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母で、格闘家で、ラウンドガール。あきぴさん×Dr.F① ~リングからみえる景色~

今回、Dr.Fとの対談で登場するのは、4人の子供を育てながら、RIZINガールとしても活躍する、あきぴさん。SNSでのあきぴさんのエッジの効いた発言がきっかけで、交流がスタートしたというおふたり。格闘家の気持ちを知りたくて柔術やキックにもトライする、アクティヴなあきぴさんとDr.F、一体どんな話題が飛び出すのでしょう?

Dr.F 直接お話しするのは初めてですね!よろしくお願いします。

あきぴ そうですね、うれしいです! よろしくお願いします!

──今回、意外な組み合わせの対談で驚いています(笑)。そもそもこの対談が実現に至った経緯を教えていただけますか?

Dr.F 最初はツイッターであきぴさんのことを目にしたんですが、RIZINガールでお子さんが4人いらっしゃるということにまずビックリ。その方がすごく芯の強い発言をされていて、見た目とのギャップにまた驚いて。痺れました!



あきぴ ありがとうございます(笑)。

Dr.F かつてはラウンドガールや、モデルさんなんかの場合、自分の意見をあまり主張しない傾向があった気がします。

 でも、あきぴさんの場合、何かあったときに「私はこう思う」とハッキリ表明されるんですよね。しかもラウンドガールという立ち位置から。

 これはすごいな、と思って、気づいたら「勝手に応援させていただいてます」という感じで(笑)。

あきぴ 私は、こんなすごい方が応援してくださるということがすごく励みになって、それがより頑張るきっかけになったんです。だからすごく感謝してます。

Dr.F 僕は全然すごくはないですが(笑)でもありがとうございます。あきぴさんは、注目を浴びるし、しかも何かといろいろ言われやすいポジションですよね。

あきぴ そうなんですよ! すごく言われやすくて(笑)。

Dr.F でも、例えばRIZINという格闘技の場の尊厳を傷つけるような行為があったときに、「私はそういうのは好きじゃない」と表明したり、あるいは「ラウンドガールだからって、下に見るのはどうなの?」ということを発言されていて、「同調圧力に負けない新しいタイプの強い女性が出てきた」という感覚がありました。

あきぴ そう言っていただけるとうれしいですね。私としては、Dr.Fがすごい方だということは知っていたので、「そんな方がどうして私を擁護してくれるんだろう?」という思いが強くて。

 私の場合は最初の頃からアンチコメントとかアンチDMとかがすごく多かったし、私はもともとすごく弱い人間だったので、いろいろ悩んだりもするんですけど、Dr.Fはいつも味方になってくださって……こうやって改めて話すと、すごく照れますね(笑)。

Dr.F こちらもです(笑)。そもそも、お子さんを4人育てるってことが大変じゃないですか。ある意味、毎日がファイトみたいなものでしょう?


あきぴ 本当ですね! まさにファイトです!(笑)


Dr.F それだけでもものすごい大事業なのに、日々、懸垂の動画を上げて、ツイッターも更新し、メディアに対しても真っ直ぐ物申す。さらに、柔術とキックの練習もされているわけです。

 一般的なラウンドガールは、メインディッシュに華を添えるようなイメージですけど、あきぴさんは自分で格闘技をやって、プレイヤーの目線も持っているんだなあ、と思って。衝撃でしたよね。

それら全部含めて、一人で戦っているという格闘技的なところにシンパシーを感じます。「私は私の生き方を貫く」という意志を行間から感じるんですよね。

あきぴ そんなに褒められると変な汗かいちゃいます(笑)。強いと言っていただきましたけど、私は私で、Dr.Fの『強さの磨き方』を読ませていただいて感動したんですよ。

今まで私は「強さ」について、一方的な見方からのイメージしか持っていなかったんですけど、この本を読むといろんな見方からの「強さ」があるんだ、というのが分かったんです。

それから、Dr.Fも悩んでいたことがあったんだ、というのが分かって共感できる部分が、すごくありました。「じゃあ、私にもいろいろできるかも」と読者に可能性を与えてくれる本なんだなというところに感動して、何度も読み返しました。

Dr.F うれしいです!250ページも「強さ」について書いてしまうということは、僕自身がずっと弱さに打ちのめされてきたってことですからね(笑)

あきぴ 読むまでは、Dr.Fは昔から頭もよくて、選手もやってて、すごい人生を歩んできた人、みたいなイメージだったんですよ。同じ人間だけど、自分とはかけ離れてるみたいな。でも本の中には、「そういうところもあったんだ!」「すごく努力してるんだな」ということが満載で驚きました。


Dr.F 負けた数と失敗した数なら、相当ありますからね(笑)。逆に言うと、自分の負けや失敗の経験がこうして誰かに届いて、少しでも誰かの役に立つのなら、僕の負けも報われるのかなと。そこまではやろうと思ったんですよね。

それが、性別も、立ち位置も、年齢も全く違う、やってる競技も微妙に違うあきぴさんに届いたというのは、本当にうれしいですね。

──あきぴさんのご感想、そしてそこに至ったDr.Fの経験、ともに素晴らしいですね。Dr.Fは今回、あきぴさんに聞きたいことがたくさんあると伺っていますが……。

Dr.F ありますあります(笑)

 多くの人は「ラウンドガールの視点」ってなかなか持ちえないじゃないですか。僕からすると「見上げる」しかないわけです。なのでラウンドガールとしてリングに立つあきぴさんから、どんな景色が見えているかをまず伺いたいんです。

あきぴ 私は本当に、みんなのおかげでRIZINガールになれたんですよね。容姿にしても、子供が4人いることにしても、本来なら絶対にRIZINガールにはなれていない人間なんです。

Dr.F 容姿でも十分なれていると思いますよ。

あきぴ いえいえ(笑)。とにかく多くの方が応援してくださって、格闘技に対する想いがRIZINの榊原信行CEOに届いて、RIZINガールになれたんです。確かに私は十数人のRIZINガールの中で容姿では最下位なんですけど、「誰よりも選手のことを理解しよう」と思ったんです。

 なぜなら神聖なリングに上がらせていただくのに、選手のことや格闘技のことを分からないままというのは失礼だと思ったからです。

だから、自分も格闘技をやろうと思ってキックを始めたんですけど、「寝技もやらないと分からないな」と思って柔術、MMAも始めて。

「選手って、こんな大変なことを何年も何年もやってるのか!」と。そりゃあすごいなと。そういうリスペクト込みで、ラウンドガールとしてリングに上がって「今から2Rだよ!」ってお知らせする。それが私にとって、他の子たちと違うとハッキリ言える部分ですね。

というか、「ラウンドガールは全員格闘技をやるべきだ」と思っているぐらいで。

Dr.F 素晴らしい! その有言実行はなかなかできるものではないですよ。

あきぴ やっぱり自分が体験しないと、選手たちの大変さは分からないので。ラウンドガールって本来は脇役なんですけど、でもRIZINチームの一員としてもっと全体の意識を上げるような存在になりたいなと思って、2年間やってきました。

②に続く

強さの医学的背景、格闘技医学

2010年より連載中、ファイト&ライフ。


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