どんぐりの木
もう十数年前になるけど、在来種の植物で都会のまちに私たちが幼いころから親しんできた里山の風景を作る会社を友人と立ち上げた。
もっとも私は10年余り関わって、本業だった商業の仕事とのバランスが取れなくなり、その仕事を離れた。それから数年たって、会社は日本の造園業界にこれまでなかった質の高い緑化によって独自のポジションを確立し、今では街のあちこちでその風景にに出会うことになった。そのころはこんな風になるとは夢にも思ってもみなかった。
まだまだこの会社が小さかった頃の初心の思い出がこのどんぐりキューブ。
側面の金網は壊れて素焼きのポットに入れかえてしまったが、植栽の緑は、どんぐりから育てた、10年物の正真正銘コナラの木。みんなで里山にどんぐり採集に行って、その時に拾ったどんぐりである。
ずっと我が家の窓辺で、秋になれば紅葉し、冬には落葉し、春には新緑になり、夏には茎は細いけど、株立ちの夏木立として涼やかに葉っぱを揺らす。
緑がない暮らしは考えられない。でも、私にはどんな緑よりこのどんぐりの木がいとおしい。なんだか不思議なことにこんなに小さくても雑木林の中にいるような気にさせてくれる。いわば、mytree。
ずっと行けてなかったけど、秋になったらドングリを拾って、また育てよう。
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