この冬に向けて準備して欲しいこと~コロナの外来からのお願い~
10月まで減少してきた新型コロナウィルス感染症の新規感染者は、また緩やかに増加してきました。
自分の病院でも、10月は予約枠が2-3割空いていましたが、11月からは連日埋まるようになりました。
そして陽性率も7-8割まで上がってきました。
今からこれでは、冬は大丈夫なのか?と不安になります。
この冬、医療機関が倒れてしまう前に、周知して欲しいことがあります。
1.自主抗原検査をして欲しい
1-1.実際半分以上は受診の必要のない人
厚生労働省や東京都では、65歳未満の重症化リスクのない方、妊娠していない方などを対象に、自主抗原検査・自主登録をすすめてきました。
ですが現在発熱外来を受診した方の8割は、自主抗原検査で対応できる方です。自主検査の結果が陰性であれば発熱外来を受診するとしても、8割の方が自主検査をして、7割の方が陽性で自主登録をする。つまり5~6割の方は発熱外来を受診する必要がない訳です。
1-2.東京都全体で、自主検査は2割程度
現在の東京都では新規陽性者の約75%が50歳以下なわけですから、おそらく7~8割の方は自主検査・自主登録で対応可能なのだと思います。
ですが、実際は2割程度しか自主検査・自主登録をしていません。
「検査キットがない」「薬がない」「自主検査なんて知らなかった」「しっかりと検査してもらえと言われた」などの理由で医療機関で検査される方が多くいますが、早くも発熱外来が一杯となりました。
年配の方や本当に検査が必要な方も、予約をお断りしている状況です。
1-3.再度、コロナにかかった時の準備を
世の中は少しずつ日常に戻ってきました。
ですが発熱外来は一杯で、救急も日常的にひっ迫しています。
コロナに感染しても重症化のリスクが低く、自身で検査・隔離生活を完遂できる方は、日頃から準備をしていて下さい。
できればコロナ・インフルエンザのワクチンを接種してください。
コロナの抗原検査キット、解熱剤、咳止めは買っておきましょう。
コロナの抗原検査キットは体外診断用医薬品と第一類医薬品はOK、研究用と書いてあるものはダメです。
キットがなくても東京都では、登録すれば1日でキットを配布するしくみがつくられています。是非ご活用下さい!
朝9時から申し込み開始で、申込者が一日の上限を超えたらその日は終了となります。
2.インフルエンザを心配される方もいますが
2-1.インフルエンザはまだ流行していない
Yahooニュースには、インフルエンザで大阪の学校で学級閉鎖となった記事が上がっていました。
ですがインフルエンザは、最新の11/11の国立感染症研究所の公開データを閲覧する限り、まだ流行していません。
なので発熱外来にインフルエンザを心配して来られる方もいますが、強く疑う方でなければ検査をしません(抗原検査を行うと一人あたり30分程度長くかかり、全員に行うと発熱外来がまわりません)。
今はインフルエンザの心配をせず、しっかりコロナの自主検査を行ってもらえればと思います。
2-2.発症直後の受診は、やめてほしい
インフルエンザの検査が必要な方も、発熱直後には受診しないでもらいたいです。
現在は抗原キットの感度もだいぶよくなりました。ですが発症初期はウィルス量が少なく、検査をしても陰性と出てしまう可能性もあり、一応発症して6時間以上経過してからの検査が推奨されています。
ちなみに10年前は、抗原キットの陽性率は12時間以内は50%、12-24時間は70%、24時間以上で90%でした。
できれば発症して、6時間から半日経過してから受診してもらいたいです。
3.熱が出たらどうするか~コロナとインフルエンザのツインデミックの時の受診の仕方。
インフルエンザの流行はまだこれからですが、冬になれば間違いなくコロナとの同時流行がおこります。
まず熱が出たら自身で抗原検査を行い、陽性であれば自主登録をお願いします。
陰性であれば、発症して6時間よりあとの時間の発熱外来を予約してもらえると、コストも医療資源も削減できます。
いまだに「インフルエンザの検査は発症して24時間以上たってから」と言われるかもしれません。先生の知識が古いせいか、自分の知らないキットを使っているかは不明です。が、そう言われたらその指示に従って下さい。
少しずつ発熱外来の予約がとりにくくなってきています。
自身で準備をお願いします。