お酒の話(ピスコ)


ピスコとは

 南米チリ、ペルーで作られるブドウを原料とした蒸留酒
 ※原産地呼称(D.O.)により、チリ、ペルーでは論争が起こっている。(日本ではピスコ・ペルー、チリ産ピスコなどと呼ばれる)

ピスコの定義

 今回はペルーとチリそれぞれの定義を紹介します。

ペルー産ピスコの定義

・ブドウ品種は8種
 芳香族4種(アルビーチョ、イタリア、モスカテル、トロンテス)
 非芳香族(ケブランタ、ブラックカラント、ウビナ、モラー)
※アロマティコ、ノン・アロマティコという表記もある

・生産地はリマ州、イカ州、アレキパ州、モケグア州それぞれの沿岸部、タクナ州の3渓谷(ロクンバ渓谷、サマ渓谷、カプリナ渓谷)

・搾りたての新鮮なマスト(ブドウ果汁)のみを使用し発酵させる

・発酵したマストを蒸留器(ファルカ、アランビックなど)で単発蒸留をする。

・ガラスや、ステンレス、素焼きの瓶(ティナーハ、ボティーハ)などで3か月熟成

・蒸留後、加水や加糖は行わない。

チリ産ピスコの定義

・ブドウ品種は1~13種※異なる記載あり。モスカテルは共通

・生産地はアタカマ州、コキンボ州

・単式蒸留器での複数回蒸留、連続式蒸溜器での蒸留も可能

・ステンレスタンクなどだけでなく、樽での貯蔵の場合もある。
※樽はアメリカンオーク、フレンチオーク、ナウル/ラウリ(ブナ)などが使われる。

・加水も認められている。

ピスコの種類

 種類の表記においても、ペルーとチリではそれぞれ異なっている。

ペルー産ピスコの表記

・Pisco puro(ピューロ/プロ)
 単一のブドウ品種(ノン・アロマティコ)から作られるピスコ

・Pisco aromatico(アロマティコ)
 単一のブドウ品種(アロマティコ)から作られるピスコ

・Pisco mosto verde(モスト・ヴェルデ)
 発酵途中のマストを蒸留して作られるピスコ

チリ産ピスコの表記

・Pisco Corriente o Tradicional(コリエンテ・オ・トラディシオナル)
 アルコール度数30~35%

・Pisco Especial(エスペシャル)
 アルコール度数35~40%

・Pisco Reservado(レゼルヴァド)
 アルコール度数40%

・Gran Pisco(グラン)
 アルコール度数43%以上

ピスコ歴史

 16世紀頃、スペインの植民地であった中南米に大西洋カナリア諸島(スペイン領)からブドウが持ち込まれ栽培が始まった。
 当初はワインの製造が目的であったとされているが、気候や土壌、旧インカ帝国(アンデス文明)の農耕技術などの結果良質なワインが製造されたことでスペイン本土のワイン産業が困窮することなった。
 その結果ワインの製造、輸出を禁止したことで、別のお酒(蒸留酒)を作り恥豆たことがピスコの由来とされている。




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