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モンゴル代表チームへの支援は、あの日で終わっていなかった。

2019年10月10日の埼玉スタジアムで行われたW杯アジア2次予選。僕はこの試合でモンゴル代表チームへアシックスのシューズを全選手・スタッフへ提供するという壮大なプロジェクトを行い、実現をした。

・モンゴル 男子サッカー代表 全選手、スタッフへのアシックスシューズ提供の裏側【前編】
https://note.com/takuya_watanabe/n/n9fa5a96bd3d2
・モンゴル 男子サッカー代表 全選手、スタッフへのアシックスシューズ提供の裏側【後編】
https://note.com/takuya_watanabe/n/n9fa5a96bd3d2

始まりは僕の思いつきだった。3年間という月日をモンゴルの人々と過ごし、何かしらの形でその恩を返したかった。そして、サッカーは世界中で楽しまれているスポーツであり、平等だ。しかしながらその環境というのは違う。

彼らが掴んだ初めてのアジア2次予選、そして日本代表という素晴らしいチームとの対戦を全力で戦って欲しかった。

しかしながらモンゴルにはまだまだサッカーショップの存在はなく、より良いシューズを国内で入手することはまず不可能であった。だから、なんとかしてあげたいと思って行動した。

それはこれまでに行っていたモンゴル女子代表チームへのシューズ支援から発展したものである。

偶然にもこの日、モンゴルサッカー連盟(Mongolian Football Federation)と日本サッカー協会のパートナーシップが再締結された。

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中には僕らの活動を「このパートナーシップ再締結の架け橋だ。」と言ってくださった方々もいました。本当にありがたいことです。

素晴らしい形で終えたこのプロジェクトはあの日で終わっていない。それは「必要としている人たちがいるのであれば、支えたい。」そんな気持ちがこのプロジェクトを実現した全ての人たちの心に焼き付いていたからこそだと思う。

日本代表との試合を終えて

モンゴル代表は翌朝にウランバートル国際空港へ向けて旅だった。10月15日にはホームでタジキスタンとの試合を控えていたからだ。

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(滞在先のホテルを出発するモンゴル代表選手たち)

僕も彼らを見送り、2日後の便でモンゴルへ向かった。ワールドカップ予選期間により中断されていたリーグ戦と国内カップ戦を戦うために。

モンゴルは10月に入るととても冷え込み、気温は氷点下となる。サッカーをするにはかなり過酷な条件となり、積雪もあるために11月以降には外で試合を行うことは難しい。週に2、3試合を行い、シーズンを終えることとなった。

運命の巡り合わせ

モンゴルでのシーズンを終えた僕は、日本へ数日滞在してカンボジアへ旅だった。毎年僕は年末になるとカンボジアでトレーニングを行なっている。

初めてアジアへ渡った時に来たのがこのカンボジアだった。当初は右も左もわからず、練習場までは自転車に乗って向かっていた。練習帰りに数名のギャングのような集団に襲われたこともあった。

自分が最初にチャレンジした時に味わった苦労をこれから挑戦する人たちには味わってもらいたくない。また、培ったものを整理してより良い環境を提供したいという思いでカンボジアトレーニングキャンプというのを運営しています。

■Cambodia Training Camp (Facebook Page)
https://www.facebook.com/cambodiatrainingcamp/
・プロモーションビデオ
https://youtu.be/x_ryqB5zAeA

そんな中、ある情報を得て僕は驚いた。

それは、11月19日のミャンマー代表とのアジア2次予選を控えたモンゴル代表がそのカンボジアへキャンプを行うために来るというのだ。

代表チームからの連絡

そんな情報が入った矢先のことだった。モンゴル代表チームから僕の元へ連絡が入った。

「ミャンマー代表との試合はとても重要な試合となる。日本代表戦でのサポートには本当に感謝をしている。シューズが破損してしまった選手、数名のメンバー入れ替えも行われたので、もし可能であればシューズを用意してもらうことはできないだろうか。」

僕はモンゴル代表チームがカンボジアへくるということを聞いた段階で、すでにモリヤマスポーツさんに連絡を入れていた。

すると、「協力できる範囲でやらせていただきます!」という返事をいただいた。

いざ、シューズを手に彼らの元へ

僕はすぐさま日本へ向かい、用意していただいたシューズを受け取った。そして、カンボジアへ戻り、彼らの滞在先のホテルへ向かった。

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選手リスト、サイズ表を照らし合わせながら選手たちにしっかりとシューズが届くように管理をしています。管理に関しては代表チームのトレーナーである錦戸さんに全面的に協力していただきました。

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モンゴル代表選手たちの中で、特に若い世代の選手たちは今回の一連のサポートに対してとても熱く感謝を伝えてくれました。

「代表チームに選ばれて、こういうサポートをいただけるのは初めてのことです。こうした事はこれからモンゴル国内でサッカー選手を目指す全ての選手たちの希望となると思います。本当にありがとうございました!」

僕自身も、ただ単にシューズを提供するだけでなく、国の代表として戦う彼らにはそれなりの覚悟、責任を感じてもらいたかった。また、代表選手になるということはそれだけ周りから注目を集めることでもあるんだというのを伝えたかった。

そして、子供達がその姿を見たときに

「代表選手っていうのはすごいんだよ!日本の人たちからも応援されているんだよ!すごいことだよね!!俺もあんな風になりたい!」

そんなふうに思ってもらえたらと願っている。サッカー選手は夢を与える存在だ。

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日本に約8年間住んでいて、日本語も堪能な代表チームのコーチであるトルガさんも今回の支援に関して感謝と、そして今後の発展のために様々な話をしてくださいました。昔はこんな支援は考えられなかったと。

代表チームから練習を見学しに来て欲しいと連絡

モンゴル代表チームへのシューズ提供を終えて、僕は自分のトレーニングに専念しようと思っていたところ、代表チームから練習見学にきて欲しいと誘われた。

「せっかくなのでみんなで写真撮影をしよう!」

そんな言葉も添えられていた。

練習会場へ行くと早速チームにこっちへ来いと呼ばれた。

僕は初めてモンゴルという国へ渡ったとき、モンゴル人選手への印象は、個がとても強く、日常生活においても自分のことを優先するようなイメージを持っていた。

しかし、3年という月日を過ごし、彼らを理解し、彼らも僕を理解してくれた。
こうして彼らから感謝の気持ちをこれだけ盛大に伝えてもらったのは初めてだった。あまり言葉は通じ合えないけれど、言葉以上に心が通じ合ったのだと確信した瞬間だった。

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社会性だけでは

今回のこれまでの活動というのは誰しもがモンゴル代表という存在を全力で支えるという一心で行った。僕は彼らのために何かをしてあげたいと強く思い実現した。

しかし、当たり前のことではありますがシューズはタダではない。この製品が完成するまでにメーカーさんをはじめ、多くの職人さんが汗水流して完成をさせてくれている。靴という形をしたお金であり、想いが詰まっているものです。

今後も僕はこうした活動を続けて行きたいと思っています。

しかしながら、大きな課題も露呈したと思います。

それは、社会性(ボランティア精神など)の追求だけでは継続していくことが難しいということ。なぜなら、前述したようにシューズもお金であり、その物資を輸送する際にも輸送費がかかります。僕が行き来するにも移動費用がかかる。

活動を継続していくためには、

社会性の追求と同時に、経済性の追求をしていくことが必要なのではないか。

これからの僕の課題であり、向き合うべきものです。これからも挑戦は続きます。しかし、多くの仲間の存在が僕を支えてくれました。

改めて、お礼を伝えたいと思います。

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モリヤマスポーツさん、アシックスさん、そして活動に携わっていただいた皆さん、本当にありがとうございました!!

後日、このユニフォームはモリヤマスポーツさんへお届けさせていただきました。僕ではなく、モリヤマスポーツさんに受け取ってもらいたかった。ともに実現したことであり、彼らの協力なしには実現できなかったことだからこそ。

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モリヤマスポーツ 京都伏見店・店内に掲示していただいています。

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