［週末雑記#2］夢って何？

昨晩は津波の警報でよく寝れなかった人も多かったのではないだろうか。未曾有の被害をもたらした震災の記憶はまだ新しい。

眠りが浅かったのか、多くの夢を見た。ポジティブな夢、ネガティブな夢、楽しい夢、懐かしい夢・・・人生が進むにつれ夢のバリエーションが増え、当時の自分や新しい自分を夢の中で垣間見ることができる。寝ることよりも夢を見ることが好きで、一時期、夢日記などもつけながら、明晰夢にハマっていた時期もあった。明晰夢について調べると今では関連書籍もずらりと並び、好奇心を満たすのに事欠かない。夢はそのくらい、誰もにとって身近で、いつでも気になる存在なのかも知れない。

自分と比較すると「夢」みたいな人生を送っている人も世の中にはたくさんいる。仕事柄、多くの方の人生に触れるので、日々実感する。本人からしたら、知らぬ間に駆け抜けて、振り返ってみたら夢みたいな人生だった、という人もいるだろうし、目標を明確に設定してGRITを発揮し、実現に向けてひた走っている（ひた走ってきた）人もいる。

戦後、奇跡の復活を遂げた日本は世界から見たら夢のような国で、そこで生活している若者も夢見て毎日踊っていたのだろう。アメリカンドリームなんてものも小さい頃よく聞かされた。今でも世界中の若者が夢を見て、アメリカを目指す。残念ながら、そんな大志を抱くこともなく、30過ぎのおっさんになったが、よくそんな夢も見る。

そもそも将来の「夢」と、寝るときに見る「夢」が同じ言葉で表現されているのはなぜなのだろうか。

※「語源由来辞典」より抜粋

なるほど、元々は寝るときに見るものだったものが、変化していったのか。近代とは、日本でいうと江戸時代が終わって、明治が始まった頃を指すのだろう。江戸時代という（おそらく）まったり長く続いた体制が終わりを告げ、混沌としてきて、何か目標が必要だったのかも知れない。うつつを抜かしてないで、一般庶民に将来の希望を与えて、夢という言葉に置き換えて、世の中に発破をかけたのかも知れない。

時々、自分が江戸時代に生きていたら何をしていたのだろう？と思うことがある。多分、自分は町中で味噌でも売っていたのではないだろうか？と妄想する。味噌を扱うだけでなく、日用品を扱っているので、街中の噂が滞留する。米の加工品なので、当時は米で税金を納めていたはずだから、きっと税金逃れの怪しい米とかを味噌に変えて、なんていう米ロンダリングに手を染めていたかも知れない。おそらく味噌だけでなく、その他の商品にも積極的に手を広げていたはずだ。気の合う仲間と積極的に事業を拡大し、隣町の味噌屋とも連携して、販路を拡大し、仲の良い大名行列に臨時参加させてもらって、たまに出張販売も行う・・・そんな夢も見る。

今週、夢についてここまで妄想が進んだのは、Perfumeのライブを見たからかもしれない。新曲「polygonwave」を引っ提げて、Amazonという巨大スポンサーの下、横浜の最新のライブ会場・ぴあアリーナMMでライブが行われた。去年の夏の再演である。ファンになってから12年弱、ここまで、彼女たちにはたくさんの夢を見せてもらった。コロナの苦境に陥っても、どんどんアイディアを具現化していくスタッフ陣は本当に素晴らしく、中でも、今回のライブは、今までで一番素晴らしかったと断言できる。

彼女たちは、12年前、どこまで夢を描いていたのだろう？どこかで、Perfumeとしてやるべきことというギアを入れ替えたのだろうか？それともここまでのことが自分たちにはできる、と淡々と、具体的に見据えていたのだろうか？

仕事柄、個々人の夢について伺う機会も多い。仕事を通じた夢もプライベートな部分も聞くことがあるが、単純に金持ちになりたい、自由になりたい、という人もいる。事業を作り出したい人、独立したい人もいるし、社会的意義のあることに参画したいと大志を持つ人、世の中にないサービスを新たに作り出したい人、とにかく色んな夢を描いて実現に向けて準備をしている。

夢について語ってくれない人もいる。夢なんて持つのを止めた、楽できればそれでいい、とりあえず良い職場に行きたい、今更そんなの持つ年齢じゃない。そう考えるのも、別に個人的には悪くないと思う。というか、それを夢と定義していないだけで、将来の希望であるのは間違いないし、心の底からそう思うなら、そう過ごしたほうがストレスも少ないだろうし、無理に夢という言葉で定義して、皆が皆、将来の希望を持つ必要はない。

それでも、どんな生活をしていても、寝るときに夢を見続ける。植物状態で言葉を発することができなくなったとしても、人は夢を見ているらしい。そこには、自分の思いがけない自分がいたりする。

毎日、夢を見る。ここに、将来の希望という意味をもたせた過去の人は天才だ。これから、どんな夢を見ていくのだろうか。人の夢を聞くのも興味があるし、自分の夢を考えるのも楽しい。そして、今晩夢を見るのも楽しみだ。