piece 3:文章を書くようにデイリータスクリストを作る①
今日の一日という文章
「piece 2:一日は生きてみないとわからない」で以下のように書いた。
アウトライナーは、文章のアウトラインを「書く前に作るもの」から「書きながら作るもの」あるいは「書いてから作るもの」に変えた。同じように、デイリータスクリストを「(一日を)生きる前に作るもの」から「生きながら作るもの」あるいは「生きてから作るもの」にするのだ。
「アウトライナーで文章を書くようにデイリータスクリストを作る」ことについて考えてみたい。
ここで書かれることになる「文章」とはどんなものだろう。「それはデイリータスクリストでしょう」と思うかもしれないが、ここでのデイリータスクリストは「文章」ではなくむしろ「アウトライン」の方ではないだろうか。
文章のアウトラインの目的は、書こうとしている文章の構造と流れをカタチにすることだ。内容を肉付けしていけばそのまま文章ができ上がることが期待される(現実にはそうはならないのだが、とりあえず)。
デイリータスクリストに当てはめてみれば、それは今日一日の(ありたい)構造と流れをカタチにすることであり、それを見ながら行動すれば思うような一日になることが期待される、ということになるだろう。つまりここでいう「文章」とは、ぼくやあなたが過ごす一日のことだ。
「一日を書いた文章」にはたしか名前があった。そう、日記だ。アウトライナーで文章を書くように作るデイリータスクリストは「今日の日記のアウトライン」なのだと考えるといいかもしれない。
文章を書くための11ステップ
アウトライナーで文章を書くプロセスについて復習してみる。
しつこいようだけれど、「アウトラインに肉付けしていく」というやり方ではほとんどの場合うまくいかない。文章を書くためのアウトライン・プロセッシングとして『アウトライナー実践入門』では以下の方法を紹介した。発想し、育て、絞り、文章の形に組み立てていくというプロセスをすべてアウトライナーの中で完結する11ステップだ。
【Step 1】自由なフリーライティング
【Step 2】テーマの探索
【Step 3】テーマを絞ったフリーライティング
【Step 4】テーマの明確化
【Step 5】仮のサマリーを作る
【Step 6】仮のアウトラインを作る
【Step 7】仮のアウトラインに沿って内容を整理する
【Step 8】シェイクを繰り返す(※)
【Step 9】アウトラインの引き締め
【Step 10】アウトラインの固定
【Step 11】本文の完成
※シェイク:アウトライナーの機能を使ってトップダウン思考(構成から考える)とボトムアップ思考(文章から考える)を交互に繰り返すこと
これはどちらかというと長い文章を書くための方法だ。短い文章を書くときにここまで面倒な手順を踏む必要はない。
簡略化した6ステップ
そこでもっと短い文章を書くために簡略化したのが以下の6ステップだ。
【Step 1】フリーライティングする
【Step 2】仮アウトラインを作る
【Step 3】仮サマリーを作る
【Step 4】読みながら加筆する
【Step 5】アウトラインを修正する
【Step 6】Step 4〜5を繰り返しながら書き続ける
簡略化してはあるがポイントは同じ。実際に書かれた内容に合わせてアウトラインをアップデートしていくということだ。この「Re:vision(仮)」のTak.担当分記事も、ほぼこのステップを踏んで書かれている。
【Step 1】フリーライティング
書きたいことについて頭の中にあることを思いつくまま書き出す。順序とか表現とかは気にせず思いつくままに書く。最初は書けそうな気がしなくても、しばらく手を動かしているうちに芋づる式に文章が出てくることが多い。フリーライティングはテーマを発見したい場合にも、テーマを深化させたい場合にも有効だ。
【Step 2】仮アウトラインを作る
フリーライティングを踏まえてアウトラインを作る。短い文章ならフリーライティング結果に見出しをつけていき、組み替えているうちにできてしまうことが多い。まとまらないときはフリーライティングをいったん脇に置いてアウトラインを別に作り、後からフリーライティングの内容を組み込むといい。コツはフリーライティングをぜんぶ使おうとしないこと。使わなかった部分はアウトラインの末尾に「未使用」という項目を立ててその下に入れておく(後から使える場合もある)。「アウトライン」といいながら、この時点ですでに多くの文章が組み込まれている。
【Step 3】仮サマリーを作る
文章全体のサマリーを一文(あるいは一段落程度)で書いてみる。流れがはっきりし、何を落とすべきかがクリアになる効果が大きい。「仮」の理由は仮アウトラインと同様だ。サマリーの結果によっては、仮アウトラインに戻って修正する必要があるかもしれない。短い文章の場合には仮サマリーは必ずしも必要ない。
【Step 4】読みながら加筆する
アウトラインを展開し、組み込まれた文章を最初から読んでいく。足りない部分を加筆し、不要な部分は「未使用」に落とす。元のアウトラインにないことを新たに思いついたら(たいてい思いつく)、その場に書いてしまう(見出しをつけておくと後で楽だ)。個人的には、重要な記述がこの段階で出てくることが多い。
【Step 5】アウトラインを修正する
アウトラインを折りたたんで全体を見渡してみる。Step 4を経てもアウトラインは機能しているだろうか。論理は破綻していないだろうか。流れは淀んだりからまったりしていないだろうか。必要に応じてアウトラインを組み替えたり、新たな項目を立てたり、不要になった項目を「未使用」に落とすなどして調整する(ひとつの文章に書けることには限りがある)。
【Step 6】Step 4〜5を繰り返しながら書き続ける
Step 4〜5のプロセスを全体がいい感じになるまで繰り返す(何を「いい感じ」とするかは文章の目的によって違う)。仮アウトラインは仮のまま変化を続ける。文章の完成とともに「仮」が外れたアウトラインは「目次」と呼ばれる。
6ステップをベースにデイリータスクリストを考える
以上の6ステップはあくまでも形式なので、すべての手順を律義に実行する必要はない。フリーライティングの勢いのまま最後まで持っていけてしまうこともある(実はその方が多い)。ただ、そうならなかったとき意識して上の手順を踏むようにすると苦労はずいぶんと減る。
また、長い文章(個人的な感覚では10000字以上)をこの簡略化した6ステップで書こうとするとパンクする可能性が高い。その場合は冒頭の11ステップの方法(あるいはそれに近いもの)が必要になる。
長々と文章を書く話をしてしまったが、この6ステップが「文章を書くようにデイリータスクリストを作る」方法のベースになる。
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