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韓国大統領選連載②ーフェミニズムー

大統領選直前連載の2回目、テーマは「ジェンダー対立」です。個人的には3回の連載の中で、一番の関心事でした。

男女間の対立が激しい韓国の状況が、単純に日本の先を行っているというより、ベクトルの違う方向に向かっているような印象を持っています。女性が怒っているのは日韓共通だけれど、男性がここまで女性に反発するのはなぜなんだろう。そう思いながら取材を進めました。

1回目と同じく、一部紹介します。全文は以下のサイト(https://www.sankei.com/article/20220223-F4KY2UB4YBOLBD4QQCI4SHPIE4/ 有料会員記事)です。

次期政権での要職確保を狙い、各陣営に多様な人材が入り乱れる韓国大統領選。今回の選挙戦で最大のサプライズとされたのは、市民団体「韓国女性政治ネットワーク」代表のフェミニズム(女性解放運動)活動家、申智芸(31)が昨年12月、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦陣営に合流したことだった。

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写真は中央日報サイトより。

女性秘書へのセクハラが発覚したソウル市長(当時)、朴元淳の自殺に伴う昨年の市長選にも出馬するなど、フェミニズム運動のシンボルとして活動してきた申。合流の数週間前まで「『国民の力』は『男性の力』だ」などと同党の女性政策を批判していた申の行動は、尹陣営が支持層拡大を図る動きとして大きく報じられた。同じ市民団体で活動を共にしてきた事務局長、安沼正も「報告は一切なかった」と振り返る突然の出来事だった。

結局、右からも左からも総スカンを食うことになった申智芸さんは、どんな思いだったんでしょうか。取材を受けてもらうことになっていたのですが、途中から連絡が取れなくなってしまいました。残念です。

しかし、両者の蜜月はわずか2週間で終わりを迎える。フェミニズムを敬遠する男性支持層が尹を見限り、一時50%を超えていた20代男性の尹への支持は半減した。申が陣営離脱を余儀なくされると、尹陣営は「男性嫌悪」を助長していると批判されてきた「女性家族省」の廃止や、性犯罪の虚偽告訴に対する刑罰強化などの公約を発表。20代男性の支持回復に向けた戦略を露骨に打ち出した。

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「女性家族省廃止」、7文字の投稿。女性側への弁明などは一切なしです。

女性らが性的被害を訴える「#MeToo」(「私も」の意)運動に代表されるフェミニズムの広がりは世界的な潮流だが、とりわけ韓国男性が反発する背景には、兵役の存在がある。「軍隊から帰ってくると、同級生の女子はすでに就職に向けた勉強を済ませていた」。名門延世大4年の男子学生、安賢浩(25)は就職難が深刻化する中、むしろ男性が不平等な扱いを受けていると訴える。
安賢浩は軍隊について、「不正への追及の有無も相手への態度もすべて序列次第。韓国社会の悪い部分が凝縮された場所」と表現。選挙では女性徴兵制導入をめぐる議論も登場するが、「女も苦労しろ、という意味ではなく、女性参加で可視化されなければ環境は改善されない」と賛同する。

安賢浩さん、アンチフェミニズムの代表みたいな形で発言を紹介する形になってしまいましたが、社会学科の所属で、フェミニズムをよく勉強し、理解を深めている方でした。

分量の関係で書けなかったのですが、印象的だったのは「フェミニズムをめぐる対立によって学生会の機能がマヒし、2020年に消滅した」という話でした。学生自治会がとっくの昔に衰退した日本の大学とは異なり、韓国は「学科の人間関係が濃い」というのは、留学時代にも強く感じたことです。中心的存在だった学生会がなくなる原因になったというのは、学生にとってフェミニズムがネット上の遠い出来事じゃなく、身近な問題なんだろうな、と考えさせられました。

こうした不満が公の場で論じられることは少なく、男性らはオンライン上に集結してきた。セガの海外子会社が製作したサッカーゲームと、ソニー製品の韓国人ファンサイトが変容し、それぞれ保守系、革新系の男性が女性への不満などを共有する代表的なコミュニティーになった。

「フットボールマネージャー」のファンサイトが「FMコリア」に、ソニーの携帯情報端末(PDA)「クリエ」のファンサイトが「クリアン」になったという話です。2000年代の留学時代、おしゃれな韓国人の先輩がPDA駆使してたなー、と思い出しました。

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こんなのでしたねー。

もちろん、男性向けの公約に過度に重点を置けば、女性票を失いかねない。男性有権者の攻略に集中する野党陣営の「女性軽視」を可能にしているのは、与党「共に民主党」に対する女性有権者の反感だ。
 文在寅は「フェミニスト大統領」を標榜して前回選挙に勝利したにもかかわらず、現政権では与党の有力政治家による女性問題が相次いで発覚した。ソウル市長だった朴ら、表向きには女性問題への理解を示していた彼らの背信行為は、女性の与党支持者を失望に追いやった。

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朴元淳ソウル市長(韓国日報サイトより)

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安熙正・忠清南道知事(左、中央日報サイトより)

左派の与党内でセクハラが続出したのは、単純にハラスメントは権力のあるところで発生しやすいものだ、ということなんでしょう。

これまで主にインターネット上を舞台に展開されたが、今回の選挙戦を通じ国民全体に共有される形となった男女対立。韓国紙の女性記者は「地域対立」を軸にした過去の選挙戦と比較し、「ソウルの人口が増えたこともあり、『地域』では自陣の支持者を結集できなくなった」と指摘。「相手陣営との差別化を図る代替策として、フェミニズム論争が利用されている」と嘆く。

今回の取材にあたり、全般的なレクチャーをしてくれた韓国紙の女性記者の話です。嶺南(慶尚道)と対立してきた湖南(全羅道)出身の人で、地域対立は過去に比べてずいぶん薄まったと、実感を持って話していました。


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