリップの零戦はまるで竹細工のように繊細で、応力のかかる折りたたみ機構は成立しないのが見てとれる。なので作る手間はかかるが、迅速確実に機能する工夫が詰まっていた。零戦21型の製造は、アメリカの傑作機P51Dの3倍以上の工数だったという。
こんな翼端折りたたみ機構のような、自転車の折りたたみ機構を作ってみたい。メインフレームはアルミ合金の板金組み立てでもいい。
そして多数のエンジンたち。
もう執念の賜物である。足りないものは知恵と工夫を尽くしてカバーする。
航空のみならず、自動車、バイクはもちろん、エンジニアを志す者は、ぜひこの河口湖飛行館で、先人の知恵と工夫、努力と情熱、歴史、つまりいかに生きるかを感じとってもらいたい。
終わり
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