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不可能を可能にするために

新型コロナウィルスが流行し始めたとき、アメリカでは医療用マスクの不足が深刻な問題となっていた。

数週間中に数百万枚のマスクが必要となった。

結果として、5週間のうちに5百万枚のマスクを作り上げるという目標を達成したのだが、どうやって実現したのだろうか。

ユタ州の地域が協力して立ち上げた団体が「プロジェクト・プロテクト」という取り組みをおこなった。

(1)直接、人づたえでマスクの作り方を教える。
(2)作り方を5分間の動画にしてサイトに掲載し、ボランティアを募った。
(3)団体が材料をボランティアに提供。
(4)自分で縫うもしくは誰かに教えて完成したマスクを返却する。

こうして5万人のボランティアが500万枚のマスクを作り上げたのだ。

一人で考えているときには不可能に思えることも、こうして仲間を集めることによって、一人ひとりの負担も少なくかつ実現することができた。

「人に頼む技術」という書籍も発売をされているが、僕はこれはその人の実力であるとも思っている。

頼んだときに、それに応じたいと思ってくれる人をそれだけ集められているということだからだ。

僕自身、チームの運営をしていた際にあらゆるタスクに負われていた。

でも、その中には「教える」ことで自分がやらなくても済むようになることが隠れていた。

いや、自分がそれを任せることを躊躇っていたとも言える。

なぜかというと、もし頼んだことをこなしてもらえなかったときに最終的に困るのは自分であって、全員を困らせることになる。だから任せられなかった。

しかしそれは、仲間を信頼しきれる環境を作れていなかったのだ。
信頼できる仲間を育て上げきれていないことはマネージャーの能力不足だと僕は思った。

だから、丁寧に教えた。

最初はリスクマネジメントをとって、もし彼が忘れた場合にも対応ができるようにした。そして、それは僕の仕事から彼の仕事へとシフトした。

すると、自分が取り組むべきことが少しずつ見えやすくなってきたのだ。

まだまだ本当にやるべき光っている部分を見るのに遮っているものがいくつかあった。それは「自分がやらなくても良いもの」だ。

そういうのをどんどん仲間に教えていって、自分の仕事から彼らの仕事へとシフトさせた。そして、そこに責任を持たせて、「やらされる」ことから「やるべきこと」へと変容させていったのだ。

そうした作業によって、自分がやらなければならない本当のことに力を注ぎやすくなり、チーム全体としてもできる幅や成果も大きくなったのだ。

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