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#118 Jリーグクラブのある街に生まれて

僕の生まれた街にはJリーグで活躍するクラブがある。それがどんなに幸せで恵まれていることなのかを知ったのはだいぶ経ってからだ。

自宅にいても、試合がある日にはスタジアムからの歓声が聞こえてくる。それでその日は「Jリーグのある日」なんだと理解する。

当時はチケットが売り切れることなんてあまりなくて、その歓声が聞こえてから友達に電話をする。

「今から試合観に行かない〜?」

チャリンコを漕いでいけば、スタジアムまで10分もかからない。

とりあえず黄色い服を着て出かける。クラブのカラーは黄色だ。

そう、僕の地元のクラブは柏レイソルだ。

小学校1年生から地元のサッカークラブでサッカーを習い始めた僕にとって、この柏レイソルというクラブは目指すべきものとなった。

サッカーを始めた時点で夢となる場所、目標がこんなに近くにあったのだ。

子供の頃の僕は、いまのようにとても好奇心旺盛で、やりたいと思ったことはとにかくやってしまうという性格だった。

それが故に、習い事の数も実に多種多様でサッカーのみならず

ピアノ・バスケットボール・野球・卓球・バレーボールなんかも同時にやっていた。正直に言おう、この中で僕に一番才能があったのはバスケットボールだった。

実際、いろんな学校や実業団の関係者などが声をかけてくれた。しかし僕はそのたびにこう返していた。

「サッカーやっているので、ごめんなさい。」

いま、バスケットボールをやってもたいして上手では無い。でも、当時の僕にものすごい可能性を感じてくれていた人たちがいたようだ。

サッカーは僕にとって何よりも大切なものだった。そもそも、野球を始めたのも忍耐力を学ぶためだ。

当時、週に2回しかない練習に物足りなさを感じていて、サッカーチームも掛け持ちした。そして日曜日には野球を習った。

週4でサッカーを習い、週1で野球に打ち込んだ。

そして、野球をやっていた僕のポジションはピッチャーだった。ある日、監督に言われた。

「サッカーか野球のどちらかを選べ。チームに必要だから試合に来れないならもう野球をやめてくれ。」

そう、僕は日曜日にはサッカーの試合があるとサッカーの試合を優先した。サッカーがなければ野球に通った。

そんな僕の答えは同じだ。そして、僕の野球人生は終わった。

きっと、Jリーグクラブのある街に生まれていなかったら、僕はサッカーを選んでいなかったと思う。

初めてプロサッカー選手をみたのはスタジアムでは無い。家の窓からだ。

毎朝6時か7時になると、ランニングに駆け出すかっこいいお兄さんがいた。とても爽やかで軽快なステップに「あの人は誰だろう」と思っていた。

黒いジャージに黄色いワッペンが輝いていた。

「柏レイソルの沢田選手だよ。」

身近にいたかっこいい存在がたまたまサッカー選手だった。もしこの街にJリーグクラブがなければ出会っていなかった。

素直に、かっこいいと思った。



そしてスタジアムに試合観戦に出かける。もちろんお目当ての選手は沢田選手だ。彼はものすごい運動量でサイドを駆け上がる。

彼の努力の理由を知る。このために努力をしていたのか。僕にとってここはスーパースターが集う場所だ。もともと才能がある選手だけが立つことのできる場所だと思っていたけれど、そうじゃなかった。

努力の必要性を教えてくれた。

そして、僕にとってサッカースタジアムや練習場というのは友達と集まる場所でもあった。サッカーという魔法の言葉が友達を集めてくれる。

サッカーは僕に仲間をくれた。

大げさに聞こえるかもしれないが、きっとそうだと思う。

そして、みんなで努力をして、汗を流して一つのボールを追いかけた日々が宝物として残っている。今でもサッカーを通して出会った仲間は特別な存在だ。

僕はサッカーを習うために一つ離れた小学校まで通っていたので、自分の通う小学校とは別に、違う学校の友達が出来たことはとても貴重だったと思う。

もちろん最初は友達がいないということに怖さを感じていた。

けれど、サッカーボールがそんなことを1日で解決してくれた。ただボール蹴るだけで仲良くなれる。不思議だけど、サッカーはそんな魔法的な力を持っている。


振り返ると、僕の子供時代には常にサッカーがあった。そしてそれを中心に全てが決まっていった。


今もそうだ。

そして、海外にいると地元のことについて聞かれることがある。

その度に僕は自慢げに言うんだ。

「僕の地元には柏レイソルというJリーグのクラブがあるんだよ。」

そして、この柏レイソルというクラブが持つスタジアムは日本で一番熱狂するスタジアムだと自信を持って言える。手を伸ばせば届きそうな距離に選手たちがしのぎを削っている。

おそらく他チームのサポーターさんもこのスタジアムでの試合は楽しみにしているはずだ。


陸上トラックがないので、ピッチとの距離が極めて近い。

僕にとってこれが当たり前でした。というか、この日立台(現在は三協日立フロンテア柏スタジアム、子供の頃の愛着を込めて、ここでは日立台と書かせてもらいます。)しか知らなかった。

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家からすぐの距離にスタジアムがあって、手が届きそうな距離で選手たちが必死にボールを追っている。

サポーターさんの応援が響く。

凄い声量。ピッチの選手たちの声も時たま聞こえる。

アウェイの試合にあまり行ったことがなかった僕は、このスタジアムがどれだけ素晴らしいかを知ったのは、だいぶ先だった。

日立台が当たり前だった僕からすると、凄い静かだな…と感じるスタジアムもあった。

あの熱狂の空間を見ながらサッカーの魅力にどっぷりとハマっていった。


Jリーグクラブがある街に生まれた事は恵まれていると思う。


そして、いま東南アジアに身を置いてサッカーをしている中で思うことがある。

それは夢や目標が身近にあるということの大切だ。それがあることにより努力の先が見える。目指すべきものがあるというのは当たり前のことではなかった。


だから、ここでもサッカーがより身近なものとなり、人々の夢や目標となれる存在に成長してほしいと願っている。

そのきっかけ作りでもいい。自分の想いを伝えていきたい。


今日もありがとうございました!

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それでは、また明日!


タイトル写真引用

https://hongkong.keizai.biz/headline/926/

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