#248 自分の居場所を得るために
初めて東南アジアにプレーをしに来た時には、
日本よりレベルに低いリーグだし、彼らより活躍できて当然だと思っていました。日本ではダメだったけれど、この東南アジアに活路を見出そうと意気込んでいたのもその考えを強くしてしまったのかもしれない。
いま思うと本当に馬鹿だったなと思うことなのだけれど、当時はとにかく必死にやっていた。そしてその必死にやっている中で、自分の考える最も活躍できるだろう考え方がそれだった。
そして、その結果は全く上手くいかなかった。
そうして僕は失敗をしてチームとの契約を終えて新たなチームを探すこととなった。
それでも、その時は自分の考えが間違っているとも思っていなかった。
むしろ、
「彼らが理解しないだけだ。」
と思っていた。
本当にバカヤロウである。
新しく移ったチームでも、その考えは消えておらず、むしろ昨シーズンうまくいかなかった鬱憤を晴らしてやろう!とすら思っていた。
そこで、僕の失敗から学んだ自分の居場所を手に入れる方法を2つに分けて紹介したいと思います。どちらが間違っているということではなく、その自分の環境を客観的に見て、選択するべきだと思います。
まず、一つは『自分のやりたいことで勝負する』ことです。
自分がこれだったら負けないと思うことを真っ向勝負する。
サッカーであれば、攻撃が得意だからその得意な部分だけに特化して取り組むということです。
サッカーはどうしたら勝てるかというと、相手よりも多く得点を決めることで勝てます。なので、勝つためには得点を決められる人物がいることはとても重要なことです。東南アジアでは、結果をとにかく楽に手に入れたいという思考があるので、得点能力の高い外国籍助っ人を獲得して、問題解決を図るチームも少なくないと思います。
それでも、一度海外に出れば、ライバルは世界中からやってきます。
ブラジルやスペインといったサッカー大国からも平気で選手が東南アジアにもやってくる時代です。彼らのメンタリティは恐ろしく強いです。
まさに結果を追求するという部分では、日本人にはなかなか持つことができない考え方を持っています。
自分のやりたいことで勝負するというのは実にシンプルです。能力が高いと評価された方が残ります。しかし、同時に上には上がいるというのも理解しなければならない。そこにチャレンジするからこそ面白いし、勝負しがいがあるのも事実です。
このやり方で自分の居場所を確立するのであれば相当気合を入れて望んでください。あなたがやりたい事というのは他の人も同じようにやりたい事である可能性が高いです。
つまり、競争率も高くなりやすいです。
僕も最初はこれで勝負しました。
そして、上には上がいました。勝負した結果、負けました。
でも、僕はそれでもサッカーが大好きだし、そこで勝負したかったんです。だから、考えました。続けるために自分は何をするべきなのかをたくさん考えました。
それは、どうしたら自分を必要としてくれるか?という事だと気づいたのです。そして、どういう選手がチームに求められるのだろうかと考えた。
そして、その競争率が低ければ低いほど良いと思った。
要は人がやっていないこと、もしくは人がやりたくないことを自分ができれば逆に高い需要かつ、競争率が低い。だってみんながやりたくない事だから。
そこで、導き出した2つ目の方法は、
『人がやりたくないことをやる』でした。
単純に僕は自分がやりたくないプレーを考えました。
それは「走る」ということでした。
それもただ走るのではなくて、チームのために走る。
ここまででは聞こえが良いかもしれないですが、自分がミスした時とか、自分が良いプレーをするために走るのではなくて、
チームの誰かがミスをしたときにそれをカバーするために走るということが大半になります。
気持ち的に難しいことですよね。
だから、みんなやりたがらないんです。
だけど、チームのために走ってボールを奪い返してくれる選手がいたらどうですか?ボールを奪われたとしても、彼があなたのためにボールを奪い返してくれます。
めちゃくちゃありがたい存在じゃないですか?
みんなが求めるけれど、みんながやりたくないことにチャンスを感じました。
それから、3ヶ月間毎朝8kmを意地になって走りました。
トレーニングの効率がどうだとかではなく、意地で走りました。
最初の2週間はとてつもなく辛かったです。走り出す前の気持ちの整理がつくまでに時間がかかります。足が重くなります。
だけど、自分がサッカー選手として続けたいと選んだのだから、やるしかないと思ってやりました。
それだけの量をこなしていると、苦しい時にも足が出るようになりました。
「あれだけ辛い思いをして走ったのだから、ここで走らなかったら何の意味もないぞ!」と自分位言い聞かせるようになりました。
人がやりたくないことにチャンスを感じる。
競争率が低く、かつ需要がある。
そして、誰もやっていないことだった。
これはあらゆることにも通じる勝つ方法ではないでしょうか。とても泥臭く、かっこよくない方法ですが、それが自分の武器となりました。