見出し画像

僕は今その場所にはいない。

僕は今その場所にはいない。
でも、かつての僕はそれをやってきた。

2025年1月12日、『SNS医療のカタチ』に出演させていただいた。
現役ドクターであり、臨床と研究に余念がなく、顔と名前を出して「ニュートラルな(←ここ大事)」医学情報を発信しているインフルエンサーである、大塚篤司先生、堀向健太先生、山本健人先生。

先生方の発信をご覧になっていただければわかるが、
専門的な内容であっても誰でも手に取りやすい形で伝えてくださる。

この手の情報発信は、命、健康、病気、障害などがテーマなだけに「真面目」に傾くのだけど、先生方の「真面目+ユーモア」の語り口から伝わってくるのは、人間愛だ。僕は実際に何度かお会いしているけど、やさしさとつよさを感じる、まさに頼れるドクター陣。

その時の講義の模様がこちら。

メインテーマについては、またゆっくりとnoteにも記させていただくとして。

山本健人先生から「ゲーリー・グッドリッジのファイトが好きだった」とのお話があって。僕が彼のチーム、TEAM GO-RIKIのチームドクターだった頃の話になった。(彩芽はまだいなかった)

ゲーリー・グッドリッジ選手の血液をデータ化

もちろんSNS医療のカタチのフォーマットの中でのことだったから、時間も限られている。なので医学的なこと、格闘技的なこと、そして安全面を一気に凝縮したエピソードをお話させてもらった。

このときは、子どものスポーツ、特にカラテや格闘技の安全性がテーマだったので、全体のトーンは明るいものではなく、シリアスに進んでいった。

だけど、堀向先生の小児科ならではの知見に続き、大塚篤司先生と僕の「B’Zとプリンス」タイム、そして山本健人先生によるプロファイタ―に関するご質問は、希望に向かうあかるいトーンで、おもしろかった。

とくにここ最近の僕は、格闘技モードよりも、(その発展形としての)パフォーマンス医学モードだったので、格闘技ドクターとしてのキャリアに特化した発信はあまりしてこなかったのだけど。山本健人ドクターが、ゲーリー・グッドリッジが好きだったことを知り、そして彼のファイトスタイル、魅力を適確に言葉に変換してくださったことで、また僕らの関係性がステージアップした気がした。

僕は今その場所にはいない。
でも、かつての僕がやったことが今ここにある。

この感覚がなんか不思議で面白くて。そうだ、ゲーリー・グッドリッジとのエピソードなんかも記録しておこう、そんな気になった。

アグレッシヴなファイトで知られるゲーリー・グッドリッジだが、バックステージでは極めて紳士的で、人望も厚い。

当時K1で「悪童」として有名だったバタハリと彼の陣営が控室で暴れたことがあったんだけど、その時、ゲーリーはいちばんに走っていって、

「ここはリングではない。暴れるならリングでやれ」

と一喝して場を鎮めたことがある。ゲーリーの迫力にバダハリ陣営は小さくなり、いたずらした後の子どものように、蹴散らした椅子や荷物を片付け始めた。

これにはシビれた。

ゲーリー・グッドリッジは格闘家に転身する前は、アームレスリングの世界王者だった。アスリートとして高くて険しい山を登っているため、アスリートとしての意識も高く、しかも肚が座っている。

「あああ、ゲーリーのチームでよかった」

リングで勝ったとき以上に、彼のチームの一員であることを誇りに思った出来事だった。

乱闘鎮静事件のあと、ゲーリーはウォーミングアップをはじめた。

ぼくとは身体のサイズが違い過ぎるので、僕はミットをもつことはなかったけど、「動きはどう?」と聞かれるので、真っ直ぐに観察し、感じたことを彼に伝える。そんな役割を担っていた。

ウォーミングアップも終わって、試合まであと15分くらいのタイミングで、ゲーリーは僕にリクエストを出した。

”Dr.Takki, Could You fix my penuts to the right position?”
(ドクターTakki、オレのピーナッツを正しい場所にしてくれる?)

”OK, I will”(わかった)

グローブで両手が塞がった彼の代わりに、トランクスの中の金的カップ(男性の急所を守る器具のこと)の中にモゾモゾと手をいれて、彼が戦いやすい位置に戻した。(フルコンタクトである)

ぼくとは手のサイズが違い過ぎるので、僕は彼のピーナッツをもつことになった。「大きさはどう?」とは聞かれなかったが、そんな役割を担っていた。

僕は今その場所にはいない。
でも、かつて僕がやってきた足し算が、
「SNS医療のカタチ」のおかげで掛け算になった気がした。

・世界で活躍するファイターたちから学んだことも

・ゲーリーも推薦の言葉をくれた、格闘技医学

いいなと思ったら応援しよう!