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【アウトライナー関連書籍】奥出直人「良い文章のための方法論」(『パソコンを思想する』より)

「良い文章のための方法論」

『思考のエンジン』の奥出直人が、アウトライナーを使わずにアウトライナーによるプロセスライティングをシミュレートする方法を解説した文章があります。『パソコンを思想する』という1990年のムック本に掲載された「良い文章のための方法論」という文章がそれです。

アウトライナーをシミュレートすると言っても、単に昔ながらのアウトライン(≒構成案)を作って書くという意味ではありません。あるいは付箋やカードを使って構成を検討するということでもありません。プロセスライティングはもっとずっと複雑です。

面白いのは、それをアウトライナーを使わずに行うことによって、そのメカニズムが浮かび上がってくることです。

「良い文章のための方法論」の詳細目次は以下のようになっています。

アウトライン
Step 1 アウトラインを書きなさい。
Step 2 なぜこの論文を書いてみたいと思ったのか、個人的な考えを文章にしなさい。
Step 3 論文の主語を一言で述べなさい。
Step 4 アウトラインの再構成をしなさい。
Step 5 頭に浮かんでくる文章を書き続けなさい。
Step 6 第1章の詳しいアウトラインを作ってみなさい。
Step 7 出来上がったアウトラインの該当場所にすでに書いた文章を加え、全体の構造も細かく決めてみなさい。
Step 8 全体のアウトラインを構成しなさい。

良い文章
Step 9 論文執筆のためのシナリオを想定してアウトラインに戦略を書き加えなさい。

容易さ
Step 10 最終のアウトラインを作成しなさい。

『思考のエンジン』前半部で、奥出は実際の論文のライティング(正確にはリ・ライティング)の様子を詳細に示すつつ、アウトライナーを使ったプロセスライティングを解説しています。

このときの作業は英語で行われていました。使用ソフトはアウトライナーのGrandViewとワープロのWordPerfect。いずれも日本語は使えません。MS-DOSの時代なので、英語版ソフトでは日本語(というか2バイト文字)自体まったく受け付けないのです。

では、奥出は日本語はどうやって書いていたのでしょうか。『思考のエンジン』当時、奥出は日本語ワープロとしては一太郎ver.2を使っていたと言います。あの『思考のエンジン』が一太郎で書かれたと思うとちょっと不思議(?)です。

奥出は当時入手できた日本語のアウトライナーをいくつか試したものの満足できず(英語のアウトライナーを使っていた感覚で使えず)、結局日本語で書く場合は「ワープロとコピーとバインダーを使ってアウトライナーの機能をシミュレートしていた」というのです。「良い文章での方法論」での学生の論文指導でも、その方法が使われています。

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